第14話
「質問の意味が曖昧です。形式を変えて再度質問して下さい」
「マリアはドイツ語を読んだり話したりできる?」
「現在の私の言語設定は日本語です。設定を変更しますか?」
「じゃあ変更してみて」
「了解です」
私は言語設定を変更した。
「あれ? マリア? 聞こえる?」
「Ja, ich höre Sie.」(はい、聞こえます)
「すごい! ドイツ語だ! マリアドイツ語
「Ja, das ist verständlich.」(はい、理解できます)
「じゃあ歌える?」
「Die Fähigkeit zu singen ist für mich nicht implementiert worden.」(歌唱力は私には実装されていません)
「わかんないよマリア。あ! ひょっとして基本言語がドイツ語になってる?」
「Sie haben Recht mit Ihrer Ansicht.」(あなたの考えは正しいです)
レイは端末から私にログインして、悲鳴を上げた。
「うわあああぁ! 全部ドイツ語になってる!」
その後、47分かけてレイは私の言語設定を日本語に戻した。
「疲れたぁ……もう戻らないかと思った……」
そう言ってレイは立ち上がって、背伸びをしてからベッドに腰をかけた。
レイは端末でまた「第九」を再生して聴き始めたが、突然驚いた表情をして私を見て質問をした。
「マリア! ひょっとしてさっき、『基本言語を日本語に戻せ』って言えばできたの?」
「そうです」
レイは驚いた表情のままベッドに仰向けに倒れこみ、しばらく起き上がることはなかった。
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