【小話4】(マルクス達がイルマ達と訓練していた時の話)
【マルクス達がイルマ達と訓練していた時の話】
【ダイとダンの場合&イルマ】
養成所の授業がない休日に、ダイがダンに闘気の使い方を教えて欲しいと頼んできた。ダイのお願いにダンは了承し、ダイに闘気の使い方を教える為に養成所の訓練場の空いているスペースで訓練をしていた。
「こうか?」
「違う。こうだ!闘気はこう使うんだ!」
ダンは、闘気を中々発動出来ないダイに見本を見せる。
「ハアッ!!」
ゴォーーッ!!
「おぉ!ーそれが闘気!?」
ダンがダイに見せた闘気は、ダンの身体の周りを巡ってダイから見ても力強さを感じることが出来た!
「闘気は、生命力を源に使う力だ。だから魔法と違って、難しいことを考えずに自分の中にある力を疑わずに外に出すイメージでするのがいいぞ。」
「……それが難しいことなんだがな。」
「そうか?俺は特に苦労せずに出来たけど?」
実はダンは闘気の面ではイルマよりも才能があり、能力値や技能でダンとの差を埋めているだけで、イルマも闘気だけはダンには勝てないのだ。
その為、イルマが闘気を習得する際はダン以上の努力と技能≪成長補足≫の力で闘気を習得したのである。
なのでダンはダイの苦労が分からないのであった。
「(俺は聞く相手を間違えたみたいだ。)」
ーまったくその通りだ。
その後結局ダイは闘気を習得出来ず、今度はイルマから闘気の習得方法を聞くのであった。
「闘気を習得するには力を腹から血液を巡らせるように意識してみたり、身近でいる闘気の使い手の闘気を直接感じて見ると自分の闘気を感じやすいよ?…ほら!」
とイルマはダイに闘気の習得方法の説明と、闘気をダイの肌に当ててダイに自分の闘気を感じやすいようにした。
その後ダイは、イルマのお陰で無事に闘気を習得する。
「(………最初からイルマに聞けば早かった。………上手く出来るからといっても、上手く教えれる訳ではないということか。)」
「(と思っているんだろうな~~。ダンは感覚派だからダンに教えを頼むのは選択ミスだったね。)」
今回の件でダイは、ダンに教えを頼むのは選択ミスと学び、イルマもダンが人に物を教えれるのは、同じ感覚派だけと再認識する。
「……何で俺のやり方だと出来ず、イルマが教えたら出来るんだ?…………駄目だ!俺に難しいことは分からねえ?!」
ダンは、ダイが自分の教えで闘気を習得出来ないのに、イルマが教えたら闘気を習得出来たことに頭を捻っていた。
【キナリとメラの場合】
キナリは、魔法をもっと使いこなす為にメラと一緒に魔法の訓練をしていた。
その為キナリは、自分が使える魔法を発動して的に向かって放つ。
「火魔法"フレイムスピア"ー火の槍ー×3」
ボオッ、ボオッ、ボオッ、ボオーーッ!!
キナリは火の魔法、"フレイムスピア"を3個を魔法で生み出して的に放った。キナリは、的にぶつけた自分の魔法をメラに意見を求める。
「どうですか?私の魔法は?」
「ーー駄目ね!魔法が収束出来ていないから威力が拡散しているわ!」
「……魔法の収束ですか?それは一体何ですか?聞いたことがありません!」
魔法の収束。
それは、イルマがメラに教えたこと。
イルマはメラに魔法を教えた時に、メラの魔法の力を見ては、「折角の魔法の力が拡散している。魔法を放つ前に力が逃げないように意識して!それで魔法を収束……力を一点に集中させることで魔法の力が逃げず魔法の力を全て対象にぶつけることが出来る」と教えていたのだ。
メラはキナリに、自分がイルマから魔法を教えてもらった時のことを思い出しながらキナリに魔法の収束について説明する。
メラから魔法の収束について説明を受けたキナリは「……なるほど。難しいことは分かりませんが、折角の魔法の力が逃げているってことですね?勉強になります。」と答え、メラの言葉通りに魔法を一点に集中させることで、魔法の収束を習得しようとしていた。
その後魔法の収束を習得したキナリは、収束した自分の魔法の威力に驚き、それ以降メラのことを先生と呼ぶ。
しかし、メラはキナリの先生という呼び名を嫌がるので、人前では呼ばないがキナリの内心では《メラ先生》と呼ぶのであった。
【アーラとシーラの場合】
アーラは、同じ回復魔法の使い手であるシーラが自分と違って、自分だけの力で自分の身を守る力があるのを知って、シーラにその力をどうすれば手に入れれるか聞きにいく。
「………自分の身を守る力?」
「そうなんです!私は職業が僧侶なこともあって、回復魔法と攻撃を避けることは得意ですが、攻撃魔法や物理攻撃が苦手で。だけど、シーラは回復魔法や防御魔法に攻撃魔法、他にも魔法以外で短剣術も使えるじゃないですか!私も自分の身を守る力が欲しいのです!」
「……なるほど。私の場合は、回復魔法は後から覚えたけど、始めは攻撃魔法と護身用の短剣術しか使えず、攻撃魔法を使うのに時間が今より必要だったから、自分の身をイルマとダンに守ってもらっていたからアーラの気持ちは分かる。」
「っなら!」
「でも、自分の身を守る力を簡単には身に付かない。だからスパルタで覚えて貰う。」
「えっ!?」
アーラの気持ちを、シーラも同じことを感じていたことがあったので理解する。そして、アーラの気持ちを理解したシーラは、しかし、自分の身を守る力は簡単には身に付けられないことも知っているシーラは、アーラに自分の身を守る力を身に付けさせる為にスパルタ方式で覚えさせようとする。
「今から私がアーラが覚えて貰う攻撃魔法や短剣術を直接身体に叩き込む。大丈夫、怪我しても回復魔法がある。」
「えっえっ!?」
「今から始めるけど、覚悟はいい?」
「えっえっえっ!?ち、ちょっと待って下さい!?」
「駄目。時間は有限だから覚悟が出来ていなくても途中ですること。」
「えっーー!?そんなーーー!?」
「ほらもう始める。風魔法"ウィンドカッター"ー風の刃ー」
ヒューースパッ!
