13.龍族少女と不穏な動き

畑仕事が終わり、時間もあったのでラグナと一緒に裏山に来た所目の前に赤いドラゴンが


いました。ドラゴンがいました、大事なことなので2回言いました。


「すまぬ、そこの人間よ。何か食い物を持ってはおらんか?翼の怪我と腹が減りすぎて


ここから一歩も動けないのじゃ。なにとぞ頼む。」


それはお困りですね、ちょっと待っててくださいね。


人語を理解出来るドラゴンは龍族と呼ばれる種族でもし敵対した場合たった一体で


国が滅ぶと言われております。ちなみにドラゴンは龍族から枝分かれした劣化した魔物で


知性が無く一度暴れるとすべてを破壊するまで止まりません。


ラグナに手頃な獲物を狩ってきてと頼み、私は傷に良い薬草と包帯代わりの葉を探します。


10分程して、3頭のイノシシと薬草などを手に入れ龍族さんの所に戻りました。


一応調理しますか?と確認した所一刻も早く食べたいとイノシシにかぶりつきました。


足りないと言われたのでもう一度狩ってくるようにラグナに頼み、その間怪我の手当を


します。ところでどうしてこんな怪我をしたんですか?


「うーむ、実はのう。ワシは帝国付近の龍族の隠れ里に住んでおったのじゃが


ある日黒い全身鎧の騎士が里を襲ってのぅ。皆で戦ったんじゃが力及ばなく次々に倒れて


いった。ワシは父様と母様になんとか逃されたんじゃが追手と思われる者の矢を翼に受け


この山になんとか辿りついたのじゃ。」


大変でしたね、治療は終わりました。まだ痛みはありますか?


「お?痛くない、お主もしや凄腕の薬師様かえ?ありがとうなのじゃ。」


いえいえ?それよりしばらくは安静にしてほしいんですが、頼れる所や向かう場所は


ありますか?


「いや、方向もわからず逃げていたし頼れるところもないのじゃ、お願いなのじゃが


そちらの世話になりたいのじゃが?どうじゃろうか、大したお礼も出来ないのじゃが。」


いいですよ、困った時はお互い様です。とりあえずうちに行きましょうか?


龍族の方は大きさを変えられるそうですが小さくなれたりできますか?


「おお、ありがとうなのじゃ♪助かるのじゃ、小さくなれるのじゃ。よろしくお願いする


のじゃー。ワシはカエデというのじゃ、よろしくなのじゃー。あとワシは


まだ子供じゃから気安く呼んでくれー。」


ラグナ、小さくなったカエデと共に山を降り龍の隠れ里襲撃と黒騎士についての情報を


父上に報告しました。


「ふむ…、情報通りか。実は最近帝国が世界に宣戦布告しようと動いているらしい。


襲撃されたのが3日前、龍族達は戦闘を避け各地に散らばったようだが何体かは息絶えた


そうだ。カエデ殿の父上と母上は現在、隣国の龍族の里へ逃げたらしい。娘の安否を


案じられているようだ。すぐにこちらから手紙を送ろう。」


カエデ良かったね、君のご両親は無事だそうだ。


「…うぇぇぇぇん、よかったのじゃー。」ぴぇーんと泣く小竜、ちょっと待て!


僕の服で拭くなよ。


ところで父上その情報はどこからでしょうか?


「ユルゲンからだ、あいつの後輩冒険者から急ぎの連絡が入ったそうだ。さらに王家から


緊急連絡があり、リチャードに出動要請が入った。」


なんとも不穏な空気になりましたね、黒幕は帝国なのでしょうか?


「正確な情報がないからわからない、未だ帝国に動きはないが裏で何かを企んでる可能性


もある。クロードも万が一に備えていてくれ。」


わかりました、いつでも出れるように準備はしておきます。あとカエデの件なんですが。


「もちろん、当家でゆっくりしていくと良い。その間カエデ嬢の世話は任せるぞ。」


わかりました。


突如襲われた龍族の隠れ里、帝国の動向、そして謎の黒騎士。


一体この世界に何が起きようとしているのか…?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る