神が適当に俺を選んで異世界転移したが、スキル【想像錬金術】《イマジンアルケミー》が便利すぎて楽しい。

えふしょー

第1話 神に適当に異世界転移させられた。

「他の神はこの世界から転生者や転移者を連れてきてるのかー、ボクもやっとそれが出来るんだ!」


異世界の神は「チキュウ」と呼ばれる世界を覗き見て、自身がまだしたことのない異世界転生や異世界転移に憧れていた。


だがつい最近やっと神としての力が充分に備わり、転生や転移させれる力を持つことが出来た。


転生者や転移者を迎えれば、自分の世界に神が居ることを伝えてくれる。


神が居ることが立証され、自身への信仰心を向上させることが出来るのだ。


故に神は人を転生・転移させていた。


「でも誰か選ばなきゃいけないのかぁ、こんなに居る中から1人を選ぶのは難しいね……。」


強面の人や浮浪者のような人はNG、人と交流するにあたってマイナスだから。


「馴染みやすそうな人…あそこに沢山居る!」


神が覗き見していた先で見つけたのは、あるオフィスビルの一室。


「ここにいる人なら見た目も大丈夫だし、人と馴染みやすそう……よーし!」


すると神は一室にいる人を指差し


「ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な……」


覗き見で覚えたやり方で適当に選び始めた。


「鉄砲撃ってバンバンバン、〇〇〇の鬼太郎 アブラムシ!」


神が念じると、最後に指差された男の姿は消えた。





俺の名前は開 拓志ひらき たくし


いつも通り会社に出勤し、仕事をしていた。


していたはずだった。


突然視界がホワイトアウトし、視界が回復すると真っ白な空間にゲームに居るような天使か神のような人物と対峙していた。


「ようこそ!ボクの世界へ!」


目の前の人物がそう言ったが、何がようこそなのか。


「お前は誰だ?というかこれは夢か……普通に仕事してたつもりだが、居眠りしてしまうなんてよっぽど疲れていたのか……。」


「ボクは神様!これは夢じゃないよ?異世界転移したんだ。」


「異世界転移?アニメや漫画じゃあるまいし、憧れは多少あったが現実にはそんなことはない。早く覚めてくれ……残業はしたくないんだ……。」


「本当だってばー、君が居た世界を見せてあげると信じるかな?」


神とやらはそういうと、俺がさっきまで居た会社の一室の映像を見せてきた。


そこに俺の姿は無く、上司や同僚が慌てているような姿が見えた。


「おい、マジじゃないか……。というか俺が居なくなって多分慌ててないか?」


「うん、慌ててるだろうね。突然君が消えたんだから。」


こいつ一発殴ってやろうか、というかマジで異世界転移したのか……?ちょっと嬉しいけど。


そもそもなぜ俺だったのか、疑問を神とやらに投げた。


神は適当に選んだと言い、一発殴っておいた。


「いてて……ごめんごめん。急に転移させたことは謝るよ。でもせっかくなんだ、ありふれた日常じゃなくて君たちでいうファンタジーの世界を楽しんで生きてよ!」


両親は数年前に他界し、付き合ってる彼女も居ない。友人とも疎遠になっており、会社と家の往復のみ。


つまらないと感じていたのは確かだった。


「まったく……運が悪かったと思うしかないのか。心残りは多少あるが平々凡々と人生を終えるよりいいのかもな。怖くないと言えば嘘になるが嬉しいのも確かだ。」


そう言うと神はぱぁっと顔が明るくなり、


「ホント!?よかったぁ!そう言ってくれると嬉しいよ!」


満面の笑顔で喜んでくれた、そしてこう続けた。


「ボクの世界に転生してくれたお礼にスキルを【剣術】【魔術】【錬金術】から1つ選んでよ、どれを選んでも生きていく上では不自由しないはずさ!」


このスキル選びとやらは重要なんだろうが、俺の答えは3択を出された瞬間決まっていた。


「【錬金術】で。戦いや面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだ。」


神は「わかった!」と言うと呪文のようなものを唱え始めた。


しばらくすると俺の体が光り出し、目の前に自分のステータスウィンドウが表示される。


そこのスキル欄には【錬金術】ではなく想像錬金術イマジンアルケミーとあった。


「スキル名が違うみたいだが、これは?」


「ボクの作った特別スキルさ、すっごく便利なのは保証するよ!」


それならよかった、神のお墨付きだ。


「チキュウのゲームみたいに誰を倒せー!とか目標はないんだ、好きに生きてね!あと、君が神様に転移させられたっていうのを教えてくれると嬉しいな!」


教えるとすごく面倒なことに巻き込まれそうだから嫌なんだが。


「ボクへの信仰心向上に、ご協力お願いしまーす!」


転移させられたのは嬉しかったがそんな理由だったのか!


もう一発殴ろうと思った矢先、再び視界がホワイトアウトした。




目を覚ますと目の前には泉、その奥は森。


振り返ると森の少し先に平原が見えた。


「あの神様、次会ったら絶対殴る。しかし……町とかじゃなくこんな森の中から第二の人生が始まるのか。」


少し不安に思いながら、するべきことを考え始めた。


「まずは家と食料だよな、ここがどこかわからない以上無闇に移動するのは得策じゃない。」


そう思い、家を作ろうと考えた。


すると家のレシピが頭に現れ、目の前の木と石が光っている。


「は?」


素っ頓狂な声をあげてしまった。


ステータスウィンドウに目をやると想像錬金術イマジンアルケミーが発動中となっている。


同時に「スキル発動しますか? はい いいえ」というウィンドウも表示されている。


「どういうことだ?光っているものが材料なのか……?はいを選択してみるか。」


はいを選択すると、目の前に家が出来た。


「は?」


俺は二度目の素っ頓狂な声が出た。

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