Dear.....

台本書ク子

 

Category-2020


1227「僕、いつも思うんだ。空って.....なんで青いんだろうね。別に赤くたっていいじゃないか。何の色だっていいじゃないか。何で空の色を青って言うんだろうね。誰が決めたんだろうね。僕には分からないや」


1228「ねぇ。どうして、太陽は沈みゆくのでしょう。どうして、花は枯れゆくのでしょう。どうして、命は終わりそしてまた紡がれていくのでしょう。どうして、始まりがあれば終わりが来てしまうのでしょう。

.......怖いよ。あの空へ飛んでいく勇気なんて、私にはない。だって死にゆくときはみんな、1人なんだから」


1229「このお花が枯れたら、世界は何か変わる?お花たった一輪で世界は変わってしまうかしら。ねぇ....世間はお花畑よ。私はあんな中で生きていくことなんて出来ないわ。根っこのないお花は、土の中を突き進む事もできないしお水を吸い上げることすらできない。でも、根っこを張るにはたった1人で暗い世界を進まなければいけない。それってとても.....」


1230 「もしも空から世界を眺めることが出来たら、全部が星の様に見えるに違いないわ。車も、家も人も全部全部ミニチュアみたいに小さくて.....そう考えると、私達ってちっぽけな存在だと思わない?私達の喜びも哀しみも、この大きな地球から見たらほんの一瞬に過ぎないんだから」


1231 「海は、風にあおられて激しく波立ったり逆に静まったりする。でもそれは僕らの手じゃどうしようも出来ない。僕等もおんなじなんじゃないかな。いいんだよ、君は君で。もし波に飲まれそうになったら、また此処に来ればいい。風にでも身体を預けながら、全てを流して仕舞えばいい」


Category-2021


0101 「雲は、青い空を進んでいく。風は、僕らの隙間を吹き抜けていく。水は高い所から流れて、日は昇りまた沈む。僕らだって、大人になるんだ。あの空に召されるその日まで、僕は秒針に追われ続けるけど生きるよ。君は.....どう?」


0102 「私、産まれ落ちた瞬間に泣いてしまったの。何故かって?分からないわ、私にも。もしかしたら、この世に産まれてきたくなかったのかもしれない。それとも、もっと海に浮かんでいたかったのかしら。でも.....私、今思ってるわ。あの日、産まれてよかったって」


0103 「わからない。本当の愛って、何なのかしら。貴方の愛も、私の愛も、嘘じゃないと思うの。もし私達の日常ストーリーが御伽噺なら、貴方がヒロインに違いないわ。でも、私だって....!私の人生の中ではヒロインなのよ。ねぇ、まだ行かないで。私は、貴方の声が聞きたいの」


0104 「私、浮かんでる。暗くて明るい、冷たくて温かい.......変な気分。私、海の中に浮かんでる。誰かが呼んでる。何故かしら、狭いのに広い、変な気分。心地良いけれど、やっぱり変な気分。私は思ったの。嗚呼、死んじゃったのかなって。でも違った。私....振り出しに、戻ったんだわ」


0105 「もし世界が大っ嫌いになってしまったら、貴方はどうする?世界が真っ逆様になってしまったら、貴方はどうする?今の当たり前が、明日には崩れているかもしれない。とっても怖いわ、でも事実よ。私達は所詮チェスの駒、世の中を動かしているのも駒だけれど動かされているのも駒。明日が.....楽しみね」


0106 「ピアノは、ドの鍵盤を押せばドという音が必ず出てくる。ちゃんと調律されていればの話だけれど、レの鍵盤を押せばレという音が必ず出てくる。でも、私達の人生に鍵盤はない。『必ず』と言う言葉もない。だからこそ楽しいんじゃない?生きるのって」


0107 「輪廻転生、って.......よく言うけれど。結局、一度空へ昇ってしまったらもう今には戻れない。もう、貴方と言う存在の隣で青い空を見上げることもできない。けれど、良いのよね。だって過去に戻りたいなんて思わないもの。ただ......貴方と、まだこうしていたいだけだから。もう一度ここへ戻ってきても、今度は未来で迎えに来てよね」


0108 「駄目だね、僕は。永遠の命、恐るべき知性、万物を司る程の力、そして永遠の栄光。全てを手に入れた筈なのに、僕はこれほどまでに悲しいよ。何故、何故なのだろう。僕は、暗い部屋の隅で泣いてばかりの君に取り憑かれてしまった。これはおかしい!だが......事実だ。嗚呼、僕はどうかしてる。僕は、僕は......叶うはずのない、最後の望みを、この空っぽの胸に抱いてしまっている。」


