いってきます、おかえり、ただいま

マドカ

いってきます、おかえり、ただいま


-----ようやく自由の身だ----




修也はそう思った。



冬の季節、吐く息は白くコートを着込んでいても東京は寒い。




修也が家出をしたのは3日前。




住み慣れた家ではあったが、いつまでも家族に管理監視されることが数年前から嫌気がさしていた。




荷物は服と裸の幾ばくかの金。




ひとまずマクドナルドへ行く。




手作りの物しか食べてはいけなかった為、ジャンクフードを食べてみたかった。




「えーと、このフィレオフィッシュを」



「ご一緒にポテト等のセットはいかがですか?」



「? あ、あぁお願いします」




目の前に並べられたジャンクフードを貪りつく。




衝撃的な美味さだった。

そしてその瞬間に自由の身になったと改めて思った。




さて、これからどこへ行こうか。

俺は自由だ。どこにでも行ける。

もう時間なんて気にしなくていいのだ。




キャバクラ、ゲーセン、パチンコ、映画館。

全てが新鮮で楽しかった。

しかし、、、、、、、




********



飽きた。



修也は一週間目で飽きた。




気付かなかったが修也には友達が居なく、毎日の飯、宿、豪遊で金も尽きた。




気まずいが帰ろうか。。。



そう思いながらボーッと歩いているとカップルと肩がぶつかった。




「す、すいません」

「いってぇなぁ。。 ボーッと歩いてんじゃねぇ、小汚ない格好しやがってクソが」




カップルの女性も怪訝な顔をして

汚い、、、と呟きながら通りすぎていく。




やはり家に帰ろう。

一人だと居場所がない。




思ったより外の世界は修也にとって怖く感じた。




やはり住み慣れた家が一番だ。

帰ろう。。。




そして修也は駅のホームへ行く。




電車が目の前に来るタイミングで




初老の男性を突き飛ばした。




これで家へ帰れる。。。




*********




「42番、戻ってきましたね。 しかし殺人とは。。」



「その前も殺人だぜ。 無期懲役がやっと終わったのにな。」



「聞きました? ただいまって言いながら戻ってきましたよ」



「まぁ50年も刑務所にいたからな。」



「…………やっぱり無理があったんですかね。 社会生活に溶け込むのは。 天涯孤独な身ですし」



「かといって犯罪はやはり許してはいけない。 今回は恐らく死刑になるだろう。」



「そうなりますよね。。。」




*******



住み慣れた我が家に帰ってきた。



毎朝7時に起き、夜は9時に寝る。



家出してわかったが、やはり

この家じゃないと生きていけない。




42番!



はい、ただいま看守さん。 またよろしくお願いしますね。




藤田修也72歳、殺人にて刑務所にて服役中。

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いってきます、おかえり、ただいま マドカ @madoka_vo

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