第102話(ユニゾン・ドライブ)
特別1人だけ変則的【
何か、僕だけ皆と違う形になるのは仕方ないけど………これって難易度が上がってない?………でもこれで後になって誰からも文句を言われることがないぞ。
イルマは自分だけがルールに該当しないことや、それを観客達が公平では無いとクレームを付けたこともあって他の大会参加者達とは違う形で【
しかし、その損したと感じる気持ちをこれで後になって誰からも後文句を言われることがないだろうっと、自分に言い聞かせて抑えるのであった。
そして大会関係者が戦いを始める為に用意出来るだけの数、20体のゴーレムを舞台の上に用意した後、イルマも舞台の上に上がって戦いを合図を待つ。
「それでは御待たせしました!これよりイルマ参加者の変則的な【
───やっとか、楽しみだぜ!ゴーレム20体VS1人、どんな戦いを見せてくれるんだ?
───前の種目みたいに暴れてくれるのか?それともまた凄い光景を見せてくれるのか?………早く戦いを始めてくれ………!!
やっとイルマの戦いが始まることに沸き立つ観客。
「…………ふん、得意、不得意な戦闘分野が無いだと?そんなこと黙っていたらいいのに、馬鹿正直に言うから1人だけゴーレム達20体と変則的戦いをすることになったんだ。精々無様な戦いをしてくれるなよ?」
自分に対して大きな口を叩き、得意、不得意な戦闘分野が無い、と正直に言って自分が不利な勝負を挑むことになったイルマに悪態を吐くセイナ。
「もう、イルマったら大会の人に正直に言っちゃって、だから1人だけ変則的なそれでいて難易度が高くなった戦いをしないといけなくなっちゃったじゃない」
「そうだな。でもメラ、それでもイルマなら大丈夫だろ?」
「………イルマなら……何時も私達が見てきたイルマなら大丈夫」
「………そうね。私達が何時も見てきた度々新しい力を発明したり、固有技能保持者の私達の中でも特に
「ああ(うん)!」
「なら、私達は何時イルマの戦いを、イルマがゴーレム達相手に
「ハハハハッ──そうだな。メラの言う通りイルマがゴーレム達相手に何時ものように
「…………確かにそれは楽しみに待って見るしかない。私達が知ってるイルマなら、今回も何かやらかすと思う」
そしてゴーレム達とイルマの戦いを楽しみに待つメラ達。
闘技場にいる皆がイルマの戦いを始まることに注目している中、大会の係の者がイルマに始めてもいいかと尋ねる。
「準備はいいか?」
「はい、何時でも大丈夫です」
「ふむ、それでは戦い開始!!」
イルマが大会の係の者に始めても問題ないと答え、係の者が戦いの開始の合図を行う。
イルマは闘技場にいる皆が注目している中、戦いを始めるのである。
◆◇◆◇
《ガタ、ガタガタガタッ!》
「───ッ」バッ!
係の者の合図と共に舞台の上で待機していた20体のゴーレムがイルマに向かって動き出す。
同じくイルマもそれに合わせて動き出す。
《ガタ、ガタガタガタッ!》
──ブンッ!ブンッ!ザンッ!ヒュッ!ドォーンッ!
「───フッ」
──サ、サササッ!
イルマは20体のゴーレムの攻撃を焦ることなく躱す。
そして攻撃を躱すイルマに20体のゴーレムは更に攻撃を加速して繰り出す。
《ガタ、ガタガタッ!!》
──ブンッ、ブンッ!ザンッ、ザンッ!
スパッ、スパッ!ヒュッ!!ドォーンッ!
が………
「───────」
──サ、サササササササッ!!
イルマはゴーレム達の加速した繰り出してきた攻撃を、防御や反撃もせずにそれどころかイルマから死角からの攻撃さえ躱し続ける。
「おおっ!!イルマ参加者、20体のゴーレムが繰り出す様々な攻撃を、それも死角からの攻撃さえ防御や反撃もせずに躱し続けているッ!!」
イルマが20体のゴーレム達からの攻撃を防御や反撃もせずに躱し続ける光景に大会実況者は興奮してその様子を叫ぶ!
──うォおおーーっ、スゲェエエエッ!!
──あの数のゴーレムに囲まれた上で、殴る、斬る、突くなど様々な攻撃を死角からの攻撃を含め、それでも躱し続ける!?どうやったら、こんな舞台の上の限られた範囲で、あれだけの攻撃を防御も反撃もせずに躱し続けることが出来るんだよっ!?
