来客と解析結果
ドアを開けるとそこにはラルファとブラーチが居た。
なにやら珍しい組み合わせだな。とフランは思いながら、もしかして事件か?と二人の方を見つめた。
すると、ブラーチが鞄から数枚の書類を取り出し、リュクレーヌへと手渡す。
「先日頼まれていた爆破事件の解析結果が出た」
「アレね。ありがとう」
「爆破事件って……アマラ軍本部に来ていた奴だっけ」
「そうだよ。近所の広場で軽い爆発があったんだ」
「幸い、警備を厳重にしていたから、特に怪我人は出なかったけどな」
爆破事件。先日、アマラ軍本部に爆破予告がされていたものだ。
新聞にも載っていた内容のため、フランも鮮明に覚えていた。
事件は律儀にも予告通り起こってしまった。
小さな爆発であり、警備も整えていたため、人的被害は無かったが──
事件には、裏があった。
「だが、この結果は少し興味深い物だと思うぞ」
「どういう事だ?」
「爆発物は乖離済みのマスカだ。小型のな」
「小型のマスカ!?」
なんと、広場で爆発したのはマスカだった。
それも、小型の。通常、マスカは確実に人を殺すために人間よりも大きく作られるはずであった。
確かに、アマラ軍を狙う動機は十分だろう。
しかし何故、わざわざ小型の爆弾代わりのマスカで軽い爆発を起こしたのか。
「ファントムの動きが無いと思ったら、やっぱりマスカは居たんだな……」
「じゃあ、この爆破事件もファントム絡みってこと?」
「そうだ」
若気の至りのような悪戯程度の事件がマスカ──ファントムの仕業ということになるなんて。
フランにとっては全く予想もつかなかった。
神妙な雰囲気の中、ラルファが「あ!」と大きな声を出す。
「ファントムと言えば……探偵。お前また入れ替わったりしていないだろうな」
「何を言っているんですか!この通り正真正銘の名探偵!リュクレーヌ・モントディルーナですよ!」
「どうも、胡散臭いんだよなぁ」
「大丈夫だって!な!フラン!」
リュクレーヌはフランの方を確認するように見つめる。
「う、うん……多分」
「それはもう大丈夫かと。私が魔術を……」
フランが曖昧に答えるのに対して、ブラーチがはっきりと肯定する。
その時だった。
ラルファはいい案を閃いたと、手を叩いた。
「いや、待て。こうしてしまえばいいんだ」
そう言って、ポケットに手を突っ込み、何かを取り出た。
チャリ、と金属音を立てたそれは、リュクレーヌとフラン両者へと向けられる。
そして、気づかないうちに、しっかりと二人の腕に繋がれた。
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