北極の人々

戌亥修一

まえがき

 本編に入る前に、簡単に筆者クヌート・ラスムッセンについてお話します。彼は1979年、グリーンランド西部のヤコブスハン(現イルリサット)にて生を受けました。宣教師であるデンマーク人の父と、イヌイットの母のもとに産まれた彼は、見た目には白人系でありながら先住民のルーツも持ち合わせていました。彼はデンマークへ渡り一度は俳優を目指しますが、二十歳で断念し、1902年にグリーンランド北部のイヌイットを求め三人の隊員とともに冒険へと旅立ちます。のちに「文学的冒険」と呼ばれるこの旅で、彼はなにを見るのでしょう。

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