#546

その後、メディスンのいる施設へと戻ったブレイクたちは、バイオニクス共和国に近づいているという軍勢のことを話していた。


その場にはブレイク、リーディン、ジャガー、ライティング――。


さらにミウム、サービス、ラヴヘイトやウェディングもいる。


メディスンは皆に向かって作戦を伝える。


まずは共和国にバリア発生装置――リバーブプレートで覆い、守りを固める。


それからバリアの一部解き、そこから入って来る敵を戦える者たちで迎え撃つというものだった。


「なんでわざわざバリアを解くの?」


「そのほうが敵の動きを把握しやすいからだ。リバーブプレートではそう長くは持たんだろうからな。それでも歩兵以外の敵は十分に食い止められる」


リーディンが訊ねるとメディスンが答えた。


だが、最初からリバーブプレートを開くわけではなく、ある程度――敵の数がわかってからだとメディスンは言葉を付け加える。


「こちらの戦力は?」


ミウムがメディスンに訊ねる。


「サーベイランス·ゴートとの戦闘で国内にいるドローンはすべて使えない。戦えるのはここいる者たちと、数人の監視員バックミンスターだな」


「何十万もいる永遠なる破滅エターナル ルーインに対して、こっちはそれだけかよ……。 はぁ、こりゃ共和国最後の日だな」


ジャガーがため息をつきながら本音を漏らす。


そんな彼にメディスンが言う。


「あと、お前たちが戦っているときストリング帝国から逃げてきた者たちが……」


メディスンがそう言い、室内の扉へ目をやると、そこから数人の男女が現れた。


ジャガーはその人物たちを見て目を見開く。


「ユダーティッ! それにヘルキャットとアリアもッ!」


腕の見える服を着ていて、顔も含めて全身が傷だらけの長い髪の女性ユダーティ。


ストリング帝国の将校の二人――小柄体格の少女ヘルキャットと長身の少女アリアの姿を見て、ジャガーが声をかける。


「トランスクライブもメモライズも無事だったんだね。よかった……」


ジャガーに続いてライティングが嬉しそうに笑みを浮かべた。


そしてライティングは、筋骨隆々の体に長髪の少年トランスクライブと、赤毛の少女メモライズ二人にリーディンと共に駆け寄る。


ミウムは奥にいた少女に近寄る。


「リズムも無事でよかった。ソウルミューやブライダルはどうしたんだ?」


少女――いや、サービスと同じくくらいの幼女と言っていいリズムに、ミウムは仲間たちのことを訊ねた。


リズムはミウムに抱きつくと、二人は攫われたダブたちを追いかけていってしまったことを伝えた。


ミウムはその話を聞くと、今にも泣き出してしまいそうなリズムを慰める。


そんな空気の中で、顔立ちの整った長身の青年――ラヴヘイトが皆に向かってその口を開く。


「おい、そのままでいいから聞けよ。今からイード·レイヴェンスクロフトの本当の狙いについて話してやる」

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