#374

バーバリーに捕まってしまったソウルミュー。


だが、そのとき当然大型航空機から一台の小型のジェット機が飛び出してきた。


バーバリーはそれに誰が乗っているのかすぐに気が付く。


「血は争えんな……。レイヴェンスクロフトの血統は人の思い通りに動いてはくれん」


小型ジェット機にはバーバリーの予想通りダブが乗っていた。


ダブはシストルムと共に、大型航空機から脱出。


そして、小型ジェット機の機銃をバーバリーへと向けて今すぐソウルミューを解放するように言う。


「彼を放せバーバリー」


「一体何のつもりですかダブ様? 神具を手に入れてこれからというときに。これでは教祖様も悲しみますよ」


「いいから彼を放せッ! 撃つぞ! 早く彼を放さないと撃つぞッ!」


声を荒げるダブ。


だが、虚しくもそんな脅迫は通じず、バーバリーが放った光の閃光が小型ジェット機を貫く。


エンジンが爆破し、中にいたダブとシストルムは硫化水素のガスが充満する外へと投げ出された。


バーバリーは捕まえていたソウルミューを蹴り飛ばし、すぐにシストルムを回収。


そして、苦しそうに落下してくダブを一瞥すると、大型航空機へと戻っていく。


「ダブッ!」


ソウルミューは蹴り飛ばされながらも背中のジェットパックを起動させ、落ちていくダブの身体を抱きしめた。


その間に大型航空機からの攻撃が始まり、ソウルミューの乗っていたジグソーポットは破壊され、ブライダルも近寄れずに後退。


その後、大型航空機は加速し出して、この空域から飛び出して行ってしまった。


ブライダルは空中にいる二人に、ジグソーポットの中から声をかける。


「無駄だよ、もうそいつは死ぬ。私らもさっさとここから立ち去るか追いかけるか決めないと」


「お前のHPスーツがあんだろ!? ダブに渡してやってくれ!」


「だから無駄だって、もう時間が経ち過ぎてる。今さらスーツを付けたって、もう十分ガスを吸い込んじゃってるでしょ」


ブライダルが冷たく現状を伝えると、ソウルミューは突然ポケットからエレクトロフォンを取り出した。


それからどこかへと電話し、荒々しい声を出す。


「おいクソ親父ッ! お前がまだオレの父親のつもりなら今すぐ助けに来い! 場所は今かけてるこのエレクトロフォンから辿れッ!」


ソウルミューそう怒鳴ってエレクトロフォンを切ると、自分の身体に付けていたHPスーツ――ホログラフィック·プロテクションスーツのバッチを外し、グッタリしているダブの身体へと付けてスイッチを押す。


「おい! なにバカなことやってんだよッ!? バッチをなかったらあんたが死んじゃうんだよッ!? 今からでも遅くない、早く自分にバッチを付けなッ!」


ブライダルが叫ぶ中、HPスーツ――バッチから現れた保護膜のような光がダブの身体を包んでいく。


止まっていた彼の呼吸が再び聞こえるようになった。


そして、HPスーツを失ったソウルミューはゴホッとむせると、慌ててダブの身体と自分のことを縛り始めた。


しっかりととロープを縛り上げたソウルミューは安心したのか、そのまま意識を失ってしまう。


ジェットパックは起動したまま、二人は宙でロープに結ばれた状態でうなだれていた。


「今からでもこのポッドに乗せるか……。クソッ! リズムにはクソ兄貴とシストルムを連れて帰るって約束したのにッ!」


ブライダルが頭を抱えていたそのとき、一機の垂直離着陸機――オスプレイが現れ、二人とブライダルの乗るジグソーポットを回収した。


ブライダルがジグソーポットから降りると、そこには白銀髪の女性――ミウム·グラッドストーンが立っていた。


「あんた……? なんでここに?」


「そんなことよりも今は二人のことが優先、最優先だ」


ミウムは唖然としているブライダルに指示を出し、彼女と共に、くっ付いている二人を運ぶのであった

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