第19話 素材の話し合い、そして宴会2日目

「やーっとくっついたですか。」


起きるやいなや、ラウラからツッコまれた。


「だいたいメアリー姉は奥手すぎるです、好みの男性で開様のような良物件ならさっさと捕まえればよかったでモゴゴゴ……」


「ラ、ラウラッ!

 恥ずかしいからやめて……!」


メアリーは顔を真っ赤にしてラウラの口を塞ぐ。


「またワイバーンを狩ってきて宴会しなきゃね。」


クルト、無理はしないでくれ。


どうやら出会った当初から好意を寄せてくれていたのか、嬉しいことだ。


メアリーを妻にしたことも報告しなきゃな。


ワイバーンの素材をどうするか話し合いをするつもりだったし、そこで報告するか。


「メアリー、ラウラ。

 ワイバーンの素材のことで話し合いがしたい、ローガーとハインツを呼んできてくれ。」


「「わかりました。」です。」




「集まってくれてありがとう。

 ワイバーンの素材だが、牙は武器・皮や鱗は防具としてどう振り分ければいいと思う?」


ローガーとハインツに尋ねる。


「武器は警備を最優先に、残りは狩り部隊と交易部隊に振り分ければと思うが。」


「武器はそれで問題ないと思いますよ。

 防具は狩り部隊か交易部隊を優先するべきですが、どちらがいいか……。」


「交易は常に行われるわけではないし、狩り部隊でいいんじゃないか?」


「交易部隊が不慮の事故で全滅すると、命だけでなく村の物資もマイナスです。

 しかし危険度を考えると、優先すべきは狩り部隊でしょう。」


武器はすんなり決まったが、防具で少しもめている。


どの意見もわかるし、仕方ない。


「いっそダンジョン攻略部隊を組んで、防具はそっちに回せばいいんじゃないです?

 ダンジョンが攻略出来れば、武具や素材が手に入るかもですし。」


ラウラがボソッと新しい意見を出した。


「「「「ダンジョン!?」」」」


近くにダンジョンがあるのか?


「村の近くにダンジョンがあると、タイガ様が言ってたのです。」


「ダンジョンがあるなら早めに制圧しないと集団暴走が起きたら全滅しかねん……。

 数千の魔物がダンジョンから出てくると聞くぞ。」


数千の魔物?


タイガが連れて行ってくれた死体の山がそうだろうな。


「あぁ、それならタイガが倒したぞ。

 その群れにやられて、ボロボロになったところを俺が助けたのがタイガとの出会いだ。」


2人ともがポカンとしている。


ハインツ、普段落ち着いてるので余計変な表情に見えるぞ。


「「タイガ様すごい……。」」


2人は口をそろえてそう言った。


タイガが得意げな顔をして鼻を鳴らしている。


「しかしダンジョンを制圧するのが可能なら賛成だな。

 村に危険の及ぶものは極力排除したい。」


「それなら、ダンジョン攻略部隊を組むのがいい。

 俺とハインツは精鋭を選び出す、その人数分ワイバーンの素材で装備を作るのでどうだ?」


ローガーがダンジョン攻略を重点に置いた提案をした。


実際それが一番いいと思う、帰ってきたら警備や狩り部隊に装備を渡せばいいからな。


「俺は問題ない、他のみんなは?」


「特に異議はありません。」


「私もそれでいいと思います。」


全員一致だな、その方向で進めよう。


「あ、そうだ。

 もう一つ報告がある、メアリーが昨日俺の妻になったんだ。

 改めてよろしくな。」


「「そっちのほうが大切です!!!」」


2人に大声で指摘された。



「やーっとくっついたんかの、開どのもメアリーどのも奥手じゃったのう。」


噂がすごい早さで村に伝わり、食堂で会ったデニスにからかわれる。


「今日も宴会じゃの、クルトはワイバーンを探してくると勇んで出て行ったぞい。」


クルト、嬉しいけど親との対応が心配だから無理しないでくれ。


しかし2日続けて宴会か。


問題はないだろうが、デニスと食料の備蓄も相談しなきゃな。




クルトが宣言通りワイバーンを狩ってきたので、それで宴会。


美味しい味に慣れすぎないようにな。


クルト、明日も取ってくるとか言うな。


哨戒をしてくれ。


色んな人から「おめでとうございます!」とお酒を注がれる。


そんなに飲めないぞ、言葉だけでありがたいから。


二日酔いで動けないのは嫌だからな。


メアリーはラウラを見ても羨ましそうな表情はしなくなった。


見てて少し可哀想だったので安心。


気づいて俺からプロポーズしてあげれなかったことは、ちょっと気にする。




宴会も終わり、片付け。


少し飲みすぎたな、頭が痛い……。


「開様、大丈夫ですか?

お水をどうぞ。」


メアリーが心配そうな顔で水を持ってきてくれた。


「ありがとう、助かるよ。


「第一夫人としては当然の気遣いです!」


フンスッと鼻を鳴らして自慢げな顔をするメアリー。


可愛いんだけど、第一夫人ってどういうことだ?


「魅力や力のある男性に対して、複数の女性が子を成したいと思ってもおかしくないですよね?

 男性が答えるかどうかは自由ですけど。」


んん??


「待てメアリー、一人の男性が複数の妻を持つことは普通なのか?」


「えぇ、そうですよ?

 女性は基本その人のために尽くしますね、他のご家庭の家事の手伝いとかはやりますけど。」


驚愕の事実である。


一夫多妻制、前の世界でも国や宗教によってはあった。


だが俺の住んでる国では一夫一妻制だったからな。


カルチャーショック。


メアリーが嫌か嫌じゃないかは確認取っておかないとな。


俺はメアリーだけが妻だと思ってたし。


「メアリーはこの先俺が他の人を妻に迎え入れるのは嫌じゃないのか?

 俺が前に居た世界では、一人の夫に対して一人の妻が普通だったんで心配でな。」


「変わった世界ですねぇ……。

 私は全然嫌じゃないですよ、むしろ歓迎します。

 私が選んだ人がそれだけ魅力的な男性だったってことですし、相談もしやすいじゃないですか!」


ポジティブ思考がすごかった。


いや、恋愛や結婚に対しての嫉妬という概念は無いんだろうな。


本能的には健康……なのかな?


「わかった、でも2人目の妻が出来そうなときは相談する。」


「えぇ、開様ならウェアウルフ族でもケンタウロス族でも引く手数多です!」


その覚悟は出来てない。


「流石に種族が違いすぎないか……?」


「大丈夫ですよ、女性側の種族の子どもが出来ますから!」


いやそうでなくて、行為が出来るか的な意味なんだ。


まぁいいや。


よくないかもしれないけど。


とりあえず今日は寝よう。

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