3秒の強奪者 モンスターから奪ったスキルで異世界最強‼

モモん

プロローグ

プロローグ -竹取物語?-

ズバン!

パキパキパキ!

ズザザザザッ!


俺を目覚めさせたのは、そんな物騒な音だった。

もっとも、当時の俺にはザザーッというノイズでしかなかったが。


「どうだ?」


「ハズレだね。

サルみたいなガキが入ってるだけ」


「ガキだと?

なんで竹の中にガキが入っているんだ?」


「私に分かるわけないでしょ。

シラン、何か該当する事例はないの?」


「ちょっと待って下さい。

……ありました。

先人の残した寓話で、かぐや姫という女性が光る竹から生まれたと記録されていますね」


「ほお。そうすると、竹を細胞の培養器として使ったのか?」


「詳細は記録されていませんが、その女性は異星人で通常の数倍の速度で成長したようです。

やがて、星からの迎えが来て帰って行ったそうですよ」


中央演算記憶領域マザーの見解は?」


人造生命体ホムンクルスによる戦略的情報収集と推測してるわ」




《聴覚が同期されました》

俺の頭の中で聞こえた。

それまで、ノイズでしかなかった音が、意味のある音になる。




「情報収集用に、相手と同じ容姿を持った生命体を送り込んで、資質を探るって戦略か。あり得る話だな」


「それよりも、頭から血が出てるじゃない。

まったく獣人族は乱暴なんだから。

『ヒール!』

傷は塞がったけど、毛根がダメかもね」


「脳は大丈夫なのか?」


「もう1cm下だと危なかったわ。

表皮だけで済んだみたい。

良かったわねオミナ、殺人者にならなくて」


「なによ。こんな処に入っているヤツがわるいにょよ」


「ほら、”にょ”が出たじゃない。動揺してるのはすぐにバレるんだから」


「うっ、五月蠅いにょだ」


「ともかく、このままにしておけないから、ギルドに運びましょう。

状況の説明が面倒だから、竹の根っこごと運びたいわね。

アン、結界で1mくらい地面ごと切り出して運べないかな?」


移動基地ベースを呼んで、荷台に積んでいこう」


「この子は?」


「お前が抱くしかないだろうな。

それともオミナに抱かせるか?」


「仕方ないわね……」




《チャラリーン、おめでとうございます。エルフに抱かれました。少しスレンダーですが、妙齢の女性ですよ》


≪クチでチャラリーンとか言うのは止めてくれ。

感覚がないのに抱かれたといわれても、嬉しくも何ともないぞ。

そもそも、お前は何なんだ≫


《私は、この体に移植された案内人です。聖母マリアとお呼びください。ちなみに様をつけると特典があるかもしれませんよ。》


≪少なくともヒトではないだろう、


《疑似人格がありますので、ヒトと同等とお考え下さい。》


≪俺の脳の中にお前用の領域があり、脳内で疑似会話が成立していると考えればいいのか?≫


《それで結構です。思考領域は正常に働いているようですね。》


≪今の状況を教えてくれ。聖母様≫


《あなたは、地球という世界での生涯を終えて、この世界に転生しました。》


≪転生だと!魔法や剣の世界なのか?≫


《まあ、そんなところです。》


≪生涯を終えたってことは、地球では死んだってことだな。だが、地球という単語は分かるが、俺には生きていた記憶がないぞ≫


《知識は元のままですが、記憶領域にフィルターがかかっています。こちらで年を重ねれば、同じだけの記憶が解放されます》


≪理屈は分かった。

誰が送り込んだとか、話せる範囲で教えてくれ。

それと、俺はこの世界で何をすればいいんだ?≫


《誰がとの問いには、この世界の神と回答できます。それが貴方の交渉した相手です》


≪地球の神ではないんだな。それと、交渉という事は、これが俺の合意に元ずく結果という事か?≫


《その理解で結構です。何をするのかという質問には、魔王討伐とだけお答えできます。期限は決まっていませんし、魔王自体がまだ出現していません。それ以外は、ハーレムを作ろうがあなたの自由です》


≪ふむ……転生ってことは、赤ん坊なんだよな。親は?≫


《竹から生まれたという設定ですので、これから里親を決めてもらうことになります》


≪竹からって、かぐや姫かよ!

まあ、血縁とかの余計な縛りがないだけ楽だな≫


《竹取物語の要素を取り入れてありますので、3か月で10才まで成長し、そのあとは普通に戻ります》

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