#739

「なんで通信に応じないのよあんたらはッ!」


「そうですよジャズちゃんッ! しかもこんな少ない人数でイード·レイヴェンスクロフトと戦おうだなんて無謀もいいとこですッ!」


――イードから神具の暴走を止める方法を聞いたジャズたちは、その後に彼女らのもとへやって来たヘルキャット、アリアと合流した。


「ほら見ろ。まともな思考を持った者なら誰でもそう思うんだ」


喚く二人の傍で、サーベイランスがコクコクとうなづき、一人納得している。


どうやらヘルキャットとアリア二人は、エレクトロハーモニー社から送られたというスクリーミングバードという小型ジェットから、何度もジャズたちへ連絡していたらしい。


だが、彼女たちが使用している通信回線はサーベイランスに内蔵されており、偵察に出ていた彼は当然その装置の電源をオフ。


そのまま気づかれずに、なんとかサーベイランスの回線の位置から、ジャズたちのいるところを探り当てたのだった。


「私たちが一体どんな気持ちでここへ来たかわかってんのッ!?」


「メディスンさんたちの制止を振り切って、無理やりジャズちゃんたちのところへ来たんですよッ!」


「いや、その……ありがと……。というか、なんかごめん……」


ギャーギャーワーワー喚く二人に、ジャズはひたすら頭を下げていた。


「こりゃ長くなりそうだね~。姉さんも困ってるし、さすがに止めたほうがいいかな?」


「言わせてやれよ。あれほど喚くんだから、余程の覚悟でここへ来たんだろ、あの二人」


「おッ、いや~やっぱラヴヘイト兄さんは違うね。女の子のことをよくわかってらっしゃる。うちの軍師にも見習わせてやりたいよ~」


ブライダルは、ラヴヘイトの女性への扱いを、サーベイランスに学ばせてやりたいと笑っていた。


それからヘルキャットとアリアは、満足するまで文句を言うと、その後に話はストリング帝国とオルタナティブ·オーダーのことになる。


ヘルキャットとアリアはジャズたちに協力しようとここへやって来たが、彼女たちにアンやメディスンのところへ来てもらおうとしていたことを伝える。


「もう知ってるとは思うけど、両方とも動き出しそうなんだよ」


「だからジャズちゃんたちにも、一度メディスンさんたちと合流してもらおうと思って」


(そのわりにはすごい文句を言っていたけどなぁ……)


二人の言葉に、ジャズはなんだか後付けに聞こえていたが、また喚かれるのも面倒だったので黙っていた。


「では、ここで一度分かれるか」


その話を聞いてサーベイランスが口を開いた。


サーベイランスの案では、ジャズはメディスンたちがいるところへ戻り、自分はエレクトロハーモニー社、そしてブレイクには神具の暴走を止めに行ってもらうというものだった。


その提案に、ジャズは声を張り上げる。


「そんなのダメだよッ! こっちはただでさえ人数が少ないんだよッ! それなのに、戦力を分散するなんて危険が大き過ぎるッ!」


「だが、時間がないの事実だ。他に方法もないしな。とりあえずお前はメディスンらのところへ戻って、ブレイク·ベルサウンドにはイード·レイヴェンスクロフトが言っていた場所へ行ってもらうとして」


反対するジャズを無視してサーベイランスがそれぞれのチーム分けを始めていた。


ジャズはまだ反対していたが、彼女以外はサーベイランスの意見に賛成していたため、その話は進んでいった。

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