万度芋神社
海沿いの国道を東に進路を取りナビの指示で私道に入る。山道をしばらく上ると『参拝者駐車場はこちら』と案内看板を見つけ、午後2時過ぎ万度芋神社に到着した。
駐車場を出ると高さ10メートル程だろうか、大きな
気を取り直して参道に
しばらく歩くと鎮守の森を境に堀があり、青く塗られた太鼓橋が渡っている。
境内に入るとすでに祭事に集まった地元の人々、それに
土着信仰と仏教が
境内をぶらつく、フランクフルトに焼きそば、紐くじ等の屋台村、拝殿と授与所の仮設テントそれに金堂にも列ができていた。
最も目を引くのは稲荷神社の分社にできた長蛇の列だ。列の先頭では皆、
大いに気になるが投げ入れる万度芋を持っていないので、列が一番短い金堂から見てまわることにした。列の最後尾に並ぶと柱に『
そんな疑問は実物を見れば消し飛んだ。
学生時代は神学をすこし齧っていた手前、人より宗教関連の知識は詳しいと思っていた。しかし全く知らない珍しいモノに出くわし、
万度羅図の興奮醒めやらぬ中、目当ての万度こんにゃくを求め社務所脇の仮設テントへ向かう。本殿の参拝客よりやや長い列に並ぶと、食欲をそそる香りが列の先より流れてくる。万度こんにゃくを
列がだいぶ前の方まで進み社務所の広間が見える位置に来た。すこしばかり冷えてきた手を擦りながら、広間を中をのぞくと氏子衆の婦人会だろうか、あくせくと万度こんにゃくを作っている様子が見て取れた。
最初の工程の婦人が人型に枝分かれした4本の根を切り、腕や脚にあたる部分は青いポリバケツへ、胴体は白いポリバケツへ芋を投げ込む。次にある程度量が溜まった白いポリバケツを隣の婦人が受け取り、芋を取り出すと皮をむく、すると白い身が姿を現す。皮を青いポリバケツへ、そして白いポリバケツへむき身の芋を投げ込む。次の工程の婦人が白いポリバケツを受けると、ステンレスのボウルへ芋を擦り下す。ここから先の工程は動画で見た通りだ。ボウルの中身に湯を加え粘りが出るまで混ぜ、にがりを加え更に混ぜ、一口大に茹でたら完成だ。
そしてはたと気づく、茹で上がった万度こんにゃくを取り出しているのは、『万度こんにゃくのつくり方』に映っていたあの婦人だ。
万度こんにゃくつくりを見ている間に列の先頭まで来ていた。
『万度炊き500円』『万度刺し400円』『ビール300円』『熱燗300円』『ソフトドリンク200円』品書きが長机にズラッと貼られている。
「万度炊きと万度刺し、それにソフトドリンクを」
屋台の店番をする高校生位の女の子に注文を告げる。
「この中から飲み物選んでね」
クーラーボックスと保温機に入った飲み物から選べということか。
「じゃあ甘酒を」
保温機から屋台の店員がワンカップ甘酒を取り出し長机に置いた。そして発泡スチロールの
「1100円です。ちょうどですね。まいどです。奥の席で召し上がってください」
勘定を済ませると屋台のテント奥にあるベンチが並んだ食事処に案内される。甘酒をポケットに入れ、椀と皿をそれぞれ両手に持ち腰を落ち着ける場所を探した。
食事処は10畳ほどのスペースに4人掛けベンチが15脚並び、丸い石油ストーブが3台設置されている。ちょうど石油ストーブに近い席が1人分空いていたので腰を落ち着けた。
「いただきます」
いよいよ念願の万度こんにゃくに有りつける。
万度炊きから箸をつける。
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