アマラ狩り
倒したのは確かに事実だ。だが、アマラによるゴーレムに対する憂さ晴らしだの八つ当たりだの、まるでフランがゴーレムを虐げたかのような文章がつらつらと綴られていた。
だが、そこにもっと重要な事が書いてあることをリュクレーヌは見つけてしまう。
「……どうやら、大変な事になったみたいだな」
「え?」
「こっちを見てみろ、お前の行動がゴーレムに対するアマラ軍の宣戦布告だと解釈されているぞ。テレーノ教もお怒りだ」
記事の続きにはフランの破壊行為がゴーレム、テレーノ教へ対する反逆行為であり、つまり、アマラ対ゴーレムの戦争を意味するものであると書いてあった。
「そんな!僕はアマラ軍とは関係ないのに!」
「アイツらの目的はアマラ軍の壊滅……かもしれない。ゴーレムが居るにしても、人間側の現状戦力を叩きつぶそうとするメリットはないはずなのに……だとすれば、やっぱり……」
リュクレーヌはぶつくさと独り言を零しだした。
こうなってしまうとキリがないフランは頭を抱えていた。すると玄関のドアが開けられる。
──もしかして、テレーノ教の信者が?
奇襲かと思い恐れた。一人の男がツカツカと自分達に詰め寄る。
だが、詰め寄った男は知り合い──アドミラだった。
「これは、どういう事だ」
アドミラは切羽詰まった表情で、新聞記事をテーブルに叩き付けた。ゴーレムによってアマラ軍は壊滅の危機に晒される。
アマラ軍の最高権威である彼が、この件で一番被害を受けるだろう。
「ごめんなさい!僕ら、嵌められたんです!」
「全く……おかげでゴーレムによるアマラ狩りが始まった」
案の定、ゴーレムはマスカだけではなくアマラ軍を既に攻撃し始めていた。
「そんな!滅茶苦茶だ!」
「先に手を出したのがこちらだという事になっていれば何をやってもいいと世間も思っているのだろう」
自業自得。因果応報。他人事だからこそ出てくる四字熟語が追い打ちをかけていた。
人々を護っていたはずのアマラ軍が襲われている事に同情するものは少なかった。
「大変な事をしてしまったな」
「ごめんなさい!まさかこんな事になるとは……」
フランは深々と頭を下げる。不可抗力とは言え、自分の行為のせいでアマラ軍に大きな不利益を生んでしまった。
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