拙さと、儚さと、喧しさと。~『桃髪家の一族』と呼ばれる家系で、知らない間に『薄い本』のネタにされている僕って、大器晩成型らしいです~

殿馬 莢

プロローグ

エピソード0 アバンタイトル(読み飛ばし推奨)

 地球はかつては大きく分けて人族と魔族に分かれていた。

 魔族とは別次元から来たものを言い、魔族にはさらにいくつかの種族があった。

 魔族は先住民である人族との幾多の争いの末、かなりの数を減らし、各地の辺境に追いやられた。

 その後、人族は高度な文明と引き換えに招いた環境破壊が、自らの脆弱化を呼ぶことになる。

 ついに数千年前、人族は滅びの危機を迎えた。劣悪な環境はもはや純粋な人族には生存不可能となり、やむを得ずある計画を実行した。


 『人族補完計画』である。


 この計画は、脆弱な人族と生命力に溢れる魔族との交配を重ねることにより、劣悪な環境にも耐えうる種族【新人族】を生み出すことであった。

 結果的に計画は成功し新人族は誕生した。代わりに純血種についてはほぼ死滅したとされている。

 そして近代に至るまで、新人族たちのたゆまぬ努力によって汚染物質の浄化を行い、結果、良好な住環境を手に入れた。


 新人族は、かつての人族には持ち合わせないものを取得した。


 それは【魔力】である。魔力は【魔法】を使う際の糧となるものである。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 今を去ること約40年前……


 深夜、午前3時。ヨーロッパ大陸にあるアスモニア。その中心部に広大な公園があった。

 アスモニア国営公園の中心部に高台があり、街のほぼ全景が見渡せる場所に、その建物はある。


 『国立英雄博物館』かつて、英雄と呼ばれたもの達の功績やゆかりの品等を収めた建物である。


 当たり前のように建物周辺は静かだった。そこに数人の人影が近づく。

 いかにもな全身タイツに身を包んだそれらは、背格好から男と女2人ずつの4人組であった。

 リーダー格と思われる男のハンドサインにより建物内の進入を試みる。

 【不可視】の術式を起動し、全員の姿が消える。電子機器に詳しいと思われる女の部下がキーロックをいとも簡単に解除してしまう。


 正門をくぐると過去の英雄達の像が迎えてくれる。それらには目もくれず一目散に建物のエントランスに。

 中に入る為、セキュリティにデコイを走らせ、誤作動を誘う。途中見回りの警備員を無力化し、建物地下の研究施設らしき所に着いた。リーダー格の男がおもむろに【不可視】の術式を解いた。


「総員、ここからが本番だ。心してかかれよ?」

「ラジャー」


 見張りに女2人を残し、ロッカーで防寒着を着込むと、警備員から奪ったカードキーを使い分厚い厳重な扉を開ける。

 氷温管理されたその中は、冷凍庫のように霜が辺り一面に付着している。男たちは霜をかき分けながら目標物を探す。やがて小さいアタッシュケースを発見する。

 中を開けると試験管が一本入っていて、試験管には何か書いてある。

 一人が小さいメモ帳を取り出し、文字を調べている。『黄昏の君』と古代文字で書いてあった。


「間違い無い、これだ。よし、ズラらかるぞ!」


 男はそう言って仲間と脱出を試みる。

 脱出は成功し、建物は元の静寂に戻った。


「これで我が一族の悲願は達成される」




 そして現在……

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