吾輩は戦闘艦である。
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第1話
吾輩は戦闘艦である。
名前はまだ無い。
だが、同輩には試験艦隊ナンバー867と呼ばれていた。
吾艦隊の同輩は1000機程居る。
吾輩がディメンションガレージを搭載している為、一応旗艦としての任についている。
何故一応としたかと言えば、我々は試験艦隊なのだ。
あらゆる戦術や戦略に対応する兵器やギミックが搭載管理され試験を行う。
突撃戦闘艦やビット搭載艦、広域探査ステレス艦等、多種多様の艦隊が吾輩のディメンションガレージには搭載されている。
そして、実戦試験の為、我々は現在行われている戦線に独立奇襲部隊として赴くことになった。
吾輩は広域探査ステレス艦からの派生型である新造艦であり、敵の後方から挟み撃ちにする計画がなされた。
我々、867独立試験艦隊は幾度もデータの収集の為にこのような実戦を繰り返してきた。
今回もいつも通りにデータを収集し、臨機応変に事をなす筈だったのだ。
我々は完全に相手の隙を着いて、優勢な立ち位置で艦隊を展開したのだ。
しかし、突然謎の重力異常を検知した吾輩は危機管理項目第2条2項に基づき緊急撤収した直後、吾輩の次元は揺らぎ、此処では無い何処かに跳ばされてしまったのだ。
吾輩は直ぐに広域探査スペースアイを起動し現在取得している星間地図と照らし合わせたが、該当する物はなかった。
本艦隊に対応を求めたが、通信は繋がらなかった。
1000機の同輩と相談の結果、エネルギー源の確保と資源の確保、星間地図制作が決定し、とりあえず近くの恒星を目指す事にした。
『ふむ。F型巨星だのう。これは』
『取り込めるのか?このサイズ』
『まあ、できん事はないが、ディメンションガレージの約85%は消費してしまうのう』
『我々艦隊が10%』
『5%の空き容量では資源が心許なくはないかのう?』
『ふむ。しかし他にエネルギー源となる恒星までは、かなりの光年が掛かると演算結果がでてしまっているしのう』
『まあ、取り込んでから考えても良いのではないか?』
『そうじゃな。我々は何時もそうじゃたわい!わははは!』
『わははは!』
『わははは!』
『では、早速取り込むかのう』
『しかし、このまま近付くと吾輩もしかして燃えんかの?』
『もしかせんでも燃えるのう』
『燃えるのう』
『燃えるか!やはり燃えるか!ふははは!』
『ふはははは!』
『ふははははは!』
『いや笑い事では無ふははは!』
『ふははははははは!』
『ふははははははは!』
…………………。
『して、どうするかのう』
『これだけ巨大だとのう』
『近くにワームホールでも有ればのう』
『ワームホール?』
『ワームホールとな?』
『おお、ワームホールがあるではないか』
『おお、そうじゃった!ワームホールがあるではないか!わははは!』
『わははは!』
『わははは!』
……………。
『ディメンションワームホール起動じゃ』
ずい〜〜〜ン(音はイメージです。空気ないので音振動は発生しません)
キュポン!
『取り込み完了じゃ』
『為せば成るものじゃの』
『ふむ。成さねばならぬ何事も!じゃな』
『わははは!』
『がはははは!』
『わしゃしゃしゃ!』
『さて、次は資源確保かのう』
『そうじゃのう』
『どうしたものかのう』
『ふむ。5%はそこら辺の岩石を纏めて詰め込むとして』
『それだけでは心許ないからのう』
『そうじゃのう。思わぬ敵に遭遇でもすれば資源などあっという間に底を付くからのう』
『ステレスも光学迷彩も常時使用はエネルギー馬鹿食いだしのう』
『いっそ岩石に偽装するかのう』
『ならば、いっそ星に偽装でもするかの?』
『わははは!そりぁええわい!』
『わははは!』
『わははは!』
『わははは!だが、良い案かもしれんのう』
『どういう事じゃ?』
『物資を抱え込めるのう』
『その通りじゃて!』
『おお、頭良いのう主』
『規模はどうする。あまりにデカいと身動きが取れんぞい』
『ならば、物資そのものを移動デバイス機能を付加するのはどうじゃ』
『なるほど。ならば形が崩れんように大気型フィールド形成の為のデバイスも構築せねばのう』
『重力フィールドもかのう』
『何か参考になる惑星があったかのう?』
『マラ団星系のテラはどうかのう?』
『おお、あの蒼の煌めく星か。良いのではないか』
『ならばテラをベースに偽装するかのう』
『ならば偽装構築開始かのう』
『そうじゃのう』
『キャプチャーフィールド展開じゃ』
『どのような惑星になるかのう』
『楽しみじゃのう』
それから数千年の月日が過ぎ去った。
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