15.出撃と異世界バス

あれから宣戦布告があった帝国ですが今の所大きな動きはなく、人の行き来もなくなり


帝都は完全に沈黙しました。最後に帝都側から来た商人の話しでは帝国軍将軍が王家の


人間を皆殺しにしてすべての実験を握っているという噂を聞いたとのことですが、


実際にそのような惨事が起きたのかはまだ確認されていなく現在調査中とのことです。


さて、静かに待っているつもりもありませんし。王家から第一級指令(最重要指令)が


当家に発令されました。我がヴィルヘルム家に出動要請が来ました。


参加者はヴィルヘルム家から父上、母上、兄上、姉上、私、次女、三男、四男の8名と


従者組から執事のセバスチャン、メイドからハンナとシリーの3名、残りの従者は弟妹達


の護衛兼お世話、村の防衛を務めます。


村からユルゲンさん、グスタフさん、そしてたまたま来ていた熊太郎さん。


あとラグナとカエデも一緒です。


この戦力だけでも世界を征服するぐらい朝飯前な戦力です。統治とかめんどいので


やりませんが。


作戦としてはまず帝国の4方に主力の父上、母上、兄上、姉上、ユルゲンさん、グスタフ


さん、熊太郎さんが適度に暴れ軍の目を引きます。その間残りの私達で帝都内を探索


生き残りの捜索並びに黒幕の排除を行います。


問題は帝国までどうやって行くのかと言うと…。


バスを使います。


この世界でも地球にあった乗り物を作ろうとチャレンジした人たちは多数いました。


最初の方は知識を持っている人も居なかったり素材も足りなかったのでまったく実現


せず国家として研究する場所は少なくなりました。


しかし、近年技術者が徐々に転生しさらに本格的に研究開発する組織が現れついに異世界


自動車は開発されました。主に大型魔物の魔石を使うためまだ一般には流通はしては


いませんが国家、大商人などの富裕層が所有しています。


村にも昨年運搬用にトラック2台とバス1台を購入し王都までの行き来が楽になりました。


仕組みとして燃料以外はそのまま車なのですがエネルギーがガソリンなどの燃料


ではなく乗車している人たちから少しずつ魔力を貰う仕組みとなっています。


例外として魔力の少ない子供やけが人などはマーカーと呼ばれる保護装置をつけることで


対象外となるそうです。


通常は領内の村や宿場を経由して王都まで走るのですが今回は緊急事態なため運行は休止、


代わりに昔ながらの馬車が走るそうで村で力を持て余している馬が今から興奮して


いるのはここだけの話です。


さらに村所有のバスにはとある改造がされていて、通常魔力の吸いすぎ防止のための


リミッターが装備されているのですがこのバスは自在にリミッター解除されるのです。


お陰で片道1ヶ月の道のりが8時間で到着できるのです、運転手は執事のセバスチャン。


まもなく還暦の58歳、趣味は脱衣麻雀、紅茶よりコーヒー派なロマンスグレーです。


全員バスに乗り込みセバスチャンがエンジンを掛けました。おい、そのグラサン何処で


買った?


バスはゆっくりと動き始め徐々に速度を上げあっという間に見えなくなりました。



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