△月○日水曜日5時限目

『死のうと思うんだ』

その日そう一言だけ書いた。いくら話をしてるのが幸せだからといって他が全て上手くいくようになる訳ではないのだ。むしろ悪化しているような気がする。体操着にこれでもかと言うほどの罵詈雑言が油性ペンで書かれており、掃除用具のバケツの中に水浸しで突っ込まれていた。「汚い」、「目障り」、「ゴミクズ」、彼が私を見たらやはりそう思うのだろうか。痣だらけ、傷だらけの肌……そう思うだろうな。助けてくれる人は誰もいない。結局人というのは自分が一番大事らしい。それは子どもだろうと大人だろうと変わらない。つまり先生も当てにならないということだ。

『それはいじられてるの間違いじゃない?

いじめじゃないと思うわ』

頑張って相談したのにそう返された。両親にいたっては例外である。相談うんぬんの問題である。昨日は髪をいい加減に切ろとか、もっと食べろとかそんなくだらない理由で殴られた。制服から見える位置に跡が残るのは本当勘弁して欲しい。余計悪口を言われじゃないか。悪口と言えばこの数年で観察力が

相当あがったと思う。直接言ってこないやつでもアイコンタクトで話しているのが分かる。でもそんなことはどうでもいい。話を戻すと前々から自殺の計画はしていた。はっきり言ってやろうと思えばいつでも出来る。新しい物は買って貰えないだろうし、担任に言っても

「自己管理がしっかりしてなかったんじゃないの?」

とか言われるだろう。1枚目をダメにされた時にそうだった。つまり先ほど使えなくなってしまったのが最後の1枚目だったのだ。今日の体育の授業は終わっている。次にあるのは来週の月曜6時限目である。死ぬなら体育が始まる前までだ。体育教師は脳筋で話をまともに聞かず、

「言い訳するな」

と怒鳴ってくる。全く世の中とは本当に狂っている。なんで周りにまともな奴がいないのだろうか。いや、彼だけはまともだ。だからこそ、彼には自分の意志を伝えたいと思って書いた。彼はなんて言うだろうか。

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