#514

突然現れたミウムの姿に誰もが驚愕していると、彼女の後ろからサービスが飛んで来る。


「サービスッ!? 無事だったんだね!」


嬉しそうに叫ぶジャズ。


サービスは迷わずにジャズたちのところへ降りてくると、その全身から光を放った。


すると、傷ついた彼女たちの身体が癒されていく。


以前にリーディンが神具によって暴走したときに使った奇跡の力――。


ルーザーリアクターの癒しの能力を見せた。


それによってジャガーの折れた足は治り、ジャズやリーディン、ブレイクの傷も治っていく。


「こいつは……? いや、それよりも今はミウムをッ!」


「待って」


ブレイクは傷が癒えるとすぐにミウムに手を貸そうとしたが。


サービスがそれを止める。


「待てって、ミウムのヤツ一人であの数はキツイだろ!?」


声を張り上げるブレイクにサービスがその小さな頭を振る。


問題ないと、今のミウムはたとえヴィンテージが束になってもかかって来ても後れを取ることはないと。


「今のミウムは誰にも負けない。それよりもみんな傷が治っても体力が戻ったわけじゃない。ここはじっとしていたほうがいい。彼女の邪魔になる」


「なにいってんだ!? ミウムがいくら強くても一人じゃ無理だッ! それに、あいつは……」


「大丈夫……。今のミウムはリスクなしで力が使えるから」


サービスはそう言うと再び全身から光を放った。


その黄金に輝く光は、彼女の黒髪を金色へと変えたが。


ブレイクたちにはサービスが何をしているのか、ミウムが一人で問題ないことの理由を理解できないでいると――。


「サービスの言う通りだ! 今の私なら一人で十分。お前たちは休んでいろッ!」


機械人形に囲まれながらミウムが叫んだ。


そして、彼女は持っていたレーザーガトリングガン――古い機関銃であるM134――ミニガンを彷彿とさせる重火器を投げ捨て、その機械の片腕を地面に翳す。


「サービス……瓦礫の山から出てきたか。だが、今さら適合者一人連れてきたところで何ができるというのだ」


サーベイランスはその金属の顔をしかめながらそう言った。


しかし、次の瞬間にサーベイランスはミウムの力に圧倒されることとなる。


それは、彼女が手を翳すとコンクリートの地面を突き抜け、大地が無数の槍となって機械人形の集団を一瞬で貫いたからだ。


貫かれた機械人形はそのまま拘束され、一体残らず身動きができなくなる。


「なんだと!? 適合者にはこんな真似もできるのか!?」


「次はお前だ」


ミウムはサーベイランス目掛けて飛び込んでいく。


当然マシーナリーウイルスの適合者である彼女の身体能力は凄まじいが、先ほどのミックスとの戦いからわかるようにサーベイランスのほうがそれを上回っている。


だが、ミウムの機械の拳はサーベイランスの顔面を打ち抜いた。


「馬鹿なッ!? 私の反応速度を超えるだとッ!?」


吹き飛ばされ、地面に倒れたサーベイランスは激しく狼狽えながら声を荒げた。


ミウムはそんなサーベイランスを見下ろしながら静かに言う。


「今の私は生まれて初めて全力で戦える状態だ。覚悟しろよ」

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