第24話 初顔合わせ
これにて第2章終了です!
ここまで読んでくださりありがとうございました!
第3章も毎日更新で行きたいと思います!
カクヨムコンに間に合わせるために、31日までの投稿話数が多くなると思いますので、ご了承ください。
それと、
てめえ全然エロ展開書かんなエロ書かんのならノクターンに投稿すんなボケぇ、とノクターンの方で怒られてしまいましたが、まだなんです~!
ほんまに長くなってしまって、お待ちいただいている方には申し訳ないです。
この話の後に、短いですけど第2章の人物紹介も載せます、ぜひどうぞ。
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帝都の夏は短い。
夏の熱気はどこかに消え、夕方はだんだん肌寒くなってきていた。
この夏の思い出としては、家族とビーチでバーベキューしたり、イルシア姉様の精霊獣であるレッドドラゴンのアグニの背に乗って帝都の上を飛んだりしたことだろうか。
アグニの背に乗って飛び回ったことは、父様と母様にかなり叱られた。もちろんイルシア姉様も一緒に。
夕方、部屋で本を読んでいると、ユリアが手紙を持ってきた。
もう見慣れた紋章...ヘリオス家の家紋だ。
『ケント殿下、お元気ですか?ヘリオス領はまだまだ夏の熱気が残っています。
さて、私はこの手紙を書いてから5日後に領地を出発することになりました。
帝都ではハンナお姉様と一緒にヘリオス家の邸宅で暮らします。学院を卒業するまでの10年間、そこで暮らすことになりますから、ずっと一緒にいられますね!
それから、今回は私の精霊獣のユーファも一緒です。かわいいユーファを早く紹介したいです!
もうすぐそちらへ参りますので待っていてください!
”あなただけの花” エリーより』
あと5日でエリーが帝都にやってくる。
楽しみであると同時に、少し不安だ。
もしエリーとユリアの仲がうまくいかなかったら...。
そう考えるだけでもう胃が痛くなる気さえする。
それにユリアがボクのことをどう思ってるのか未だに聞けていない。
ボクの方は、彼女と夏の間一緒に過ごして”好ましく思っている”どころではない。
普段、あまり見せない無邪気な笑顔なんか見た時にはもうだめだ。
正直に言うと”好き”と言えるくらいの好意は持っている。
ただ、ユリアがボクのことをどう思ってるかなんて全く分からない。
最近ユリアと仲のいいエファ姉様に聞いても、
「私の口から何か言ってしまったら意味がないでしょ」
とはぐらかされるだけだ。
悶々とした気持ちを抱えているうちに、時間は過ぎていく。
「ケント殿下、ヘリオス家の列車が帝都駅に到着なさいました。」
ついに帝都へエリーが来た。
その日、エリーは城に来なかったが、次の日の昼頃、トーレスに、エリーが城に来ることを伝えられる。
中庭で待っていると、案内のメイドさんと共に相変わらず天使なエリーが歩いてきた。
ボクを見つけた途端にパアッと笑顔になったエリーはボクに駆け寄ってくる。
「ケント君!うふふ、会いたかった...!」
ボクにしっかり抱き着いたエリーは花のような笑顔をボクに向ける。
「ボクも会いたかった。2か月会えなかっただけなのにね。」
お互いに頬にキスをしてから、用意してある席に座る。
「そうだ、ユリアさんはどなたですか?」
い、いきなりか...!まあ、そうだよな、気になるもんな。
ボクはユリアを手招きして呼んだ。
「エリザヴェート様、私がユリアです。」
「あなたが...。ケント君、少し2人だけにしてもらえませんか?」
えっ、だ、大丈夫かなぁ。でもボクがいない方がいい話もあると思うし...。
「わかった、しばらく離れておくよ。メイド達もいったん下がってて。」
ユリア以外のメイドも下がらせ、ボクは話の聞こえないところから2人を見守る。
えーと、エリーが立って、お互いに挨拶して...。
今は自己紹介タイムかな?
お、一緒にベンチに座った。
何か話し込んでるな...。
2人とも笑ってる。何の話だろう。
ボクはしばらく遠巻きに観察していた。
すると、ユリアが涙を流すのが見えた。
何かあったのかと行こうとするが、エリーに制止されたのでぐっとこらえる。
エリーが何か話している間、ユリアは何度も頷いていた。
そしてユリアは泣き止んで、エリーへ何か告げた。
それを聞いたエリーは心底うれしそうに笑うのだった。
エリーに手招きされたのを見てボクはすぐに2人のところへ行った。
2人は立ち上がり、ボクの前に並び立つ。
「ユリアさん。」
エリーが促すと、ユリアは頷いてボクを見つめる。
「ケント殿下、私は殿下に言いたいことがあります。」
「なに?」
「信じていただけますか?」
まだ涙の痕の残った顔...その顔はユリアと初めて会った時を思い出させた。
「もちろん。絶対に信じるよ。」
「私は...私はケント様のことをお慕いしております。助けていただいたときから、ずっと。」
ユリアの強い意志のこもった瞳がボクを射抜く。
その瞳に吸い込まれそうな...そんな感覚になる。
そしてボクの心からは嬉しいような、ほっとしたような、そんな温かい気持ちがあふれだした。
「ケント君...?どうして泣いているんですか?」
エリーの言葉にハッとした。
ボクの目からはいつの間にか涙が流れていた。
「あ...ごめん、なんだか嬉しいのと安心したのといろいろ混ざって...。」
エリーは優しい微笑みを浮かべ、ボクの手をぎゅっと握ってくれた。
ボクは自分の気持ちをユリアに告げる。
情けない話だ。先に言われてしまうなんて。
「ユリア、ボクも君のことが好きだ。君と出会ってから、君のことを一つ知るたびにどんどん好きになった。」
それを聞いたユリアはまた涙を流した。
「ケント君、ユリアさんにもピアスをプレゼントしてくださいね。」
「うん、もちろん。ユリア、将来ボクの奥さんになってくれますか?」
「はい...!喜んで...!」
ユリアは泣きながら、満面の笑顔を咲かせた。
それは中庭に咲くどの花よりも綺麗だった。
「ふう、やっと正直になれたみたいね。」
「よかったね!3人はいい家族になれそうだよ。」
「エファ姉様、イルシア姉様、のぞき見は怒られますよ~」
「何言ってるのアイリ。ここにいるってことはあなたも共犯よ♡」
「はあ~そうでしたぁ~。でもまあ幸せそうですね、あの3人。」
「そうだね!」「うふふ、そうね♡」
植え込みの陰から3人を見守る3姉妹は、自然と笑顔になっていたのだった。
そして冬、ケントのそばで働くユリアの耳には赤紫のピアスが光っていたのだった。
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