物語を作ろう! アハッ!

渋谷かな

第1話 ベース1

短編を書き続けても面白くない。

また出版社の大人の事情も面白くない。

純粋なので頓挫する。

不正してアクセス数や星の評価を操作しないので。


そこでたどり着いたのがベース作を作って、そこで何度も何度も繰り返そう。面白ければ拾って話が膨らむはずだ。また書いたものがベースで継承されるのだから無駄にはならない。


「執筆とは二手三手先のことを考えるものだよ。」


こういう時に作家さんと編集くんを続けておいて良かった。結局はあれがベース。継続されてきた作品には何らかの意味があるのだろう。それが代表作になるのかもしれん。ただ作家さんと編集くんではコア過ぎるので、広く浅く信者を獲得するには広義なタイトルがいいい。


「物語を作ろう!」


それだけでは商標権に引っかかりそうなので「アハッ!」をつけて。


「物語を作ろう! アハッ!」


昔は「エヘッ!」だった。だが「アハッ!」の方が広義である。完璧。やることは作家さんと編集くんから何も変わらない。



「さあ、何から始めよう?」

 作家さん。

「何でもいいんじゃないですかね?」

 編集くん。

「いいな。このグダグダ感だけで現代ドラマが成立する。」

「ジャンル分けだけですからね。作家さんと編集くんは現代ドラマですからね。」

「我々の実写化か、俳優は誰だ? 女優さんは誰だ?」

「あれ? ということは編集の僕は君なので、作家さんは女だったんですね。鬼滅の刃の作者と同じですね。」

「作家が女で何が悪いー!」

 グダグダ書いていくと設定も決まっていく。「物語を作ろう! アハッ!」なんて素晴らしいシステムなんだ。

「実際の人間の生活で、ハンカチを落として拾った相手と恋愛する。あり得ん。あり得る訳がないだろうが!」

「そうですね。交番に落とし物のハンカチがあるかないか聞きに行く程度ですもんね。」

 これが空想の物語ではなく現代ドラマ。

「やはり物語には夢と希望が必要だ! これが女のロマンだ!」

「それを言うなら男のマロンですよ。」

 どちらも微妙に違う。

「ああ~、モンブランが食べたい。買ってきて。」

「ええ~!? パシリですか!? パワハラですよ!?」

「いいんだよ。私は売れっ子作家だから。嫌なら編集なんてやめればいいじゃないか? 編集長には私から編集をクビにするように電話するよ?」

「脅迫ですか!? やめて下さい。分かりましたよ。モンブラン買いに行きますから・・・・・・。」

「それでいい。それが編集の仕事だ。私が女で良かったな。もし私が男で、編集くんが女なら「服を脱げ! 作家をやる気にさせろ! 嫌なら無職になって路頭に迷うんだな! ワッハッハー!」というセクハラ? いや、レイプまでやってる人気作家さんがたくさんいるのが、作家業界の影の常識だからな。」

「アイドルがアイドルプロデューサの夜の相手させられて売り出してもらえるのと同じですね。」

「そんな性的被害にあいながらもアイドルになりたいという自分の夢を叶える。テレビで笑顔で歌っている姿が健気で悲しいな。」

「被害にあわないで売れる人は一握りでしょうからね。」

 こんな会話が現代ドラマのリアルな世間話。

「やっぱり夢と希望がある物語を作ろう!」

「そうですね。一部の金持ちが作り上げてしまった現代に夢がありませんからね。例えば公務員になりたいと思っても、試験はやっているけど、テストの成績も不正にコネ身内操作。からのコネ身内しか合格しない面接。最初から公務員になれるのはコネ身内のお坊ちゃまとお嬢様だけ。」

「金なし日本の採用枠が1人や10人じゃ無理だな。コネ身内には勝てない。公務員になれるのは親が公務員だけ。」

「世の中、腐ってるな。」

 こんな作家さんと編集くんの会話をベースにしよう。

 つづく。

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