#737

現在に世界を襲っている大災害やエレメント·ガーディアンを止めるには、儀式の影響で暴走した神具を封印せねばならない。


イードは成功率が低いと言ってから、まずそのことを皆に話した。


しかも、神具を封印するには、人が精霊や神と呼ぶものに選ばれた人間――。


奇跡人スーパーナチュラル呪いの儘リメイン カースでなければできないと言う。


「そんな……だって、みんなその儀式の影響で再起不能なのに……」


ジャズがポツリと言葉をらすと、ブレイクが口を開く。


「それなら問題ねぇな。封印はオレがやればいい」


ブレイクは神具の加護を受けた奇跡人スーパーナチュラルである。


ジャズたちの仲間には他にも――。


奇跡人スーパーナチュラルでいえば、ブレイクの妹クリーン·ベルサウンド、プロコラット、イードの息子であるシンと、その弟であるダブ。


呪いの儘リメイン カースなら、リーディン、ロウル·リンギング、メイカ·オパールがいる。


そして、クリーンとダブはすでにこの世になく――。


プロコラットは内蔵のほとんどを失い、寝たきりの状態。


リーディンとロウルは帝国の研究施設に捕らわれ、メイカはその精神が幼児退行してしまっている。


ブレイクも神具か暴走した影響で両目が見えないが、シンがどういう状態なのかわからないため、現状でまともに動けるのは彼だけだった。


「でもブレイク……ッ!?」


ジャズはブレイクに何か言おうとしたが、サーベイランスが彼女を制した。


そして、サーベイランスはイードに話を続けるように言った。


「すべての神具は一つとなり、ある場所で今も動いている。そのある場所まで行き、奇跡人スーパーナチュラル呪いの儘リメイン カースが直接神具と会話することでしか封印はできないが……。失敗すれば、その者は命を失うだろう」


「神具と会話というのは、具体的に言うとどういうことをするんだ?」


「それは、神具をあつかった者ならば誰でも経験があるはずだ」


「なら、失敗というのは? 会話の失敗というのなら、その神具に宿る精霊やら神やらの説得にしくじると命を落とすということでいいのか?」


「説得とは違う。奇跡人スーパーナチュラル呪いの儘リメイン カースは神具と繋がっている。互いに魂を感じればおのずと会話になる。以上が神具の暴走を止める方法だ」


イードの話が終わると、サーベイランスはその三本指の両腕を組んでうつむいた。


そして、皆へ疑念の混じった声で話しかける。


「ようはブレイク·ベルサウンドに、その神具がある場所に行ってもらうしかないということか……。しかし、可能性が低いというのが引っ掛かるな」


「問題ねぇよ。オレが神具の暴走を止める」


「だが、もしお前が失敗したら、永久に大災害やエレメント·ガーディアンが止まらなくなるんだぞ? ここは少しでも確率を上げる作戦を――」


そのとき、小屋の中に人が入ってきた。


全員が扉のほうを見ると、そこには――。


「誰だよ……あんたたちッ!?」


顔のほおに刺青の入った青年――イードの息子シン·レイヴェンスクロフトが立っていた。

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