マルナカ万度畑町店
天気は快晴、貫けるような青空で目が眩む。
絶好のドライブ日和。
高速道路に入る前に念のためガソリンをいれ中国縦貫自動車道へ、そして分岐で鳥取自動車道へ折れ
肝を冷やしながら祈るようにハンドルを切り、峠道を下っていると、木々の間から海岸線に沿った小さな町が見えた。
やっとのことで林を抜けると
午後1時ちょうど、カーナビの到着予想時間は1時間半であったが、実際は2時間を要した。
万度こんにゃくを探すため、手始めにスーパーマーケットをあたる。閑散とした国道沿いにマルナカ万度畑町店を見つけ、だだっ広い駐車場に入る。
「マルナカーマルナカーなかなかじゃん」耳に残る陽気なスーパーのテーマソングを背に、買い物かごをカートにのせ、こんにゃく売り場へ直行する。しかし、万度こんにゃくは見つからない。目当てのこんにゃくを陳列していたスペースは空なのだ。『万度こんにゃく119円!』手書きのポップが陳列什器の吐く冷風でゆらゆら揺れる。
缶コーヒーを2本セルフレジで会計を済ませ喫煙所へ向かう。
喫煙所には先客の老人が一人いた。
「あのいいですか?」
「何ね?」
老人は訝しがる視線を向ける。
よそ者にいきなり声をかけられたのだ致し方ない。しかし、ここで引くわけにはいかない。半ば命掛けでここまで来たのだ。
「ちょっと伺いたいことがあるんですけど、万度こんにゃくをご存じですか?」
「万度はごっつぉだけん手に入らいらだっただらー」(万度はごちそうなので手にはいらなかっただろ)
「どうしても食べたいんですよ」
「ほんなら冬至の祭りを
老人は矢継ぎ早に早口でまくし立てる。
気になる言葉があったような。
「万度芋神社ですか」
「そう万度芋神社」
おおきな手掛かりを得た。
神の導きだろうか?
「ありがとうございます」
缶コーヒを老人に手渡す。
「だんだんね」(ありがとうね)
老人から目当ての情報を得た後は、世間話をいくつかしてよきタイミングで喫煙所を後にする。
カーナビの目的地に万度芋神社を入力しマルナカを出た。
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