選別落ち野良魔王女のダンジョン『ゲームセンター』はリベンジを支援します!

花果唯

1、転生

 転生して第二の人生を送る、という小説や漫画をよく目にするようになった。

 現実には「ありえないこと」として楽しまれてきたが、実際にありふれていたのかもしれない。

 だって、私も転生したから!




 地球で平和に暮らしていた私が転生することになったのは、とある神様のせいで死んでしまったからだ。


『ブラック』まではいかないが、『グレー』程度の会社に勤める、平均的なほぼ社畜だった私は、久々の二連休に浮かれていた。


 週に一度の休みは眠っているうちに終わってしまうことが多い。

 でも、休日二日目だったその日は、昼過ぎに目覚めることができたのだ。

 遊び目的での外出は、実に半年ぶりだった。


「久しぶりに大好きなゲームセンターに行くことができる!」


 使う暇がなくて溜まる一方だった悲しき私財をATMで引き出す。

 そして、意気揚々とゲームセンターに向かっている最中…………私は神様とぶつかって死んでしまった。


 私にとっては、「何か黒い人影とぶつかった!」と思っただけだった。

 だが、その人影が神様だったそうで、人は神という存在に触れると消えてしまうという。

 だから、私はぶつかった瞬間に即死したのだ。


 本来ならそのような事故は起こらないようになっているが、私とぶつかったのは異世界の神様で、無断で地球を渡っていたらしい。

 いわば私は、『不法侵入犯と衝突死した』のだ。

 これには私だけではなく、地球の神様も激怒だったという。

 その賠償として、私は加害者神様が管理する世界に転生させて貰えることになった。


 転生にあたり、希望も叶えてくれるというので、私は「転生したらゲームセンターで思いきり遊びたい!」と伝えた。

 異世界にゲームセンターがあるのかは知らないが、希望を聞かれたので思うがまま答えてみた。


 加害者神様はあっさり了承してくれたので、難しい要望ではなかったのだと安心して転生したのけれど……案の定、異世界にゲームセンターはなかった。

 うん、そんな気はしていたよ!


 だが、私の願いは無視されたわけではなく、「ないから自分で創れ」と言わんばかりの能力――スキルを授かっていた。

 このスキルで、楽しいゲーセン漬けの人生が始まる! と思いきや――。


 ……神様に抗議したい。

 もう少し、第二の人生を楽しく始められるようにご配慮頂きたかったです!

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