第47話 ミノタウロス族の移住が完了、調査の3人も帰ってきた。
ミノタウロス族の里までの街道を敷き終えて3日が経ったところで村に到着した。
こちらに帰ってきたところでダンジョンコアに頼んで石炭の生成もお願いしている。
採掘組のドワーフ族から石炭が採掘出来るようになったと報告も入ってるので成功だな。
「村長、これからミノタウロス族をよろしくお願いいたします。」
「こちらこそよろしく、家は要望を聞いて俺が用意する。
今日のところはそこで休んでもらう。
ヤンは明日の朝に俺の家まで来てくれ、ミノタウロス族にしてもらう村の仕事の説明をするから。」
「わかりました、しかし住居をすぐに用意するとは……?」
「街道を敷く俺のスキルを見ただろ?
「はぁ……。」とあっけにとられたような表情で返事をするヤンだが、住居の要望を伝えその後すぐに目の前に家が現れると口をあんぐりと開けて茫然としていた。
他のミノタウロス族からは気絶者も出てしまった、誰かー、介護の手助けをしてくれ……。
ミノタウロス族の家は全員分作り終わり、事前に用意してもらっていた寝具も運び込み終えた。
着替えはケンタウロス族の裁縫組が寸法を取り次第準備するとのこと、よろしく頼むぞ。
「じゃあ今日からここが皆の村と家だ、長旅ご苦労様だった。
ゆっくり休んで英気を養ってくれ。
腹が減ったら食堂もある、そこに行けばドワーフ族がうまい飯を出してくれるから。」
「何から何までありがとうございます、我らミノタウロス族は村長に忠誠を誓います。」
俺に忠誠は誓わなくていいぞ、村のために力を貸してくれたらそれでいいから。
皆でより良い暮らしにしていこうな。
ミノタウロス族への対応を一通り終えて食堂に行こうとしたら、プラインエルフ族の里へ調査に向かっていた3人が帰ってくるのが見えた。
ちょうどいい、3人もお腹は空いてるだろうし食事をしながら報告を聞くとしようか。
「結論から言うと、プラインエルフ族の里には何かあるし、どこに何があるかもわかってる。
けどそれが何かはわからずじまいね。」
ウーテから報告を受ける、やはり変な気配は気のせいじゃなかったんだな。
「里で一番どころか恐らくこの未開の地で一番大きな木、神の樹……だったかしら。
あの木から植物だけじゃない生命の生命力と魔力が私の目に映ったの。
プラインエルフ族には何も話してないけど、あの木に何かが住んでるか宿っているのはほぼ間違いないわ。」
あの木が原因なのか……でも神が育てたというならホントに神があそこに住んでるかもしれないぞ?
信仰心を欲してるし、信心深いプラインエルフ族の近くに居ても不思議ではないんだけどな。
「でも、村長から感じるような魔力じゃないのよね……もっと邪な魔力というか……。」
あいつ信仰心のためだけに俺をこの世界に転移させたんだから、割と邪だと思うんだけど。
どうやらそういうことでもないらしい。
「僕はラウラが住んでいた場所に興味があって、里を散策してた。
ラウラにこれに向かって祈るようにー、って神を模ったらしい木彫り像をもらったんだけど。」
クルトは戦闘がなかったからか、自由にしていたみたいだ。
里が何かに襲われてなかっただけ、最悪の状況は避けれていたのは幸いだな。
ん……この像は俺をこの世界に転移させた神とは違うな。
偶像崇拝の中で出来上がった造形なんだろうか。
「あれ、なんで巨悪の魔人の木彫り像なんてあるんです?」
食事をしに入ってきたグレーテから、聞き捨てならない言葉が飛び出してきた。
なんだ巨悪の魔人って。
「かつてこの世界に史上最大規模の被害をもたらした魔族のことですよ、魔族領には多くの文献が残っていますし、私もいくつか挿絵を含んだものを見たことあるので間違いないです。」
確かに巨悪の魔人なんて悪そうな見た目はしてないが、俺をここに連れてきた神とは違う……しかし巨悪の魔人というヤツとは見た目が一致……。
そして邪な魔力を感じた……?
プラインエルフ族の里、まずくないか?
「里の皆に変わった様子はなかったか?
特にザスキアだ、何かに操られているような洗脳されているような様子は?」
「それは特に感じませんでしたが……巨悪の魔人ですか。
名前は聞いたことありますが、一番情報を持ってるのはグレーテさんでしょう。
ここでは何ですから、食事を終えて村長の家で話を続けましょうか。」
それもそうだな、憩いの場である食堂で物騒な話をするものじゃない。
ここまで危ない状態だとは思ってなかったからな、食事を終えて俺の家に行こう。
俺の家に集まり話を続ける、シモーネはオスカーに心当たりがないか聞きに行ってくるらしい。
メアリーとラウラ、それとカタリナも他人事ではないので集まってもらった。
「神の樹に巨悪の魔人が住んでいるか宿っていて、私たちが崇めていたのも巨悪の魔人だった……?」
気の毒だがそう言うことになる、どの世代からそうなのかまではわからないが……。
「この木彫り像は俺もクルトが持って帰ってきて初めて見たんだが、俺をこの世界に転移した神とは間違いなく違う。
そして、グレーテは魔族領の巨悪の魔人の挿絵が載った文献を見て、その挿絵と木彫り像の見た目が一致しているんだ。」
「疑って非常に申し訳ないのですが、グレーテさんがこちらに敵意を持って嘘をついている可能性はないですか?
私も生きてる魔族を見たのはグレーテさんが初めてですから、生き残っているほうが不思議と考えても何もおかしくないですよね。」
メアリーが考えれる別案を提示した、確かにその線もゼロではないけど……本人の前で言わないほうがよかったんじゃないか?
「メアリー姉、グレーテさんに敵意はないです。
索敵魔術でも脅威として映らないですからね、グレーテさんは味方と見て間違いないです。」
なるほどな、わざわざ敵意を持ってなんて言い方をしたのはラウラに確認を取ってもらうためか。
ここでもしグレーテが敵ならこの村の戦力で討伐は容易、味方なら裏で疑われていないという確信をグレーテに与えることが出来る。
当の本人は青色の肌がさらに真っ青になって狼狽したり、安心したり忙しそうだ。
「巨悪の魔人は被害を世界にもたらしている最中にドラゴンと戦い負けて、どこかへ逃走したと読みました。
その逃走先が未開の地だったのは知りませんでしたが……。」
「巨悪の魔人と戦って勝ったドラゴンはワシだ。」
そう言いながら、オスカーが家に入ってきた。
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