10.事件は現場で起きている、想い叶わず

儀式当日、通常は初代国王生誕の地から会場までのパレードが行われるのですが昨日の


襲撃によって今年は中止。


多人数の護衛ではまた襲撃が起きる可能性があるので少数で現地入り、ダミーとして


多数動員した行列を用意しましたが襲撃者は現れず。


会場は例年以上の厳しい警備で、会場入りの際全員荷物チェックと身体検査を


実施しましたが不審なものは見つかっていません。


そして儀式が始まりました。今の所以上はなし、厳かに儀式は進みそして無事終了。


ソフィアが祭壇に備えられてる階段を降りていると、どごーん!! 


大きな爆発音が響きました。そして会場の左右から自煙を出しながら大軍が迫ってきます。


「きゃぁぁぁぁっ」、ソフィア!? 


会場の下で護衛の騎士が倒れており、戦士風の男がソフィアを拘束しています。


ソフィアを離せ!! 「ふふふ、ついに姫を手に入れた。姫は私のものだ!!」


んー、こういう状況なのですが何か見たことあるな…?


あー、5歳の時のパーティーでソフィアをナンパしようとしてボコられて実家から


勘当されたぽっちゃりによく似てるわ。


「覚えていたか、俺は忘れもしなかった。お前が横から入らなければ姫は俺のモノだった。


お陰で、父上から嫡男から外され修道院に送られた。この日をどれだけ待ったことか。」


…なんか大変だったんですね、その情熱を別の方向に持っていけなかったのか。


むしろ今の姿はスリムなイケメンなんだから普通に女の子誘えばモテると思うんだけどな。


「…うるさい、うるさいうるさい!!姫は俺のものだ!!邪魔な奴らは全員殺してやる!


お前達全員を始末しろ!!」


典型的な小悪党ですな。アーノルドさん雑魚どもはおまかせします、私はソフィアを救出


してきます。 「はい、こちらはお任せください。姫様を頼みます!」


周囲の有象無象は騎士団に任せて、さっさとソフィアを助けますか。


ソフィアもう少し待っててねー。「はーい、クロード様。お待ちしてますわー。」


しかし、どう近づくかな。向こうから私の位置は確認されていて下手に近づくと


ソフィアに危害が及んでしまう。どうするかな…?


ん?会場ステージ上に見たことあるモフモフが?


ラグナ、まさかステージ上で寝てたのか?丁度いい、念話で呼びかけてみるか。


起きろ!ラグナ聞こえるか? 「わふぅ、なーに?お兄ちゃん。」


細かい話は後だ、目の前にいるソフィアを拘束している男は敵だ。思いっきり噛みつけ!


「わふぅ、わかったよ。」トコトコ…、がぶんちょ


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっっっ、痛えっっっっ!!」


尻を噛まれたぽっちゃりがソフィアを離して飛び上がりました。不意打ち噛みつきは痛い


よな。よく一緒に寝てると寝ぼけて噛みつかれるのでその痛みは私にもよくわかります。


ソフィアを助けその場から離れると雑魚どもを全員捕縛した騎士団が見えました。


ぽっちゃりも数人の騎士団に拘束されました。騒動はこれにて終了。


後日取り調べによると、姫は初恋の人で忘れられなくて長年計画し、バイトもして


コツコツお金を貯めた。取り巻きも誘ったが犯罪には関わりたくないと言われた。


今はまったく後悔していない、との供述。


対してこのコメントを聞かされたソフィア姫は「キモイ」とのこと。


儀式は一通り終了、儀式終了後に行われる祭りは次の日に行われて無事終了しました。


その後、ソフィアを王都まで無事送り届け私達は村へ帰っていくのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る