第8話困惑

「さあそうと決まればこちらの時代に合わせてもらわねばいけません」


祐介はそう言うと差料を回収すると言った。


「回収?我々に丸腰になれと言うのか」


永倉が抗議した。


「今の世にあって、隊士の命を狙うものは居ません」


祐介はそう言って一人一人の刀を回収する。


「もちろん、手入れや手にしたいときは言ってください。その時にはお出しします」


全員の刀を回収できた。


「それでは次の準備です」


各々が下駄を履き、表に出た。驚くべき世界が広がっている。


「見ろ、歳よ。道が石で出来ている」


道路に触れてそう言った。


「局長、それどころじゃないですよ。走り回っているあれは何ですか」


「ああ、あれは走る車、自動車ですよ。いずれ乗りましょう」


祐介は言った。隊士一同には刺激の強い物ばかりだ。

驚きに満ちた百五十年後の世界。町の案内をしつつ祐介は西院通りを目指した。

目的はウニクロだ。やたらと明るい店舗に着いた時、隊士一同に言った。


「これからは羽織袴を脱いで、洋装になってもらいます。現代では和服は趣味の世界です」


隊士は一面にびっしりと並ぶ商品を見て困惑した。これからは食客として小野田家にお世話になるのである。文句は言えない。

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