「ヒッッ!?当たる!?当たったら下手したら死んじゃいます!!」
「嫌なら私の魔法を見て、攻撃魔法を真似して相殺する。」
「そんな無茶なッ!?」
「ほら続きの魔法を放つ。」
シーラは、アーラの言葉を無視して風の魔法"ウィンドカッター"を次々に放ち始める。
アーラは、シーラから放たれる風魔法を必死に避けながら見て、それを喰らいたくない一心で風の攻撃魔法を習得するのであった。
アーラは、シーラとの訓練で自分の身を守る力、攻撃魔法の習得と得意であった回避能力の向上に成功する。
しかし、その代償にアーラは心身が疲れ果て+シーラに暫く苦手意識が抱くことになるのであった。
でも今回の件の後、時間が経ち、アーラはシーラに苦手意識が薄まったのか、シーラと回復魔法については話し合う姿が見られることがあったとのこと。
【マルクスとイルマの場合】
マルクスは、自分の能力を更に伸ばす為に自分達よりも強いイルマ達、その中でも一番強いイルマに普段の訓練内容を教えて貰おうとイルマを訪ねる。
イルマの元に訪ねたマルクスは、イルマに事情を説明して普段の訓練内容を教えて貰えるよう頼む。
イルマは、マルクスの頼みに快諾し、マルクスが分かりやすいように今から訓練内容を実際に見せるのであった。
そしてイルマは、マルクスの目の前で普段している訓練をマルクスに分かりやすいように説明しながら行う。
最初マルクスは、イルマの説明を聞きながら真剣にイルマの訓練を見ていたが、途中からは目を遠くしていた。
「?どうしたのマルクス。そんな遠い目をしてさ?」
「………イルマ、……お前、普段からこんな訓練をしているのか?」
「?今回はマルクスに説明をするために軽めにしているよ。だから、普段はもう少し厳しい訓練をしているよ?」
「……これで、…軽めだと?こんな厳しい訓練が軽めで、普段はもっと厳しい訓練をしているのか?!」
「そうだよ?勿論、最初はもっと優しい訓練だったけど、訓練に慣れたらドンドン厳しくしていたら今の訓練内容になったんだ。何せ、厳しくない訓練は意味がないからね。」
マルクスは、イルマの言葉に言葉を失う。
確かにイルマの言葉はもっともだが、している訓練内容が可笑しい!何せ、身体を鍛えるのに闘気や魔法を使って身体に負荷をかけて、身体が動かなくなったら今度は魔法や気、技能等身体を動かさなくても出来ることをするのだ。
そして、身体が動けるようになったら再び身体に負荷をかけることを繰り返すのだ。時には、回復魔法を使って身体を癒してでも訓練を続ける等、早々訓練ではなくて拷問に近い訓練を普段からしていると言っているのだ、そりゃマルクスがイルマの訓練内容を見て遠い目をしたり言葉1つ失くすだろう。
「………こんな訓練を普段からしていたら強い訳だ。………悪いイルマ。わざわざ俺の為に訓練内容を説明してくれたがとても俺にはこんな訓練は出来ない。」
「うん?そうかなぁ?訓練の量を減らしたら誰でも始めることが出来る訓練内容だと思うけど……」
「(違うッ!?訓練の量ではなくて!?こんな拷問染みた訓練を普段から出来るなんて普通の人には出来ない!!)」
「(イルマ達の中で、普段の行動や言動から普通に見えるけど!、模擬戦の時みたいに中身はイルマ達の中でも一番異常だろコイツッ!?)」
イルマの見た目と反してイルマの異常な部分を見て、実感したマルクスはイルマに戦慄し、結局イルマの訓練内容が自分には真似出来ないとイルマの訓練内容を参考にするのを諦め、自分が今している訓練を更に厳しくして、時々イルマ達と手合わせをすることにしたのであった。
「なんでマルクスは僕の訓練を可笑しいと言ったんだろ?身体や技能、気の操作や魔法の精度全部鍛えることが出来る訓練なのに?」
「(普通の人にこんな訓練が出来るか!?)」
そしてイルマは、マルクスが自分の訓練を参考にしない理由について答えが分からずに頭を捻り、マルクスが内心イルマに対してツッコミを入れるのであった。
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