第一章 入学編

第12話 試験申し込み

 首都のギルドは先の街のギルドより一回りは大きく、やはり酒場兼食堂が隣に有る。

 カウンターの受付の数は5つあり、先の街では3つだったが、それより規模が大きい。当然の事ながら、冒険者の数も多い。ギルドの作り自体は他の街と大差はない。大きいだけだ。


 ギルドのオープン時間に合わせて行き、オープンと共にダッシュで受付のカウンターに駆けて行き、一番最初にカウンターに着いた。他国の兵士にしか見えないからだろうか、カウンターにいる綺麗な受付のお姉さんのジト目が痛かった。それでもプロであり、きちんと対応してくれた。


 エルフの若い美人さんだ。金髪で座っているので長さは肩より長いとしか分からなかった。優しそうな感じでつい見惚れてしまった。20歳前後かな?と思っていた。フォルクスはエルフの女性と始めて口を聞いたのだ。


「ようこそギルドへ。ご用件を承ります。兵士の方ですか?」


 相手にされないのではないかと危惧していたが、ちゃんと聞いてくれた。


「あのう、僕達きのうこの街に着いたばかりなんですけれども、きのう魔法学校の試験の申し込みをしに行ったのですが、ギルドにてホームタウンの登録などをしないと試験を受けられないと聞いたんです。これが必要事項なんです。なのでこの街をホームタウンとして冒険者登録をして欲しいんですが、今日試験の申込み〆切なんですが間に合いますか?」


 フォルクスとべソンはギルドカードを出した。


「これは失礼いたしました。ランクBとランク C の冒険者様ですね。今手続きをしますので少々お待ちください」


 カウンターの奥に行き、手続きを済ませ5分位で戻ってきた。


「お待たせいたしました。カードをお返しいたします」


 カードを確認すると、ちゃんとホームタウン登録がされているようでフォルクスがお礼を述べる


「ありがとう、綺麗なお姉さん」


 と一言言うが、少し赤くなった受付の方に一言聞かれた


「あの、所でその格好はどう見ても兵士の格好だし、認識番号は外されているようですが、 ご本人様の装備でしょうか?」


「万が一を考えて慣れ親しんだ装備の方が良いと思ったんです。隣の国から来たんですが、兵役義務は終わりました。無理な撤退戦の殿を兵役完了を条件に引き受けさせられ、何とか終わったんです。尤も、もう俺達は死んだ事になっていると思うので、まあこの装備も貰ってもいいのかなと。ウケ狙いで着ているのじゃないんです。幾度となく死地をくぐり抜けて一緒に戦ってきた自分達のいわば戦装束なんです」


「これは失礼しました。ただ、格好から誤解され兼ねませんので注意をされた方が宜しいかと思いますよ。試験に行かれるという事ですが、推薦状か何かお持ちですか?」


 そういえば有ったなあとフォルクスは別の街のギルドマスターからの推薦状を渡す。


「他の町の推薦状ではありますが、確かにギルドマスターからの書状に間違いありません。こちらでも確認しましたので、これをお持ちください」


 と何かの札を2つわたされた。


「これが有りましたら間違いなく受験ができると思います」


「綺麗なお姉さんありがとう!」


 そうやって真っ赤になっている受付嬢にお礼を述べギルドを後にした。


 その足でそのまま魔法学校に向かう。

 受付で申し込み手続きを行い、そのまま試験になった。受付時に先のギルドで確認した魔力量を測る道具に魔力を流すように言われ、指示に従い魔力を流すとフォルクスの場合、針が振り切れ、係員が驚き、次いでべソンが行った。


 試験の説明が終わった時に、一人の銀髪の美少女が受付に割り込んできた。淡い赤の可愛らしく、清楚なワンピースで、腰に細いベルトを巻いていた。


「ちょっと、あんた達ウスラでかい兵士二人、そんな所にいたら邪魔でしょ!とっとと退きなさいよ」


 フォルクスは初めて見た縦ロールに感心し、ついつい場所を開けたのだがべソンが


「俺達も受験者なんだがな」


「あら?そう。あんた達と違って私は忙しいから先にやらせて貰うわよ」


「順番位守れよ」


 珍しい事にべソンが反応していた。

 フォルクスはというとお花畑だった。かわいいなあ、縦ロールすげーなと。しかし、二人が、睨み合いになりハッとなり


「まあ、べソン。ここはレディーファーストって事でさ、このちんちくりんな嬢ちゃんに試験を先にさせてやろうぜ」


「何がちんちくりんよ。しっかり聞こえてるわよ。全く失礼な奴ね。まあいいわ。先に行かせて貰えるなら。ありがとう、うだつの上がらない兵卒さん」


 一瞬フォルクスはピクッとなり、少しムカついた。すると突如強い風が吹き、その少女の服が捲れ、手で慌てて押さえるも間に合わず、フォルクスに下着を晒す事になった。いきなり平手打ちが来て、下着に釘付けになっていて避けられなかった。


「変態!よくも魔法でハレンチな事をしたわね!」


 べソンが


「魔法は使ってないだろ。魔法の残滓は感じられないぞ?」


「えっ?うそ、私、ど、どうしよう?」


 べソンが畳み掛ける


「悪い事をしたら謝れって教えて貰わなかったのか?」


 彼女はしゅんとなり


「ご、ごめんなさい」


「まあ、まあ、べソンもそれ位にしてやれよ。俺も目の保養になったからさ。薄いピンクにリボン。中々グッドだったな。初なお嬢様って感じで」


 パチーンと追加の一撃だ。


「今のはフォルクスが悪いぞ。まあ、これでチャラだな」


 ふん!とそっぽを向き、彼女は係員に先にやらせろと食って掛かっていた。


 係員が良いのかとフォルクスに聞いてきたが、


「合否の決定は先着順じゃないのでしょ?それならば彼女を先にしてあげて下さい。僕達時間は有りますから」


 べソンがフォルクスに抗議をしかけたので、耳元に


「先にやって貰えば試験内容が分かるし、俺としては願ったり叶ったりだ。美少女魔法使いのお手並みを拝見しようぜ」


「まあいい。好みなのか?」


「うん。今流行のツンデレキャラってやつじゃないか!今は幼女だが、後数年したら間違いなく俺のストライクになる美女とみた」


 べソンはジト目でフォルクスを見て、溜息をついていた。

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