#332
それからミックスとジャズは森の中を突き抜け、ユダーティに教えてもらった通りに進んでいくと、岩山へと辿り着く。
その大きく高い岩壁は、地表部分に生えている植物などでカモフラージュされていたが、ジャズはそこに出入り口があることを見抜く。
「間違いないね。ここが連中の隠れ家だ」
「じゃあ、この中にプロコラットがいるんだね」
ミックスは早速中へ入ろうとしたが、ジャズが慌てて止める。
何故止めるんだと言う彼に、ジャズは小声で怒鳴り返す。
ここは
それなのに近所のコンビニエンスストアに入るような感覚で中に入ったら速攻で見つかってしまうだろうと、全く警戒心のないミックスを
「それもそうだね。ごめんごめん。いや~ジャズがいて助かったよ~」
「……あたしがいなかったら、あんたはここで確実に捕まっていたよ……。まったく、そんな考えなしでプロコラットって人を助けられると思ってるわけ?」
「う~ん、でもまあ、俺にはジャズがいるし。なんとかなるでしょ」
「……バカ。もしあたしがいなくなったらどうすんだよ……」
ジャズはそうボソッと呟くと、植物の生い茂る出入り口の周りを観察し始めた。
そして、ミックスに動かないようにと言い、一人出入り口へと近づいていく。
ジャズが見るに出入り口周辺には、特に監視カメラや侵入者を撃退するような設備はなさそうだ。これなら入って行っても問題ないかと彼女が思っていると――。
「ジャズッ!」
ミックスが大声をあげて走り出して来ていた。
ジャズは敵に見つかるだろうと怒鳴った。
だが、どうやらすでに敵に囲まれてしまっているようだった。
周囲には法衣のようなものを着た集団が、その格好に合わない突撃銃を持って木や草の中からその姿を現していた。
「もしかして罠だったってことッ!?」
「どうしようジャズッ!?」
ジャズは辺りを見渡したが、もう隙間なく敵に包囲されている状態だった。
かなりの大人数に囲まれ、これはいくらミックスがマシーナリーウイルスの適合者だとしても、手に負えないほどの数だ。
それに、ここは敵のホームグラウンドなのだ。
何か罠が仕掛けられている可能性も高い。
迂闊には飛び出せない。
こうなるともう中に入るしか道はない。
だが、このまま入ってしまって良いものだろうか。
もしやこれも敵側の作戦なのかもしれない。
そう考えたジャズだったが、敵は待ってはくれない。
二人を狙って一斉に弾丸を撃ってくる。
「くッ!? しょうがない! 中に入るよッ!!」
ジャズは、トレモロビグスビー内にあった彼女用にカスタマイズされた電磁波放出装置――銃剣タイプのインストガンで向かってくる敵を牽制しながら、先に中へ入るように叫ぶ。
ミックスは自分が敵を止めるから、先にジャズが先に行くように返事をしたが――。
「素手のあんたになにができるの!? いいから早く行って!」
怒鳴り返されてしまった。
ジャズのいうことは最もだ。
ミックスは適合者でその身体を機械化――
だが、彼には遠くにいる敵を止められるような武器や能力はない。
いくらミックスがジャズよりも身体的に強くとも何もできることはない。
「わかったよ。じゃあ悪いけど、先に行くね」
「いちいち断らなくていいから急いでッ!」
そして、二人は
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