第6話
ある朝、起きるとカレンからラインが来ていた。
<一樹君、私に出来ることあったら言ってね>
僕は、ちょっと考えてから、返信した。
<じゃあ、今度写真のモデル、やって欲しいな>
カレンから返信が届く。
<私なんかで良いの?>
<私なんかなんて言わないで。カレンをモデルにしたいんだ>
ちょっと間をおいて、カレンから返信が来た。
<えっちなのじゃなきゃいいよ>
<そんな写真撮らないよ>
僕は自分の顔が赤くなるのを感じた。
僕はスマホをカバンにしまい、学校に行く準備をした。
学校に行くと、元気が話しかけてきた。
「なあ、来週末の写真部の締め切り、被写体決まったか?」
「ああ、決まったよ」
僕がそう言うと、元気はうなだれてから、はっとした表情を浮かべた。
「まさか、カレンちゃんにモデル頼んでないよね?」
元気の言葉に、冷や汗をかいた。
「え!? ほんとにカレンちゃんにモデル頼んだの?」
「うん」
僕は正直に言った。
「いいな、俺もカレンちゃんにモデル頼もうかな」
「・・・・・・聞いてみれば? ライン知ってるんだろう?」
「そうする」
元気はカバンからスマホを取り出して、カレンにラインを送った。
「あ、返事来たけど・・・・・・駄目だって」
元気はしょんぼりとして、首をふった。
僕はホッとしているのに気付いて、俯いた。
「なんか、日曜日は先約があるし、土曜日は美大の予備校があるってさ」
「ああ、そうか」
僕は、美大の予備校っていうのが有るんだと気付いてモデルを頼んだことを反省した。
そして、カレンが無理をしているんじゃないかと不安になった。
学校が終わると、僕はカレンにラインを送った。
<モデルの件、無理してない? 大丈夫?>
すぐに返信が来る。
<大丈夫。問題集も順調に進んでるよ>
僕もラインを返信した。
<美大の予備校って課題出たりしないの?>
<それも頑張ってるよ!>
僕は、カレンは頑張り屋なのだと思った。
<それじゃ、今週末の日曜日、10時に駅で待ち合わせで大丈夫>
<分かった。大丈夫>
カレンからの返信を読んで、僕はラインを閉じた。
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