ミイラから始まるドラゴンの異世界生活
@hirunetakusan
プロローグ
ここは、とある異世界。
この世界には数あるダンジョンの中で、「ハレーダンジョン」と名付けられたダンジョンがある。
このダンジョンは、
『愚かにも神に挑んだ龍がいた。その名をハレーと言い、彼女は、力をすべて奪われ、この地で息絶えた。そして、この死体に凝縮されたマナは時空を歪ませ、異界への入り口、すなわちダンジョンとなり、彼女の神に対する恨みがそのまま形になった場所である。』
と、されている。
ここへ入れる者は真の冒険者であると認められ、歴史に名を残す英雄になれる、と言われており、ある者は、巨万の富を。また、ある者は名声を求めて入っていく者は後を絶たない。
ハレーは、彼ら以外からは邪神として、神を憎むものからは信仰の対象として、名を馳せていた。
そして、このダンジョンにまつわる伝説の中に、誰にも信じられないネタだと言われているものがある。
それは、ハレーは最後に卵を産んでから死に絶えた、と。
そして、その卵は、未だ眠ったままである、と。
この伝説はハレー信者の妄想と言われているが、真実は誰も知らない。
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舞台は、神々の中で『ジアース』と名付けられた数ある世界のうちの一つ。
そこでは、今、一匹の龍と一人の人間が闘いを繰り広げていた。
元々、人間側は何十人もの精鋭を連れて闘いに挑んでいて、龍の最初の一撃で、殆どが命を散らした。
それにより、動ける者は、手指の数ほどしか残っていない。
二人が闘い始めてから、既に1時間は経過している。
龍は、『虚神龍ヴァルミリオン』と呼ばれており、この世界の人間から広く恐れられていた。
対して、人間の名前はヴァーミリオン・ドラグロードといい、冒険者ギルドの初代ギルド長をしている。
彼らの闘いは、苛烈を極めており、誰一人として付いていける者はいなかった。
それどころか、参加した瞬間に肉片と化している可能性のほうが高いだろう。
だが、そんな闘いにも終わりが近づいてきた。
お互いに、残り少ない魔力を込めた最後の一撃をお見舞いした時に、それは起こった。
攻撃と攻撃がぶつかった瞬間、強烈な閃光と共に爆発音が鳴り響いた。
程なくして、閃光が収まると、そこには巨大なクレーターしか残されておらず、龍の鱗の破片や鎧のかけらが散らばっているのが発見されただけだった。
この闘いは、後の世で『英雄大戦』と呼ばれ、「冒険者」という職業と、「冒険者ギルド」の名が世界に広がるきっかけとなったのであった。
そして、冒険者ギルドを創設して初代ギルド長を務め、龍と相打ちに終わった彼を英雄と呼び、500年ほど経った今では、御伽噺として親しまれている。
また、500年経った今でも、二つの名前が似ていることに疑問を抱けた者は、数える程しかいない。
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