#476

その後、ミックスたちは作戦前に簡単な食事を取ることに――。


「あれ? ノピアさんはどこ行ったの?」


戦闘糧食レーションのチョコバーを皆で頬張りながら、ミックスがこの場にいない者のことを気が付いた。


いなくなったのはノピアだけでなく、ベクターやラヴヘイト、さらにメディスンの姿もない。


どうやらジャガーがいうに、四人でサーベイランスの対策を話しているようだ。


メディスンに護衛チームに選ばれた三人なのだから、当然といえば当然のことだと思われる。


「しかし、酷い味だなこれ……」


「文句を言わないの。戦場で糖分が取れるっていうのは非常にありがたいことなんだよ」


「いや、ここは戦場ないでしょ」


「いちいち揚げ足を取るな! また一撃喰らいたいのッ!?」


チョコバーの味に辟易したミックスをジャズがたしなめると、皆が笑う。


それを呆けて様子で見ていたサービスは、ミックスとジャズのほうをジーと眺めていた。


ミックスとジャズはそんなサービスに気が付くと、彼女を挟むように傍へと移動する。


「ねえ、サービス。この戦いが終わったらウェディングがクリスマスパーティーやりたいっていうから、サービスも一緒にパーティーしよ」


「もちろん料理は俺が作るよ。久しぶりにサービスに俺の手料理を食べてもらいたいからさ」


サービスは二人を交互に見ると、嬉しそうに笑みを浮かべてコクっと頷いた。


ジャズはそんな幼女を抱きしめると、ミックスはニッコリと微笑む。


ミックスもジャズも、きっともっとサービスに聞きたいことや話したいことがあっただろうが。


二人は、けして訊ねたりはしなかった。


すべてはサーベイランスを止めてからだと、二人は同じことを考えていたのだ。


「そうだ。皆、飲み物はいるかい? インスタントドリンクならあるってベクター長官が言っていたよ」


ライティングはそう言うと、人数分のインスタントドリンクを取りにいくため、その場からいなくなる。


「一人じゃ大変でしょ? ワタシも行くよ」


リーディンも手伝おうと、彼をの後を追いかけた。


バイオビザールの基地内を歩く二人。


当然通路に誰もいない。


しばらくの間、黙ったまま歩いていたが、ライティングが口を開く。


「こうやってまた君と話せるとは思ってなかったよ」


「ワタシも……」


リーディンはそう返事をすると、それ以上何も言わなかった。


それから聞いていた倉庫から人数分のインスタントドリンクを取って戻ろうとしたときに、リーディンが彼に訊ねる。


「ライティング……ワタシは……」


「リーディン、全部終わってから話そう。ボクらのこれからのこと……二人の未来のことを……」


「……うん、そうだね」


頷くリーディンにライティングは笑みを浮かべ、そして二人は皆のいるところへ戻るのだった。

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