第6話
~~100階層目~~
どうも
リアル俺TUEEEE系主人公(願望)であり、美少女彼女持ちのヴァーミリオンです。
彼女は今いないんじゃないかって?
思い出させるなよ、チクショー!
今のうちにフラグを立てておくんだよ。
そしたら、ダンジョンから出た後に、出会えるかもしれないだろ。
勇者として転移してるかもしれないじゃん。
うんうん。
それはさておいて、記念すべきこの時に、ぜひとも言っておきたい言葉が…
さぁ、刮目せよ!
「ビバ! 百階層目!!」
両腕を広げ、これでもか、と言わんばかりに胸を張る。
今はドラゴンだから、実際にはグアアァァァァァ!と鳴いたようにしか聞こえないだろう。
そして、傍から見ると、イタいやつにしか見えないだろう。
ふっ、それでもいいんだ。
時代が俺に追い付いていないだけだ。
本当は中世風の街並みを前にした時にこそ、言うべきだったんだが、
その時も言えばいっか。
なによりポンコツ金髪美少女な彼女ほすぃ…
おっと、今のを聞かれたら殺されてたな。
話がそれたな。
今、階段を降りてすぐの、開けた場所に来ている。
奥には、いかにもラスボスが待ち構えていそうな、装飾品等で、デコデコされている豪華絢爛な扉がある。
この部屋が最後で、間違いはなさそうだ。
ここは慎重に行きたいところだが…
俺に勝てるやつがいるなら逆に会いたい。
なぜって、俺、最強だから。
要するに、だ。
どんな野郎が来ても、デコピン一つで倒せるということに他ならない。(強引)
と、いうことで、入るか。
ギギィィィ…
ずっと使われてなかったかのような悲鳴を上げて、ドアが開く。
中は、ドームのようになっていた。
そして、真ん中には、一枚の鏡と真新しい紙が置いてあった。
紙には、
「ラスボスは、魔王より魔王らしい、お前。」
と書いてある。
意味が理解できず、少し固まってしまった。
俺に対し言っているのだろうか。
だとしたらどう言う意味だろうか…
そしてこの鏡は魔道具のようだが、何のために置いてあるのだろうか。
もう一度読んでみる。
すると、鏡が光りだしたではないか。
いきなりのことで、思わず目をつぶってしまう。
鏡はみるみると形を変えていって、最終的には一体のドラゴンになった。
「こ、こいつは…、、、、
全長50メートル強、羽を広げればより大きく見える巨体。
見ていると、吸い込まれそうなほど深い黒がかっている藍色の竜鱗は、それでいて、金属のような光沢を放っている。
それは、アダマンタイトで出来た武器でも折れるだろう。
一つ負わせることがが出来ず、神級魔法を打ち込まれても、ダメージをすべて発散させて何事もなかったかのようにふるまえるほどの魔法防御も誇っている。
そして、目が合ったものすべてを委縮させるような、金色の瞳。
さらに、近くにいるだけで、生物としての格の違いを思い知らせるかのような、身体から滲み出ている威圧感。
俺の姿まんまじゃないか!?」
さりげなく俺の見た目を紹介(自慢)してみた。
しかし、さっきの文章の意味がやっと分かった。
ここにたどり着けるような奴は、魔王よりも強いだろうから、自分とでも戦っとけ、ということだな。
いやぁ、照れるわ。
だが、俺は、認めない。
そんな人外の化け物みたいな書き方しなくてもいいじゃないか。悲しいわ。
人外だけどさ。
そうして、俺は現実から目をそらしたのだった。
しかし、今は目の前の敵(自分)と闘わなくてはと、気を取り直す。
挨拶代わりに、俺が使える魔法の中で一番の威力を誇る神級雷魔法「ワールドエンド」を打ち込んだ。
ちなみに、自分で考えた名前である。
これしか使えない。
大気を破り裂くような異質な音が部屋中に響きわたる。
普通のドラゴンだったら、気づく間も無く炭になっていてもおかしくないほどの速度と熱量である。
撃ち込まれたら無事では済まないだろう…普通なら。
「なにぃ!効いて、ない、だとっ…」
煙が上がった時にそこに立っていたのは、傷一つない俺でした。
そういえば、さっき自分で効かないって言った魔法を打ち込んでいたと、いまさらながら気づいた。
敵は、ただ突っ立ているだけである。
反撃も避けることもしない。
今まで自分がしてきたことながら、腹が立つ。
イライラしてきた俺は、奥の手を使うことにした。
極大まで育ったブレスである。
さすがの俺でも、これを受けて無事である自信はない。
今すぐこの戦いを終わらせるために、打つ。
すべてが消失したと思わせるほどの威力だった。
自分の目の前には、すでに何も残っていない。
最後まであっけなく終わり、不完全燃焼のまま立ち尽くしているとき、
『ダンジョンを踏破しました。』
追い打ちをかけんばかりに頭の中に響いたのだった。
え、こんなけ…?
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