「…………おかしい、おかしいぞあいつ、やっぱり普通じゃねぇ………」
「あいつと戦うことにならなくてよかった。あんな芸当出来るなんて、俺の攻撃何てとても奴に当てること出来ない」
「………………ヤバ過ぎだろ」ダラダラ
闘技場にいる観客は、イルマがゴーレム達から繰り出される攻撃を躱し続ける凄まじい光景を目にし、興奮の雄叫びを上げる。
そして他の大会参加者達は、目の前に広がるそのイルマの体捌きと凄技の光景に、イルマと自分達の間にある実力差を嫌でも思い知る。
「──っ(………何なんだ、あの子供は!?あれだけのゴーレム達からの様々な攻撃を、防御や反撃もせずに躱し続ける……だと?………しかも死角からの攻撃も含めて?そんなこと、この俺でもそんな芸当は出来ないぞ………)」
ソロの上級冒険者であり、"百弾"という2つ名を持ち、イルマ達を除けば大会参加者の中でも屈指の実力を誇るセイナは、イルマとゴーレム達の戦いを舞台の下から見ては、20体のゴーレムに囲まれた上で死角からの攻撃を含め防御も反撃もせずに躱し続ける凄まじい芸当を繰り広げるイルマの力に戦慄を覚えていた。
「いいぞイルマーー!今度は反撃してゴーレムなんてぶっ飛ばせ!!」
「(イルマったらゴーレム達の攻撃に対して防御は兎も角、反撃もせずに躱し続けるなんて何を狙っているのよ?)」
「…………………」ジー
メラ達はイルマとゴーレム達の戦いを観て、闘技場にいる人達とは違い、驚愕や畏怖、興奮しては雄叫びを上げることなくイルマの戦いを観ていた。
ダンは純粋にイルマの戦いの応援を。
メラはイルマの狙いを見極めようと。
シーラはイルマがこの戦いで何かしようとするのかジーっと観ていた。
《ガタ、ガタガタガタッ!》
──ブンッ、ブンッ!ザンッ、ザンッ!
スパッ、スパッ!ヒュッ!!ドォーンッ!
「───────」
──サ、サササササササッ!!
その後少しの間イルマとゴーレム達との【
そのイルマの戦いに実況や観客達はイルマがゴーレム達の攻撃を戦闘終了まで躱し続けることが出来るのかとワクワクしたり、最後まで攻撃を躱し続けることが出来るのかと賭けを始める観客が出てきたり、躱し続けるだけじゃなくて反撃してしっかり戦えっ!と野次を飛ばす者も出てきた。
………そろそろいいかな?
1部の観客は野次を飛ばしてきたりと痺れを切らしてきたことだし、そろそろ反撃に移ろうか。それにこの戦いのお蔭で
イルマは1部の観客が自分の戦いに野次を飛ばしてきたことや、自分の奥の手がゴーレムとの戦いで大体完成させるという目的が達成出来たこともあって、防御や反撃もせずにひたすら攻撃を躱し続けるという行動を止めることに決める。
そしてイルマはやっと反撃に移ろうと考えるもただ普通に反撃に出るだけでは勿体ないと思い、ゴーレムに反撃出ると一緒にある物も試すことにした。
「(よし、行くよミルン?)」
『(はい!イルマさん何時でも行けます!)』
「『《ユニゾン・ドライブ》!!』」
───ヒュイィーーイン!!
「おおっ!?イルマ参加者、遂にゴーレム達の攻撃を躱し続けるのを止めて反撃に出るのか?…………何だ、何だ?ゴーレムに反撃に出だしたイルマ参加者の身体が急に輝き出したぞ!?」
───おっ?やっと反撃に出るのか?
───っち、俺はあいつが戦闘終了まで攻撃を躱し続けることに賭けていたのに………
な、何だ………?あ、アイツ、アイツの身体の輝きは何なんだ?
───どうしたんだ!今度は何が起きるんだ?
イルマがゴーレム達に反撃に出ることに実況や観客達はやっとか、何だよ最後まで攻撃を躱し続けないのかと言ってると、ゴーレム達に反撃に出たイルマの身体が輝く姿に何事だとざわめく。
「な、何だ?………イルマのやつ、今度は何を始めるんだよ?」
「………何よ、何が起きてるのよ!(イルマったら今度は何を始めるのよ?…………まさか、また新しい力を会得したって言うんじゃ無いわよね?)」
「………(あの輝きは何?何の力が発動している?)」
メラ達はイルマが発動させている力の正体を知らないこともあって混乱するが、直ぐにその力の正体を見極めようとイルマの姿をジーっと目を凝らして見る。
「(何だ?奴は今度は何をしているんだ!?)」
セイナもイルマが今度は何を行っているのか分からず、その為戦いの様子を目を凝らして見つめていた。
「(この力の構想は前から考えていたけど、想像していたよりも力の制御が難しい。制限時間も残り少なくなって来たこともあるし、短期決戦だな)………一気に行くよ!」
『(はい、イルマさん!)』
「イルマ参加者、何故身体が輝いているか分からないが、漸く反撃に打って出るみたいだぞ!」
───ダッ!!
