物語を作ろう! アハッ!

渋谷かな

第1話 弓3

「主人公を作るぞ!」

「おお!」

 作家さんと編集くんは一致団結する。

「これも簡単で、一人から家族、お父さん、お母さんからの兄弟、おじいちゃんおばあちゃん。次にお友達。ヒロイン、彼女とか。他にれれれのおじさんに、裏のおじいちゃんおばあちゃんとか。」

「もう簡単にできてしまいますね。」

 まあ、多くの作品は家族には触れない。主人公メインだからだ。それと後の展開で両親を出し続けるのはしんどい。

「一番いいのは、速攻で殺す!」

「一人でては、一人殺す手法ですね。」

「その通り。私が楽だのだ。」

 作家都合主義である。

「でも毎回誰かが死ぬというのは、物語的には盛り上がりますよね。」

「物語って、そんなものよね。悲しいことやピンチがあって、そこから巻き返す。」

 物語って、ただ、それの繰り返しなのよね。


「一層のこと、みんな、孤児院にしてしまおうか?」

「それは聖闘士星矢でやってますね。」

「そんな古い作品、今時の人間は知らないだろう。別にいいじゃないか。」

 それも一理ある。昔の古い作品をタイトルを変えてリメイクしたと思われるヒット作はたくさんあるだろう。同じ様なテイストの作品しか世に出ない。倫理がうるさいからであろう。

「ということは、主人公は1匹狼で、両親はいない・・・・・・殺されたにしよう。その方が物語が盛り上がる。」

「不幸だらけ・・・・・・といっても、鬼滅の刃、進撃の巨人とか悲劇から開始ですもんね。二作とも同じ展開、パクリ同士だ。」

「人間は他人の不幸は大好物だからね。」

 作家さんは人間は悲しいと思う。

「だから夢と希望が必要なんだ!」

「ああ!? ズルい!? 切り返した!?」

「前向きな物語を描く。それが仕事ですから。アハッ!」

 でも主人公の両親が殺されるのは冒頭でなくて良い。大切なのは、どこで、どうやって主人公が強さを手に入れるかだ。

 つづく。

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