#475

――サーベイランスを倒し、乗っ取られてしまったバイオニクス共和国のシステムを取り戻すために、メディスンによるチームは分けが発表された。


それは、住民たちを逃がすための避難させるチームと、サービスをサーベイランスに近づかせるため彼女を護衛するチームの二つだ。


ミックスとジャズは挙手をし、サービスを守る護衛チームになりたいと志願したが――。


「なんでサービスを守るほうに俺たちが入ってないんですかッ!?」


「理由を! 理由を教えてくださいッ! ちゃんとした説明がないと納得ができません!」


二人は避難チームのほうに選ばれた。


その決定に納得できない二人は、何度もメディスンに詰め寄って声を荒げている。


ジャズは普段から腑に落ちないときにこうなりやすいが、ミックスが相手に怒鳴るのは珍しい姿だった。


それは、それだけ彼がサービスと共にいたいのがわかることだった。


もちろんジャズもそれは同じで、二人はメディスンに、荒々しい態度で説明を求めている。


「まずは落ち着け。別に君らをサービスと引き離したくてこういうチーム分けをしたのではない。そのことは理解してほしい」


メディスンは、詰め寄ってきたミックスとジャズに対して、冷静に説明をする。


彼の考えでは――。


住民を避難させようとこちらが動けば、サーベイランスが機械人形を送り込んでくる。


その間に、サーベイランスがいるアーティフィシャルタワーへと護衛チームが向かうというものだ。


護衛チームに選ばれたのはノピア、ベクター、ラヴヘイト。


そして、避難させるチームには残りのメンバー全員――ミックス、ジャズ、ジャガー、ウェディング、リーディン、メディスンである。


「つまり我々が敵を誘き寄せ、サーベイランス周辺が手薄になった隙を突いてサービスでシステムを取り戻す。そして、こちらの最強の駒であるノピア将軍をぶつけるんだ」


ジャズは、メディスンのチーム分けの理由を聞くと、悔しそうに口元を歪めている。


「うぅ、了解しました。それは納得せざる得ない理由ですね……」


「なんでだよジャズッ! 俺は納得がいかないよッ!」


だが、ミックスは説明を聞いても納得しなかった。


しっかりとした理由を聞いてもまだ喚き続ける彼を見たその場にいた者たちは、揃ってこう思っていた。


――こいつ、全く話を理解していないなと。


そんな空気の中、ベクターがノピアに向かって声をかける。


「若さゆえか。いや、それにしては感情的過ぎるな」


「だが、彼は使えます。それに彼のコントロールは、ジャズ中尉がやってくれるので心配はいらないでしょう」


ベクターはノピアの言葉を聞いて笑みを浮かべた。


そして、本当に聞きたかったことを訊ねる。


「それにしても彼――ミックスだったか? 機械化できるということは当然適合者なのだろう。だがアフタークロエ前から、マシーナリーウイルスの開発終了したと聞いていたが」


何も答えないノピアに、ベクターは重ねて訊ねる。


「しかも彼は、共和国の学校に通っているそうじゃないか。何故帝国が開発したウイルスに、共和国に住む彼が感染しているんだ?」


「きっと、どこか共和国の研究所でマシーナリーウイルスを作ったのでしょう。子どもを実験台にして特殊能力者を造るような上層部がやりそうなことです」


「まあ、確かにそう考えるしかないが……」


ノピアとベクターがそんな会話をしている横では――。


「いい加減にしろッ! ここはメディスンさんの作戦に従うんだ!」


「そんなの嫌だよ! ……って、ちょっと待ってジャズ!? や、やめ……それは……それはッ! ぎゃあぁぁぁッ!」


いつまでも喚くミックスに、ジャズが頭突きを喰らわせて黙らせていた。

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