第3話 ハワイでの日常2
「いいですか?殿下!毎日授業は受けてくださいと申し上げてますが、何故サボってしまわれるのですか。それに勝手に外に出るなど問題外ですよ!!分かっておられますか?」
現在俺はディックに怒られている。もちろん正座してるさ。
城に帰ったら入り口でいい笑顔で待ってやがったんだ。足がしびれて痛いよ~。それに長いんだよな…。こいつの説教短くても一時間なんだよな…。
「聞いていますか?殿下!大体、陛下も何もおっしゃらなくて、だから殿下が…」
ほら、今度は愚痴に変わった。はぁ、めんどくさいなぁ。
ふぅ、何とか解放された。一時間半ぐらいだったかな。まだましだったほうだ…。足が痛いよ。
カチャカチャカチャカチャ
大体後半は関係ない愚痴だし、俺の時間を無駄にしやがって…。はぁ…。
カチャカチャカチャカチャ
飯うまいからいいか!
ご察しの通り今は夕飯の最中。うちの料理は豪華絢爛ではなく、庶民的な感じ。地産地消を心がけてほとんどが我が国ハワイ王国でとれたものだ。やっぱりおいしいね!!
「カズサールよ。最近はどうしている?勉学はどうだ?」
「は、はい。自分の思うがままに取り組んでおります。父上。」
「そうか。きちんとやってるのだな。励めよ。」
「はい!」
滅多に話しかけられないからビックリして噛んでしまった。それに嘘入ってないもんね。やりたいことをやってるっていっただけで、父上が勘違いしたんだし…。
父親である陛下と母親である王妃と一緒に食べている。母上とはそれなりに話すが、父上、陛下とはほとんど話さない。ビックリして驚いてしまうぐらいにね。
まぁ、親子関係は険悪ではないとまでは言っておこう。良くはないかな?普通がわからないからなんとも言えないけど。
さて、ここで我が国を紹介といこうか。え?唐突だって?人生そんなものさ。さぁ、聞いてくれよ?
まず、俺の国はハワイ王国。亜熱帯気候の島国で、緑豊か、高温多湿で少し蒸し暑いけど、住みやすいところだ。人口は六十万人程度かな。主に農業と魔道具開発が盛んだ。後者は冷房の魔道具を開発してる所以だが。
もちろん、他の国もあるぞ。
まずは、
最近は軍事行動をしておらず、貿易に力を入れているらしい。ちょっときな臭いが、戦争がないのはいいことだな!
続いて、神柱帝国の東側に山脈を挟んである国がユグ王国と、ロベリスタ連邦だ。
ユグ王国は最近できた国で、国土はハワイ王国の五倍で、人口は百二十万人。なんでも荒れ果てた砂漠地帯を緑に変えた男が建国したらしい。国民にとても人気な王だったらしいが、十年前に退位した。この時はハワイ王国に来てたユグ王国の民が一人残らずみんな帰国して驚いたものだ。とても良い王だったのだろう。俺もそんな王になりたいな!!
ユグ王国の南に位置するロベリスタ連邦は、たくさんの小国が集まってできた国だ。なんでも、帝国に飲み込まれないためだとか。連邦ではそれぞれの小国の代表である有力な五つの家が実権を握っているらしい。最もハワイ王国に近く交流も盛んだ。面積はハワイの8倍ほど。ただ、人口は百万人と面積のわりには少ない。荒れた地が多いことが理由だという。
これら三国は一つの大陸を分割する形で支配している。この大陸の南東に存在する島がハワイ王国である。それもあって、若干他の国とは交流が少なく、情報が遅れることも少なくない。
以上の四国が四大国と呼ばれ、この近海を実質支配している。他にも島々に独立した民族がすんでたりするが、交流がほとんどないため割愛で良いだろう。
ふぅ……。疲れた。えっ?聞く方が疲れるって?ごめんごめん。でも、これ言わないと進めないからさ…。
みんな疲れたところだし、俺も寝ようかな…。
「ごちそうさまでした。」
お先に失礼して寝てしまおう!
無駄にでかい扉を明け…うおっと、
「陛下!大変です!」
すごい勢いで騎士団長が入ってきた。本来手続きが必要なところをはしょってることを見るに、よっぽど緊急事態なんだろう。
まあ、俺は寝るけどね。
「おやす…」
「魔物《シュラング》の反乱が王都近郊の
言葉を遮られたことに愚痴を溢すことはできなかった。魔物がこれから都に押し寄せると言うのだ。こんなもの寝れるわけがない!騎士団長と同じように膝をつき父上に奏上する。
「私が出ましょう」
公式の場ではないが、私的な場でもないため私と改め、膝をついて顔をあげる。
「いけません!殿下は城にいていただかないと!殿下が出る必要はありません!」
焦ったように騎士団長が止めようとするが、落ち着いて返す。
「一人でも戦える者が多い方が良いかと。それに、私はBランク冒険者の資格も持っています。充分に力になれるはずです。それに、父上さえご無事であればいかなる危機でも乗り越えられましょう。」
「殿下!殿下こそ未来を受け継ぐものなのです!待機していてください!それに、殿下は集団での実践の経験がありません!命令系統がうまくいかず、失敗してしまい…」
父上だけを見て素直に考えを主張する。
「陛下、いえ、父上。それなら私は遊軍として一人で戦います。陽射しの森の魔物は高くてもCランク。負けることはないかと。」
視線をはずし、一度浅く息をはいてから、隣の騎士団長を見る。
「それに、騎士団長。未だ来ない時のことを考えるよりも、
慣れない王子としての言動に気を付けながら思いを伝える。決して半端でいっているわけではないと。
「それに、俺一人でも充分だろ?」
自信たっぷりに言い切る。実際ある程度怪我を負うだろうが、それで都を救えるなら安いものだ。言葉につまった騎士団長を確認し、再び父上に視線を向ける。
父上がすこし笑った気がした。久しぶりに見た気がする。そんなことに気をとられてると、厳かな声が響いた。
「少し自信過剰だが、良いだろう。カズサールを遊軍として討伐軍とは別に行動せよ。もちろん護衛としてディック達親衛隊を数人つれていくこと。いいな?」
「かしこまりました。陛下。」
「…かしこまりました。」
騎士団長も納得はいってないが共に了承の意を示した。
許可も出たので、早速準備しに部屋を出ようとすると、父上が声をかけてきた。いつもよりも温かな声だった。
「カズサール。折角の機会だ。お主のサボってまで手に入れた力、存分に発揮せよ。そして、一人残らず連れ帰ってこい。」
勉強してないってバレてたのか…。親衛隊がチクってたのか?全く…。でも、怒られなくて良かった!!ポジティブにいきましょう!
「帰ってきたら余が直々に教えてやろう。学問というやつをな。」
げっ、父上に教わるのか!?父上スパルタだから嫌だけど、断れないしな…。
「あ、ありがとうございます。」
俺の反応に満足したのか、頼んだぞ、とこれまた珍しい笑顔で寝室に戻っていった。
久々に父上と話して緊張したけど、悪くなかったな……。
まあ、いいや!まずは氾濫をとめないと!
「さあ、ゆくぞ!!」
頬をたたいて、気合いを入れ足早に武器庫に向かった。
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こんばんは。根川志怜です。お楽しみ頂けましたか?誤字があれば教えていただければ嬉しいです。一章は説明が多くなり、また?と思われる主人公の気持ちの変化があると思いますが、それも後々話す予定です。楽しんでいただけるよう工夫していくつもりです。これからもよろしくお願いします!
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