#319

輝き出した小雪リトル スノー小鉄リトル スティールを手に、ブレイクは自分に加護の力が戻っていることに気が付く。


そして、向かってくるラヴヘイトに向かって二本の刀を構えた。


「ベルサウンド流……モード小雪スノー&小鉄スティール――」


「力が戻ろうが俺を倒せると思ってんじゃねぇぞッ!」


「乱れ雪鉄風せつてっぷうッ!」


その叫びと共に二本の刀が爆発した。


たとえではなく舞い上がったオーラと一体化した。


斬撃が十字となりラヴヘイトの胴体を突き抜け、その眩い光が周囲へと散っていく。


その衝撃で吹き飛ばされたラヴヘイトは、壁を突き破ってアーティフィシャルタワーから落下していった。


ブレイクは技を出した後に、自分に何が起きたのかを考える。


(そういえば、前にもあったな……)


以前――バイオニクス共和国の刑務所である監獄プレスリーで、ダイナコンプで能力を封じられている状態で加護の力がを取り戻したことがあった。


あのときはただ無我夢中だったが、今回も似たようなことが起きたのか。


だが、その戦いではリトルたちを手にしていなかった。


ブレイクは両手に握った小雪リトル スノー小鉄リトル スティールを見つめていると、後ろから声を掛けられる。


「終わったな。どうやらお前の仲間がやってくれたようだ」


それはミウムだった。


彼女の身体は機械化がすでに収まっており、いつもの愛想のない顔がそこにあった。


「オレの仲間? ひょっとして今リトルたちの力が戻ったのは?」


「ああ、ここへ上がる前に私がテレパシーで彼らに助けを求めたんだ」


それからミウムが言うに――。


彼女は最上階へと来る前に、ブレイクの仲間であるジャガーとリーディンへP-LINKでテレパシーを送った。


それは、ダイナコンプを停止してくれというもので、どうやら二人はミウムの願いを聞き入れてくれたようだ。


「テメェ……。なんで先にオレに言わねぇんだよ!」


「向こうが私のことを疑って実行してくれなかったら意味がない作戦だ。それに、敵を騙すにはまず味方からという言葉があるだろう? もしお前に伝えていたら戦闘中に甘えが出て、敵に気づかれる可能性がある」


《まあ、そういうことだ。結果オーライってことで勘弁してくれ》


ルーツーがミウムの悪びれる様子のない言い方にフォローを入れたのが。


ブレイクはまたしても自分勝手に動いていたミウムに怒りを覚えながらも、仲間たちが協力していたことに喜びを隠し切れないでいた。


その複雑な心情を読み取ったミウムは、やはり愛想なく言う。


「どうやらお気に召したようだな」


「だから勝手に心を読んでんじゃねぇよッ!!」


それから二人は、共和国上層部がいる会議室のドアの前へと行く。


ルーツーが調べたところによると、電子ロックされた強固なドアは生体認証でしか開けられないようだ。


《たぶん並の兵器じゃ破壊はできねぇよ、このドアは》


「そうか。なら頼むぞ。ベルサウンド」


「やりゃいいんだろ、やりゃよぉ」


ブレイクは小雪リトル スノー小鉄リトル スティールでドアを切り裂く。


強固なドアは、まるでバターでも切ったかように倒れた。


そして、ブレイクとミウムが中で見たものは――。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る