age28 / 揺るがぬ想い

腹減ったー、今日のお昼は唐揚げじゃ♪

ほかほかのうちに自宅で仲良く食べるのだ。

職場が近いって、イイね!

「ただいま…………と、通話中?」


仕事兼趣味部屋から声がする。

あなたの声だけだからヘッドセット使用か。

親友のタケルさんと話してるんだろう。

因みに親友・タケさんは俺達の仲を裂くため仕組まれた、件の〈半裸の男〉である。


邪魔をしないよう静かに通り過ぎる、つもりがつい足がとまる。

「本当に、いいんだろうか……」


あなたが躊躇ためらうのは俺のせい。

俺が同じじゃないから。

それで他人ひとの心配ばかりしてひとり悩む。


だから俺は何度でも言ってやるのだ。

この人生は親のものでも家のものでもない。

俺のものだ、と。

この俺が身を裂かれながら別離わかれを選ぶことが幸福しあわせだと本気で思ってるなら冗談じゃない。

俺が初めに誓った言葉は紛うことなき真実で永遠に揺らぐことのない想いだ。


でもなぁ、ここまで言うと最早プロホーズだし、少なくとも今じゃないよなぁ。

遠回しに小出しに判らせていこう。


で、ここは聞かなかったことにして遣り過ごそうと顔を出すと、何だよ後ろ向いちゃってんじゃん。

しかも可愛いこと喋ってない?

やだ~、俺、照れちゃう!


こっそりモニターを覗き軽く会釈。

タケさん、何か企んでる?

あなたが幼なっぽく、くるりと椅子を回す。

「な、何で居るの!!」


さてさて、嬉しい楽しい昼食の始まりです。

時間がなくなるからお早目に、ね。


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