《ッ!?──ガッ!?》
───ドォーンッ!!!!
新しく発動させた力の制御が厳しいと感じたイルマは、力の制御が持たないことや制限時間も残り少ないこともありゴーレム達に一気に反撃に打って出た。
《ッ!?》
「(初めて発動させた《ユニゾン・ドライブ》。その力の制御のせいで何時の様に技能の多重発動は難しい………けど、それでもゴーレムを一撃で倒すにはこの《ユニゾン・ドライブ》をした上で力を使わないとっ!)」
《ユニゾン・ドライブ》の力の制御の為に何時の様に技能の多重に使うのが難しいイルマ。
「………魔法1つ位ならいけるか?………ならこれだ!」
今の自分の状態を把握した上でイルマは、魔法1つ位ならいけると感じてある火の魔法を発動させる。
────ハァーーッ!火の中級魔法、《
──ボォッ、ボォオオッ!!
火の中級魔法、《
「おおっ、イルマ参加者、火の中級魔法である業炎を発動させた!!」
「火の魔法でゴーレムを倒すのか!?」
「あのゴーレムには火の中級魔法、その業炎でも無理だろ!」
「(そんなこと、イルマなら分かっている筈だ!確かに新しい力を発動させた関係で他の力を使うのは難しいかもしれないが、イルマならそれでも何とかする!)」
「(確かに火の魔法1つだけだとあのゴーレム達相手に威力不足だわ。でも今のイルマにはそれ以上の力を使うのは難しいんだわ!でも……)」
「(イルマもそんなの分かっている)………でもそれでもイルマなら………」
「「「イルマなら、いける(わ)」」」
メラ達の視線の先には、先程発動させた火魔法の業炎を剣に纏わして火の魔法剣を造るイルマがいた。
「こ、今度は火のっ、魔法剣と………闘気を融合!……火の闘魔剣ッ!!」
力の制御に苦戦していたイルマだったが、それでも気合いと根性で力を制御して火の魔法剣を造り、その魔法剣の威力を上げる為に闘気も剣に纏わして火の闘魔剣を発動させるイルマ。
「(っや、っぱりキツイ!………)」
『(い、イルマさん……)』
「クッ─────と、闘魔剣からの
《紅蓮斬り》ッ!!」
───ブンッ!ブオオォォーーンッ!!
「反撃に打って出たイルマ参加者、自分の剣を燃え上がらせてゴーレムに斬りかかる!!」
イルマはゴーレム達に《ユニゾン・ドライブ》の力で、高速に接近しては火闘魔剣で《紅蓮斬り》の攻撃を放つ。
「ガッ!?──ガガガッ!」
──ギィーーバッタン!!
「イルマ参加者ッ!火の剣で、硬いゴーレムの防御を物ともせずに一撃で倒した──ッ!!」
「クッ────次だッ!!」
イルマはゴーレムの1体を倒した後、額から汗を流し、暴れる力に顔を歪めながら堪えては次のゴーレムに狙いを付けて接近する。
そしてイルマは次々とゴーレムを斬り倒す。
ゴーレム達はそんなイルマにドンドン攻撃を放ち反撃するが、イルマは《ユニゾン・ドライブ》の力で攻撃を躱して倒していく。
そんなイルマに観客達は歓声を上げ、他の大会参加者達は畏怖と興奮の声を上げる。そしてイルマの力を見ていたセイナはというと………
「な、何だよ!あれは火の魔法剣!?──い、いや、火の魔法剣にしても威力が高過ぎる!!火の魔法剣に何かして威力を上げているのか?あれだけの力に加えてそんなことも出来るのか奴は!!」
イルマの《ユニゾン・ドライブ》の力とそれと同時に強力な火の魔法剣(火の闘魔剣)の力に驚愕していた。
「やっぱりな。イルマならこれぐらいやると思っていたぜ!」
「そうね(ちょっと心配したじゃない!───でも、イルマが使っているあの力は何なのかしら?)」
「………………(新しい技能?違う、技能単体だけならあれだけ力は出ない。………なら、イルマは何をした?)」
メラ達はイルマが《ユニゾン・ドライブ》を発動した上で、火の闘魔剣ゴーレム達を倒していく姿に安心してはイルマが使っている新しい力の正体について考える。
そして………
「─────ハァハァ…………これで最後だ!」
───ブンッ!ブオオォォーーンッ!!
「ガッ!?─────ガッ、ガ、ガ、ガ───」
ギィ────ドォーンッ!!
イルマは最後に残ったゴーレム1体を息を切らしながらも斬り倒す。
「まさか、まさかイルマ参加者ーー!!制限時間残り5秒と、【
───《ワァアアアーー!!》──────
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