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作者:ZAP

編集:nitonei


バトルを考える際に発覚した「ブロックチェーン上では複雑な計算ができない」

というのはゲーム全般に波及する大問題だった。

ゲーム上で美しいグラフィックやアニメーションを表示するのがほぼ不可能になってしまうため既存の「ブロックチェーンでないゲーム」に比べて相当な見劣りするゲームになるのは明らかだった。

そのため、ゲームのあらゆる個所について変更を余儀なくされた。


まずゲームジャンルをMMORPGからソシャゲに変更した。

これはマップを作成しなくてよいからだった。

そして、MMORPGも昔のソシャゲもレアアイテムを高額で売買するという点では共通していた。

結果、MMORPGからソシャゲへの方向転換は開発内部的には、完全上位互換といえるものだった。

ゲーム画面もあえて簡素なものにした。もともと豪華なアニメーション等は実装できないため、

パソコン黎明期のゲームをほうふつさせるようなデザインにすれば、むしろそういうデザインとして成立すると考えた。

ゲーム内の音楽もそれに合わせるようにチップチューンを選んだ。


ここまで決定したところで、問題が一つ浮上した。

「ガチャを導入することができない」という事だった。

このゲームではNFTという複製できないデータを利用して、ゲームアイテムの取引ができることを売りに仕様としていた。

しかし、抽選で取引できるアイテムを販売することは賭博に該当する恐れがあるのだ。

正確には賭博にならない可能性もあるのだが、法的リスクはできるだけ抑えて開始したかった。

このため、ガチャではなく、限定数のレアアイテムをみんなでオークションで競る方式に変更した。

ただ、通常のせり上げオークションでは、値段の提示から商品の落札まで時間がかかる上、同一商品を複数販売する場合にあまり有効的な方法ではなかった。

そこで、値段が時間と共に下落し、誰かが購入するたびに値段が上がる「ダッチオークション」という機能を開発した。


こうして、このゲーム「マイクリプトヒーローズ」の骨格は形成されていった。


開発は順調に進んでいく。

とうとう、ゲームの正式オープンする前にやることがあと2つという段階に到達した。

一つがプレセール。もう一つがオープンベータテストだ。

どちらも大変なことになった。

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