0109 「鏡に映っているのは、誰?私、私じゃない。私はあんな姿をしていないもの。貴方も同じよ。どんなに合わせ鏡をしても、鏡を重ねても貴方は生み出せないの。貴方は、この世界で.......たった1人。貴方と言う人間、貴方と言う生物、貴方と言う存在......ねぇ、もっと見せて頂戴。貴方を」


0110 「過去に置いてきてしまったものは、取りに行く事ができない。過去に置いてきたかった傷ばかりが、私にまとわりつく。それをどう受け止めるかはきっと私次第だけれど、私は悪い事だと思っていないわ。塩を塗られぬ限り、傷は時間と共に癒えていく。私も貴方も、大人になる。嗚呼......あの雲がまた戻ってくる頃には、私達どうなってるのかしらね」


0111 「“ここ”。僕の“ここ”には、元々穴が空いてるんだ。君には空いてない、でも僕には空いてる。ほんの小さな穴だよ?手のひらにいくつも収まるくらいの。たったそれだけの違いなのにさあ、何でだろうね。僕らの間にはこんなにも差があって。......不思議だね。人間って。僕だって君みたいになりたかったなぁ」


0112 「瞼を開いても、もう朝はやってこない。目を閉じても、もう夜はやってこない。僕の目の前に広がっているのは、ただの暗闇。貴方の見ている景色って、黒なんでしょう?そうやって聞いてくる人もいるけれど、きっと違うと思う。僕は、色を忘れてしまった。味を忘れてしまった。鳥の囀りさえも鬱陶しくなった。全て、全て......嗚呼、だって。僕は君がいなければ生きていけないんだ。それは君の四肢を糸で縛りつけるようなものなのかもしれない。でも今は君が欲しい。戻っておいで......僕の、愛しのナイチンゲール」


0113 「私は、この世に生まれ落ちてから一度もここを離れたことがない。なのに何故だろう。皆に愛され、皆に尊敬され......私は不思議でしかないのだ。ただずっと、其処にいるだけなのに。嗚呼、生きているとはこれ程までに無慈悲で辛いことなのか。私は、愛されてばかりで愛することなど出来はしないのだ。だからせめて......其処の燕さん、この宝石を、彼女に」


0114 「もしニンゲンというものを大きくふたつに分けるとするのなら、僕らはきっとおんなじ仲間だね。君も、僕も、おんなじ種類。だけどさ......僕、このまま動けないや。頭ではわかってても、心には到底届きそうもない理屈だってあるんだ。でも、動いても動かなくても僕に待っているのはきっと終わりだけさ。だから.....僕は、この叶いそうもない想いを君には伝えないでおくよ。ごめんね、君。ごめんね、僕」


0115 「夢の中に、落ちてゆく。溺れていくように、沈んでいくように。堕ちていく。そこはきっと私が居る世界よりずっと綺麗で、ずっと素敵で、ずっと楽しい。あんな薄汚い世界よりずっといい。ずっとここにいたい。ずっと、ずっとずっと......夢を見ていたい。私は目を覚ますと、しこりのように口の中に固まった倦怠感と罪悪感を水で流し込んだ。嗚呼、これでまた行けるね。アリスの国に」


0116 「指の隙間から抜けていく水、枯れかけのお花、ひび割れた花瓶。嗚呼....みんな、そうなのよ。生まれたままの真っ新な人なんてきっといない、いないわ。私だって、もう直ぐ割れてしまいそうなの。枯れてしまいそうなの。嗚呼だから.....もし今、貴方が私を見つけてくれたのなら。お願い、一滴のお水を下さい」


0117 「怖い.....怖い。何かを、言われるかもしれない。何かで、殴られるかもしれない。今は、涙を流してしまいそうなくらいの怖さに震えている。けれど僕はあの日、決意したんだ。一生此処で暮らすんだって。花弁で根っこを隠して、皆んなに手を振る。もう戻れない、振り返らない......そう、僕は........暗闇の中白熱球に照らされた、華やかでとっても綺麗なお花です」


