#829

ソウルミューが設置していた電磁波発生装置によってローズを拘束こうそく


ローズはすぐに装甲アーマードした部分からそのほとばしっていた電撃を止めたが、彼女をしばる電流のくさりが解けることはなかった。


「今さらムダだぜ。お前のその身体はもう十分電気をびてんだからよ」


ソウルミューがそう言いながら地上へと降りてくる。


そして、してやったといった表情で、動けなくなったローズのことを見た。


「全部オレが考えた作戦ね、これ」


「何回も言うなよ……」


そんな彼に向かって、ブライダルが顔をしかめて苦言くげんつぶやいた。


だが、ソウルミューはブライダルの言葉など気にせずに皆に声をかける。


「よし、これでローズ·テネシーグレッチはおさえたな。もうこいつは放って置いてフォクシーレディのほうへ行こうぜ」


「そうだね。でもまあ、あのビッチ社長とやり合ってるのは前作の主人公だからもう終わっちゃってるかも」


「その前作の主人公ってのはよくわかんねぇが、ともかく急ぐぞ」


そして、四人はローズに止めを刺すことなく、アン、シンが戦っているフォクシーレディのもとへ行こうとした。


だが、ブレイクとエンポリが気が付く。


「いや……まだ行かせてもらえそうにねぇぞ」


「なんだよ、このデタラメオーラはッ!?」


突然周囲の大気がふるえ、地面が揺れ始めた。


ソウルミューとブライダルが振り返ると、ローズは全身から電撃を放っていた。


先ほどは電磁波放出装置の電磁石から逃れるために解いたはずの電撃を、再び放出し始めていたのだ。


「ムダって言ったろ。電撃が流れていたお前の身体は磁石になってんだぜ。そいつを利用した拘束が解けるわけがねぇ」


「う~ん、でもなんか解かれちゃいそうだよ」


「そんなことできるはずねぇだろ。……って、マジかよッ!?」


ローズは全身から放った電撃で、自分の身体を抑えつける電磁波発生装置をショートさせた。


まともな人間なら、電流の鎖で繋がれただけで感電死してしまうが、その程度で死なないことはソウルミューも予想はしていた。


そして彼の予想通りローズは死ぬことなくその動きを封じるところに収まったが、そこからさらに電撃を強めるなど考えもしなかった。


その結果、ソウルミューが設置した電磁波発生装置のほうが、ローズの放つ高圧電流にえられなくなってしまったのだ。


「肉を焦がして骨を断つってやつ?」


「それを言うなら肉を切らせて骨を断つだろッ! くっそッ、やっぱヴィンテージに理屈は通じねぇか」


ブライダルが首をかしげていると、ソウルミューが苦虫をつぶしたよう顔をして答え、そして弱々しく呟いた。


全身から焦げ臭い匂いを出しながら、ローズがゆっくりと四人へと近づいていく。


「さあ、続けようか」

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