第24話 登録
受け付けに行き、またもやいつものエルフの女性の所に並んた。混む前の時間の為、一人待っただけで済んだのだ。
「あら、また貴方が来たのね。お姉さんの事が好きになっちゃって、告白する為に会いに来たのかしら?うふふ。冗談だから、そんな怖い目で見ないの。ってフォルクスさん?また綺麗な子が増えているのはどういう事かしら?ふふふ、貴方も中々隅に置けないわね。それで今日はどうしたのかしら?お姉さんに会いたくて来た訳じゃなさそうね?」
「うん。この子、ラティスの冒険者登録をしたいんです。それと俺達のパーティーに加えたいので手続きをお願いしに来ました」
「それは良いのだけれども、そこの大男さんはランクBで、君はCよね。新たに登録した子がいるとなると、ランクDまでの依頼しか受けられなくなるけれども良いのかしら?」
「大丈夫です。それを分かってパーティーに入れるんです。それと魔法学校の試験内容を知っていますか?知っていれば話が早いのですが、なるべく稼ぐ事が出来る、強い魔物が出る場所が知りたいんです。5日後に戻ってこなければならないので、その範囲で行って帰って来れる所の中で一番ランクの高い魔物が出る所を教えて欲しいんです。べソンは今はランクB、俺はCだけども、おそらくもっと上の実力があると思っているんです。俺は魔法があるから、魔法を含めた場合は実際はべソンより強いんです。但し、剣だけでみたら話にならないので、魔力が切れていない前提なので、切れたらべソン頼みかな」
「そうねえ、依頼扱いにはならないのだけれども、強い魔物の討伐依頼とかは有るわ。これなんかどうかしら?」
と言い、出してきたのがサイクロプス、一つ目の巨人の討伐依頼だった。Aランクの魔物だそうだ。2日程行った所にある山間にある村の周辺にてサイクロプス等の目撃例があり、家畜や畑が荒らされて困っているそうだ。依頼扱いではないが、その魔物を討伐するのは自由だという。
「正直Aランクの魔物に B ランク以下の者が向かうというのはかなり無謀な事なのよ?」
「分かりました。それで良いです。場所等の詳細だけを教えてくれれば、勝手に行きますから」
「うん分かったわ。でもね、お姉さんと約束してくれるかな?お姉さんの所にまた戻ってくると約束してくれる?約束してくれるなら教えてあげるわ」
「分かりました。お姉さんのためにも必ず帰って来ると約束します。誰一人欠ける事なく必ず帰ってきます。街に戻ってきたら必ず真っ先にお姉さんの所に顔を出しますからう」
「素直でよろしい!お姉さんと約束したんだから絶対に戻ってくるのよ!いいわね?」
「はい、お姉さん!」
「宜しい!約束だからね。よしよし」
いつのまにかフォルクスの頭を撫でていた。隣のカウンターの受付嬢がぎょっとした目で見ていた。
「な、なんかこの子ね、私の弟になんとなく似ているのよね。ふふふふふふ」
そんな感じで言い訳をしていた。そうフォルクスは完全に弟扱いであった。
また、手続き中に待ち時間があり、フォルクスは講師が言っていた内容を全て話すと、不合格者が大量発生する筈だと言われた。
「調べなさいって言ったのでしょう?つまりね、ギルドが魔石を購入する対象があるのだという事を調べなきゃいけないのよ。本来であればね、明日か最終日の前の日にはギルドで冒険者登録をチームの誰かがしていないと駄目なのよ。チーム内に一人でも冒険者が居なければそのチームの魔石はギルドは買い取れないのよ。ギルドが魔石を買い取るのは例外なく冒険者登録をしている人からだけなのよ」
そんな話をしてくれたが、その間に。ラティスがもくもくと冒険者登録の申し込用紙に必要事項を記載し、問題なくパーティー登録まで終わったのであった。
本当はギルドで新規に冒険者に成った者向けの講習を受けるのが望ましいとは言われたが、時間的に厳しいからという事で講習を見送らざるを得なくなったのであった。ランクC以上がいるパーティーに登録をする新規の冒険者は講習が免除されるが、それ以外は講習を受けないと新規に冒険者になれないと言う。講習はまる一日が義務だと言うのであった。
ギルドを引き上げた後はとりあえず二手に分かれる事にした。リズとシーラがささっとラティスの胸やお尻を触り、採寸をしていく。足の大きさを測ったりしてふむふむと言いながらリズとシーラがラティスの服を買いに行く事になった。勿論フォルクスがお金を出す。そう、まだ少し余裕が有ったのだ。
そしてべソンは彼女のための武器を買いに行く。そしてラティス、フォルクス、カーラはラティスのテントを撤収しに行く事にした。ほぼほぼシーラ達がテントを張っていた近くでテントを張っていた事が分かった。
周辺にはポツポツとテントが張られており、街の宿に泊まる為のお金が無い、その為に宿に泊まれないような貧乏な冒険者や資金に乏しい商隊等が野営地として選ぶ所だったからである。今はどこの宿も満室で、部屋が取れなかった者が多かったのだ。
ラティスのテント自体は新しく綺麗な二人用だったのだが、やはり荷物の関係から服がもう一着しかなく、テントの中で干されていた。
下着が有るからと慌ててラティスが中に入り、渡した袋に入れていた。
気にしていたのでクリーン魔法を掛けてあげた。
袋の中の湿っていた服が乾いており、更に染み等も無くなっていて驚いていた。
フォルクスが生活魔法を使えるのを伝え忘れていたからであり、荷物をまとめて収納に入れていくのだが、違和感が有った。荷物が新しいのだ。使い古しを掻き集めたのではなく、新品で揃えたとしか思えなかったのだ。
お金がない村で新品を買い与える等あり得ないのだが、フォルクスはやはり、本当は飢饉で資金不足に陥ってはいなく、そう思い込まされていたのだろうと再認識した。
ただ、誰が何の為にそれを行ったのかは分からない。唯一言えるのは、彼女達は何かしらの役割があり、それを見出したか、密かに与えた者の仕業だろうかと。
フォルクスは小説とかでは神様や女神達がやっていたりするよな?と思っていたが、少なくともフォルクスにはそれらが接触してきた記憶がない。やはり失くしている記憶にその鍵があるのだろう?と思案にふけっていて、ラティスから、荷物をまとめるのが終わった旨を言われ、現実に引き戻されたのであった。
その後、野営の荷物の撤収は手早く行なったが、それでも到着してから20分程掛かっていた。別れて買い物をする理由は、お店が閉まる時間が近かったからだ。
買い物は明日の朝でも良かったのだが、奴隷商に朝一番で行った後すぐに出発できるようにしたかったから、今日中に準備を終わらせたかったのだ。
そして街に戻った後直ぐに食料品を売っている所で食料を買ったり、屋台などで売っている食料を片っ端から買っていった。
宿の方にはお金を払い、今日も弁当を買っていた。頼めば作ってくれるのだ。勿論今日食べるものではなく、これからの旅で食べる為の物をせっせと溜め込んでいただけの話である。フォルクスは宿に急ぎ向かうのであった。
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