0118 「あゝ......聞こえますよ。祇園精舎の鐘の声が。きっと貴方はひと足お先に、私の手の届かないところへ行ってしまった所なのでしょう。大丈夫、ちょうど私も、今支度を終えた所ですから。椿、この花が落ちれば、この紅が舞えば、私も一緒に。待っていて下さいね、愛しい人。私も一緒に......お供しますから」


0119 「少しずつ、覚めていく。少しずつ、少しずつ.....嗚呼、もっと夢を見ていたかったのになぁ。私は気付いてしまった。貴方の、ふとした影に。駄目ね、あんなに焦がれていたのに。もっと、もっともっと.....欲しかったのに」


0120 「生きるのって、案外悪くないのかもしれないわ。毎日同じ様に流れる雲を見上げて、毎日同じ様に通り過ぎていく日常を走り抜けて。けれど、同じ雲はないし同じ日は無い。退屈の様に見えて、実は楽しんでいるのかもしれない。ねぇ.....私、今ちゃんと生きてる?」


0121 「君は誰?僕じゃないでしょう。僕と同じ目の色、同じ髪の色、同じ動きをするし同じ言葉を発する。でも僕じゃない。君は僕じゃない!嗚呼.....なんてね。いつになったら僕は、君を認められるかな。君と僕はこれ程までに似ているのに、こんなに違うから」


0122 「僕は、彼女を愛している。彼女も、僕を愛している。けれど、僕は彼女を愛してはいけない。それは世界の基準では、きっと罪になってしまうから。僕は...僕は身体の一部が足りない。余っている筈の部分が足りない。人に向けられるはずの銃口を持っていない。だから、撃たれてしまう。このままでは、僕は.....僕はそっと、大きめのコートを羽織った。これでもう、貴女に僕の器は見えない。これでまた、貴女に会いに行ける」


0123 「アイ、哀、愛。何なのかしらね.....この言葉は。たった2文字.....たった2文字で、人は大きく動いてしまう。たった2文字を求めて人は狂い、そして死にゆく。私は.....私達は、自分達が思っているよりも愚かなのかもしれない」


0124 「何故、何故だ.......何故こんなにも僕は沈んでいる?まるで妬んでるみたいだ。人の幸せを......いや、貴方を。昂る鼓動、額を伝う冷や汗、止まらない......止まらない!嗚呼.....お願いだ。今夜、僕と最後の夜を.....共にしていただけませんか」


0125 「貴方には、触れられないけれど。貴方には、逢えないけれど。貴方とは、言葉も交わせないけれど......貴方の音が、貴方の声が私は好き。片想いって、こういう事なのかな。貴方は今ではこんなに輝いて、もう届きそうもないよ。ねぇ.....だから、今日の夜も。暗い部屋で2人きり、一緒に音を奏でましょう?」


0126 「形も、鍵も、ドアノブもみんな違う。みんな違うけれど、ドアに閉ざされた心を覗くことは自分以外の誰もできない。そう思うと、理解されようなんて......愛されたいなんて、自分勝手なんだろうな。でも人って、僕って。寂しがりなのさ」


0127 「水面にそっと指を触れる。たった一点を触れただけなのに、其処から波紋がいくつもいくつも広がって....怖いな、世界って。此れはきっと、僕への罰さ。もうそろそろ僕は、処刑台と化した表彰台から引き摺り下ろされるだろうね。昨日はあいつの番、一昨日は彼女の番。今日は僕の番で.....次は、君の番だよ。さぁ、行っておいで。束の間の栄光を掴みに」


0128 「白く、美しく、そして儚い。あまり逢える訳でも無いのに、やっとその姿を見られたと思ったら直ぐに消え去ってしまう。私を粉砂糖で甘くして、街を白くする。嗚呼、苦いチョコレートにはやっぱり甘さが必要よ。この霧も、この終わった恋も、全部流して欲しい。雪が溶ける頃には、私の心にも春が」


0129 「涙の海に溺れてしまったのなら、私が手を差し伸べて差し上げましょう。怒りの炎に焼かれそうになってしまったのなら、私が水をかけて差し上げましょう。欲望の闇に飲まれてしまったのなら、私が頬をつねって差し上げましょう。でも.....その手を取るのも、その水を受けるのも、その痛みに目覚めるのも貴方なのです。貴方がその気にならなければ、貴方は息絶えてしまう。さぁ、どうします?」


0130 「ねぇ......独りは嫌いだよ.....君達は、長く赤黒い紐に繋がれている以上の存在すら愛してくれないの....?僕は、もうそろそろまた海に溺れてしまうと言うのに」


