脆弱デイズ ①

その日、深崎 葵はこの上ない災難に出会う。



登校中に鳩のフンをかけられ、電車はあとちょっとというところで行ってしまうし。

さらには、オレは4限までの授業で全て発表の指名されたのだ。

だが、災難ばかりではない。

昼休みに好きな子である、黒田 小百合くろた さゆりに話しかけられたのだ。


「江崎くん、授業中は大丈夫だった?よければ、お昼ご飯一緒に食べようよ〜」


「まぁこれが日常だし、大丈夫だよ。それよりもオレなんかと食べていいの?」


「江崎くんだから、一緒に食べるんだよ〜」


オレはこの言葉にドキッとした。

小百合は容姿端麗、それに加えてあざとさもある。

彼女が何を仕掛けてくるのか予覚ができない。

一部から厄男と呼ばれ、距離を置かれているオレだが、小百合だけはそんなこと気にせずに話しかけてくれる。

そんなところがオレは好きなのだ。


「あの現文の先生のワイシャツ、キスマついてなかった?」


「まじで?!全然気付かなかった!」


そんな他愛もない話をしながら、小百合と昼休みを共にし、無事放課後になった。



「はぁ、罰ゲームだっる。なんでアイツなんかと昼休み過ごさなきゃいけないの」


忘れ物を取りにきたオレは彼女の言葉を咀嚼できずにいた。

キャハハと笑う彼女とその取り巻き。

一体全体何が起こったというのか。

オレもそして彼女らもまだ分からなかった。

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禍福は糾える縄の如し ななちょす @tadadesaeningen

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