#751

――サーベイランスが工場内へと侵入しようとしていたとき。


中では、三人の少女が退屈そうにソファーに寝転んでいた。


「はぁ~、ひまだぁ……」


「ホントだよぉ……。ひますぎるぅ……」


「シヴィルもひまぁ……」


三人の少女の名は、声を出した順番にいうと、トライアングル、サードヴァー、シヴィル。


この製造工場を造ったエレクトロハーモニー社の女社長――フォクシーレディの秘書の少女たちである。


全員、身長百三十センチくらいで幼い容姿をしているが、その実力は一人一人が戦闘用ドローンであるナノクローンくらいなら簡単に倒せるほどで、恐るべき少女たちだ。


彼女たちは秘書というよりはむしろボディーガードに近い。


「お嬢がいうから来たけど、何も起こらないじゃん……」


この三人のリーダーであるトライアングルがブスッとした表情で言った。


三人とも秘書という立場からか、全員がパンツスタイルのスーツ姿だか、それぞれ着こなしが違っている。


リーダーであるトライアングルはネクタイまでビシッ決め、前のボタンもすべて留めている。


サードヴァーは反対にジャケットのボタンは全開で、下に着ているワイシャツのほうも第二ボタンまで開けていて、かなり砕けた着こなしだ。


一番幼く見えるシヴィルは、服の袖が余ってしまっていて、着ているジャケットがブカブカな印象である。


「ねえ、つまんないからどっか行こうよ」


サードヴァーがトライアングルとシヴィルにそう言うと、二人がムクッとソファーから体を起こした。


「でも、お嬢からはここにいるように言われてるよ。勝手に出ていったらあとで怒られちゃうから動けないよ」


「うん。シヴィルもそう思う」


今さらだが三人が口にしているお嬢とは、彼女たちの雇い主であるフォクシーレディである。


三人の会話を聞くに、少女たちはこの工場に待機しているように指示されたようだった。


サードヴァーが二人へ言葉を返す。


「だから工場の中ならいいんでしょ? このまま寝ててもつまんないもん。工場内を探検しよう!」


「まあ、それならいっか。工場の中の探検なら、ここから出るわけじゃないしね」


「シヴィルもそう思う!」


サードヴァーの提案に、トライアングルが賛成。


そして、シヴィルも同意した。


それから三人は、ソファーから飛び出すと声を張り上げる。


「よし、じゃあサードヴァーの案を採用ッ! これからわたしたち三人で工場の中を探検だッ!」


「いいねいいね! 面白くなってきたよ!」


「シヴィルもそう思うッ!」


このときの三人は、まさかサーベイランスたちが侵入して来ていることを知らなかった。


そして、彼女三人が探検始めたたことによって、サーベイランスたちの運命は大きく変わるのだった。


「レッツゴーッ!」


「ゴーゴーッ!」


「シヴィルもゴーッ!」

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