0131 「ガラスの靴は、風が吹いただけで割れてしまう。そして.....両方が割れて仕舞えば、もう持ち主がいたことすら忘れ去られてしまう。今日も、真夜中の0時はやってくる。御伽噺なんて、幻に過ぎない。私の王子様は....何処?」


0201 「もう、太陽は厚い雲に覆われてしまった様だよ?ねぇ.....君の太陽はもう誰にも見せないのかい。嗚呼、良いんだよ。誰にも見せなくったって。人は、誰かに理解をしてもらおうと必死だけどね。誰かを理解しようとすることほど、無責任な事はないと思うんだ。だから.....その太陽はそっと心の中にしまって。いつか、また取り出せるように。壊さないように」


0202 「あともう少し.....あの花が落ちる頃には、僕は海に帰るんだ。どうなっちゃうんだろうね。だぁれも、もういない。みんな、みーんなここから行ってしまった。愛なんて、哀なんて無かったのかもしれない。けどさ....君はなんでここに来てくれるんだい?もしその理由が少しでもあるんだとしたら....お願い、あの花が咲いていたということを忘れないであげて」


0203 「嘘でも良い.....口だけでも良い。仮初めの愛だって、きっと愛は愛だから。0か、-1かを取るとしたら0を取るでしょう?最初から自分という存在以外何も持っていないのなら、せめて自分は失いたくないじゃない。私は、そうやって生きてきたのよ。だから....お願い。“愛してる”って、“生きて良いよ”って、言ってよ」


0204 「嗚呼、分からないけれど.....私が生まれ落ちた時から今迄の全てのこと、なんだか愛おしく思えるの。この身体に刻まれたメモリ状の傷も、未だに癒えぬ心の傷も。だってこれがなくちゃ私じゃないんだもの」


0205 「貴方達は、私は、何処へ行ってしまったのでしょう。貴方達はもう此処にいない、私ももう“此処”にいない。じゃあ.....私は、誰?私は、誰?誰なんでしょう。それは、私にも分からない」


0206 「地の果てまで落ちてしまったのなら、昇って来なさい。貴方には、それができる筈よ。何年かかってもいい、何百年かかってもいい。私は、私達は。ずっと、貴方が1人で此処までくるのを待っています」


0207 「人って、とってもちっちゃいのね。その器も、その魂も......宙に浮かぶ星々よりもちっちゃい。嗚呼、其処に私の全てを委ねられたのなら......そして、私の器に愛を注いでくれたのなら。寂しさを埋め合う、哀れな番。やっぱり.....人間ってちっちゃいわ」


0208 「“ここ”......僕の、“ここ”に繋がっていた長い紐。広く狭い海の中で、たったひとつの道標だった紐。それがあった時から既に、僕は独りだったんだ。生まれ落ちても、召されても、何をしたって独り。紐の先にいた母親でさえもいずれは僕の側からいなくなってしまう。だから.....仮初めの愛が欲しい。本当の愛なんて、そんなものは世の中にはない気がするんだよ。僕は、君からの.....みんなからの、温もりが欲しい。いつか、燈が消えてしまえば冷めてしまうけれど。ね」


0209 「私、何処を歩いているんだろう。此処は何処?ねぇ、誰か答えてよ。みんなもういないの。みんな、もう此処とは違う何処かへ行ってしまったの。私はどこで間違えたんだろう。もう此処は廃墟、何処にいるのかすらわからない。応答せよ、応答せよ。私は此処にいるよ」


0210 「彼処に、小さなお花が咲いてるわ。こんなに灰色の街で、灰色のコンクリートに紛れて...それでも、いつか現れる光を目掛けて咲いている。小さな小さな、黄色のお花。嗚呼.....今日も、生きていて良かった」


0211 「ねぇ、雨が降ってきたよ。ねぇ、とても暖かいね。ねぇ、どうして泣いているんだい?ねぇ、僕まだ此処に居るよ。解り合えなかったあの日のことを憂うより、もっと手を握っていてよ。互いの傷に触れてしまったあの日のことを嘆くより、もっと抱きしめていてよ。まだ聴こえるんだ、君の泣き声が。ねぇ、雨が降ってきたよ。ねぇ、もっと笑ってよ。ねぇ.....」


