第2話 令和三年度1回福島3日
寅衛門「おっさんの虎猫二匹合わせて」
寅吉「虎猫ズ!」
寅衛門「本編はこちらです」(「虎猫の巣」https://kakuyomu.jp/works/16816452218499176835)
寅衛門「さて、まず 1回福島3日とは」
寅吉「なんすか、1回って」
寅衛門「ある競馬場で開催されるその年の競争の数え方で、基本、2週末土日で1回と数える」
寅吉「福島競馬場は今年初めての競馬で、だから1回、なんですな」
寅衛門「明日の日曜日は、1回福島4日となる」
寅吉「へえ。で、このレース、殿、何を買うんですか」
寅衛門「8ルピコラ、4ボルタドマール、7モネ、9ハロースクロール、この辺りを軸にまあいろいろだな」
寅吉「人気馬ばかりじゃないですか。ワシはじゃあ殿のその挙げた馬じゃない10ルクスランページを軸に考えてみますわ」
寅衛門「……なにその反抗期。じゃあちょっと予想に集中するか」タブレット電源ポチッ
寅吉「そうですな」競馬新聞バサッ、赤鉛筆なめなめ
――
寅衛門「ふう」
寅吉「お、もう買いましたか」
寅衛門「ああ。初戦だから馬連で様子を見る。ん?なんだ結局おまえはその単勝だけか」
寅吉「殿の逆張りですわ!」
寅衛門「……そんなことよりこの賭場、気をつけねばならぬ恐ろしい存在がいる。名づけて福島の魔物」
寅吉「なにそれ」
寅衛門「食われるんだ、馬も騎手も観客も。誰も手なづけることができぬ黒い悪魔、福島に棲まう闇よりもなお昏い存在、それが」
寅吉「例のあの人?」
寅衛門「そうヴォルデ…(振り返っての猫パンチ)
寅吉「……殿、なんか今の猫パンチ、爪がちょっと出てませんでしたか?」
寅衛門「素人が手を出してはいかんもの、それは海外モノの版権と夏競馬だ」
寅吉「あれなんか違うのが混じってる」
寅衛門「特にこの福島の夏競馬には手を出してはならぬ。いいか、忠告したぞ」
寅吉「ワシらはいいんですか?」
寅衛門「どう転んでもネタだから」
寅吉「あぁ……」
寅衛門「さあ、いよいよ出走だ!」
寅衛門「……あれ、10ルクスランページ、クロフネ産駒?」
寅吉「そうですよ」
寅衛門「あああああああああ買えば良かったあああああああ!!!!!!!」
寅吉「投票閉め切ってからの見逃し情報、競馬あるあるですなあ」
パンパカパーンパパパパーン!
寅衛門「むう、ダートで不良か」
寅吉「いやだから何で殿、そういう情報を逃すんですか」
寅衛門「お、始まった!モネ!」
寅吉「ん?ナックドロップス?」
寅衛門「3コーナー回ったぞ!」
寅吉「直線だああゴオオオオオオル!!!!!」
寅衛門「ナックドロップス…」
寅吉「なんと10番人気が1着とは」
寅衛門「な?これが福島の魔物だ…」
寅吉「恐ろしい…」
本日の成績:寅衛門0、寅吉0
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