第367話 命の欠片について星の核に質問してきた。

「星の核、ちょっといいか?」


「ん-、どうしたのー?」


俺はダンジョンコアの材料である命の欠片について聞くため、現在星の核がある場所へ来ている。


恐らく世界の住民の誰に聞いても知らないだろうし、それならと思ってここに来てみた。


アマテラスオオミカミに聞くかどうか悩んだが、不干渉の約定を結んでいたから知らないかもしれないからな。


俺が住んでいたチキュウでは無かったものだ、恐らくアカシックレコードに記録はされているが伝えるかどうかは星の核次第といったものだろう。


自然生成物と考えられていたが、こうなると人工物の可能性すら出てきているし。


「ダンジョンコアを想像錬金術イマジンアルケミーで作ろうとしたら命の欠片という材料が必要なんだけど、何か心当たりはあるか?」


想像錬金術イマジンアルケミー……あぁ、神の力のことね。

 命の欠片は文字通りだよ、君の概念で一番分かりやすいのは寿命とか魂とか……そういうものかな?」


「それを使わないとダンジョンコアは生成出来ない……という事は、これは人工物ということなのか?」


そうなるとクズノハは命を削ってダンジョンコアを作っていたことになる、過去にいくつ作ったかは知らないが俺が知る限り2つは作ってるんだよな。


くそっ、知っていればダンジョンコアを作ってくれなんて言わなかったのに!


「自然に出来るダンジョンコアもあるよ、でもそれは魔素がある星に限るけどね……だからこの星でダンジョンコアは自然生成される。

 命が材料だと言っても欠片だ――全部じゃないから安心して。

 生命活動を終えた命の残滓が魔素を含んだ土と合わさって年月が経つとダンジョンコアになるんだ、いくつもの残滓が必要だからね――ダンジョンが発見されにくい理由はこれさ。」


なるほど、確かに命の欠片というものに目を取られていたが魔力と土も材料として指定されていたな。


星の核の話を聞いて俺が住んでいたチキュウにダンジョンが無かったのにも納得、魔法が無い世界だったからまず魔素が存在してなかったのだろう。


「それなら、一個人がダンジョンコアを作ったとしてどれくらいの寿命が削られているんだ?」


「一概には言えないけど一つに付き数年から十数年くらいじゃない?

 でもダンジョンコアの質にもよるよ、良質な物ならそれこそもっと長い寿命が必要さ。」


「質なんてあるのか、どうやって見分けるんだ?」


「ダンジョンコアに聞けば分かるよ、見た目じゃ分からないし。

 君たちの使い方なら質が悪くても問題無いだろうけど、ちなみに良質な物は入り口とダンジョン内部が異空間になるから聞かなくても分かるかな?」


知りたかったけど聞きたくなかった情報が星の核から告げられる。


クズノハが作ったダンジョンコアは良質な物だろうな、明らかに建物の基礎に干渉してる場所もダンジョンが普通に広がっていたし。


「……教えてくれてありがとう、後はこっちで何とかする。」


「何かトラブルが起きてるんだろうね。

 君は神の新米だけど住民にも好かれてる、まだ評価するには早いけどよくやってるのは分かるから敬意を表して一つそのトラブルに関する助言をあげるよ。

ダンジョンコアの生成方法は昔に啓示を送ってる――種族はファントム種だよ。」


助言はありがたい、クズノハをそそのかした犯人の目星がつくからな。


しかしファントム種……種族名からして捕まえるどころか発見すら難しそうだ。


クズノハがダンジョンコアを作れるのは、ファントム種に教わったからと見て間違いないはず。


命の欠片の事を聞きに来ただけだが、一気に情報を仕入れることが出来た。


「貴重な情報ありがとう、それじゃ俺は村に戻るよ。」


「はいはーい、星の核が神を助けるなんて滅多に無いんだから頑張ってよね。」


そうだったのか、神の中でも貴重な体験をしたのかもしれない。


だが今はそれに感動するよりこの情報を村に持ち帰ることだ、妻達やクズノハ……それに各種族の長を集めて問題解決に動かないと。


クズノハには秘密にして動きたかったが、メアリーが言っていたのもあるしファントム種の事もある――流石に話を聞きながらじゃないとダメだな。


どれだけ寿命を削ってしまったか……知らなかったとは言え謝らないといけないし。


許してもらえるかどうか分からないけど。




村に帰り妻達に状況を伝え、その後即座に緊急の話し合いが開かれることに。


そして全員が神殿に集まったので話し合い開始。


「では開様、現状持っている情報の説明をお願いします。」


「分かった、実はな――」


「何じゃと……?」


俺の話を聞いたクズノハは俯いたままわなわなと震えている。


やはり寿命を失った事が許せないのだろう、こればっかりは怒られても嫌われても仕方ない。


俺はクズノハの口が動いたのを確認したと同時に怒号を覚悟して目を瞑った、神になって恐怖に怯える時がこんなに早く訪れるとは。


「あ奴め、一体何がどうなっておるのじゃ!」


……ん?


俺が思っていたのと全然違う叫びが聞こえたので、ゆっくりと目を開けてクズノハを見る。


「村長、ちょっと待っておれ。

 もう一人の我に変わる。」


「え、なんて?」


クズノハは俺の理解出来ない言葉を発して目を閉じた――と思ったら目を開き俺をじっと見てくる。


何だったんだ?


「交代したぞ、我がもう一人のクズノハじゃ。」


待て、何がどうなっているのか全く分からないから説明をしてくれ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る