0212 「人って、如何にも脆弱でさ。当たり前のような事でも、それに気付かずに過ごしていて。それに気づいた瞬間何故か膝をついてしまうんだよね。僕もそう、君もそう。さっき迄、気づいてなかったんだ僕らは。僕らが、最初っから独りだったことにね」


0213 「宙へ昇って辿り着いたのは楽園という名の地獄。皆笑顔で、幸せそうで.....でも、うまく笑えなかった。不適合者である私を突き落としたのは、みんなが大っ嫌いな神様。嗚呼、沈んでいく、深い地の底まで。堕ちていく、暗い闇の果てまで。暗い暗い、天国へ。もうそこは、人間の居る場所ではなかった」


0214 「私の手の中で溶けゆくチョコレート。甘くて、塩辛くて、でも......大好きでした。貴方はもう手の届かないところへ、行ってしまったけれど。私は、銀色の包み紙に大事な思い出を包んで優しく.....いいえ、駄目。やっぱり捨てられない。だって、これは私の大事な.....」


0215 「“終わり”が怖い。いつかやって来てしまうソレが、僕は怖い。でも、“始まり”はもっと怖い。何かが始まればいずれ終わる。地は崩れ、空は淀み、花は引き裂かれて、物は全てを破滅へと追い込む。ずっとなんて、無いんだ。永遠なんて、存在しない。だから、僕らはいつも“終わり”に付き纏われている。ほら、今も居る。僕の直ぐ後ろで僕を手招いて.....そして、僕を包み込む様に抱きしめて。“始まり”の銃声に、僕は耳を塞いだ。さぁ、“終わり”の“始まり”だ」


0216 「きっと、貴方は私の素顔を知らない。きっと、私は貴方の素顔を知らない。そしてきっと......私は、私の素顔を知らない。鏡の前にいてもわからないの、私って人は」


0217 「待てど暮らせど、あの人は来ない。窓の外は銀世界、埋もれてしまったのかしら。もうすぐ帰ってくる筈なのに、もうすぐ帰ってくる筈なのに。嗚呼、今日もやってくる。世界中に火花が散ったあの時が。何故、私だけこの世界に残ってしまったの?何故貴方は此処にいない?わからない......けれど。今日もやってくる。小さくて、太った男の子たちが」


0218 「時計の針は、いつだって動き続けている。世界は、いつだって動き続けている。人間は、いつだって動き続けている。立ち止まったままの私は、ただそれをずっと見つめているだけ。でも......それじゃ、あの光に手は届かない。もっと、先へ。もっと、奥へ。ほら、すぐそこにあるんだから、手を伸ばして.....」


0219 「大丈夫、大丈夫。私、ちゃんと生きてるわ。私は、誰かのお人形さんじゃないの。私は、私の物。もうおままごとはお終いよ、さぁ......もう一歩前へ」


0220 「嗚呼、見えるの。私を照らす、照らしてくれる光が。みんな私を見てくれてる、みんな私を愛してくれている。けど.....いつか、ここから私は消えてしまう。私は誰?私は何のために生きているの?分からない。あの光が強くなればなるほど、私は遠ざかっていく。眩しかった、大好きだったあの頃から」


0221 「カレンダーは進んでいく。頁はめくれていく。終わりは近づいてくる。あの花はいつか枯れて、その色を手放してしまうだろう。でも、それで本当に終わりなのだろうか?いいや......また新たな種から芽を出すことは出来る。だから僕は終わりを恐れない。何かが始まればそれはいずれ終わる。だとしたらまた、始めればいい」


0222 「薄闇に光る瞳、烏の様に黒く肌触りのいい毛。しなやかで細い脚と麗しき鳴き声、君はまるで猫の様だね。その罪な唇で僕をどうしようって言うんだい?もう、どうにだってしてくれ。僕は誰のものでも無い、それが故に君のものにだってなれるんだから」


0223 「わからないわね、人って。どうして、彼女は私の欲しいものを持っているのにあれ程までに悲しそうなの?私が欲しいもの、全部持っているのに。嗚呼、私は要らないものばっかり。何故でしょうね」


0226 「大きく、息を吸って....深く吐いて。ほら、こうすれば人間は生きられる。あと、もう少し生きてみよう。あの太陽が沈むまでは生きてみよう。君が笑うまで、生きてみよう。君も、一緒に生きよう?きっと楽しいよ。Dear you、君に伝えたいこと。ねぇ、もう少し.....生きてみよう」

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