#331
それからミックスたちを乗せたトレモロビグスビーは、森林地帯へと着陸。
ユダーティによると、プロコラットが連れて行かれたのはこの先にある山の中だそうだ。
なんでもプロコラットとユダーティは、この森林に用があったようだ。
「えッ!? この森ってロウル、いやロウルさんが育てたの!?」
それからユダーティが説明するには――。
この森林地帯の
ロウルはまだ彼が若い頃――バイオナンバー在籍時から少しずつ世界を回って多くの人と繋がり、当時に世界中を恐怖に
それは何年何十年と気が遠くなるような年月がかかったが、彼の働きにより、ここだけでなく多くの場所に自然が戻っている。
ロウルと仲が良かったプロコラットとユダーティは一度彼の再生させた森が見たくなり、この森林地帯へやって来たところ、先の法衣のようなものを着た集団――
「えッ!? ユダーティってあのロウル·リンギングと知り合いなの!?」
驚くジャズにユダーティは笑顔でコクコク頷き返す。
「その恋人のプロコラットって人は
「うん。まあ、俺の場合はユダーティたちと違って仲が良いわけじゃなくて、殺されそうになったんだけどね」
「えぇッ!? そんな話は聞いてないよッ!!」
驚愕するジャズの隣でさすがのユダーティも驚いていた。
ユダーティからすると、あの誰にでも優しいロウルが、ミックスのような少年を理由もなく殺そうとするのが信じられなかったからだ。
「まあまあ、今はそんなことよりもプロコラットを助けるのが先決でしょ」
「ハザードクラスに殺されかけたのにそんなことって……。だけど、たしかにそうだ……」
ミックスの言葉にジャズは納得し、ユダーティも頭を切り替える。
そうだ、今は
他のことを考えている余裕はないのだ。
「でも、必ず後で説明しなさいよ」
「え~面倒だな。別に大した話じゃないよ」
「いいから! 絶対に聞かせなさいッ!」
ジャズがそう言うとユダーティは頷いている。
一先ずはそれでロウル·リンギングの話は終わり、ミックスたちはプロコラットの救出作戦を話し合った。
当然、何も案がないと言ったミックス、ユダーティに作戦などなく、ジャズが考えることになる。
彼女はユダーティから
「とりあえずあたしが一人で行くから」
「なッ!? そんなの危ないよッ!」
「こういうのは一人のほうが動きやすいんだよ。いいからあんたはここに残りなさい」
「ダメだダメだッ! 俺もいくッ! ジャズ一人だけで行かせられないッ!」
その後、いつもの言い争いをして珍しくジャズのほうが折れることになった。
二人の様子を見ていたニコは、ミックスが他人を心配して自己主張しているときは、ジャズのほうが彼の案を受け入れることが多いと思っていた。
「わかった……。じゃあ、あたしとミックスが調べに行くから、ニコはここでユダーティを守ってあげてね」
そして、トレモロビグスビーから出て行こうとしているジャズにそう言われたニコは、力強く鳴き返すのだった。
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