-UNK- そして世界は終わりを告げる
ナイフ
第一話 オワリノハジマリ
「うんこ!」
そのとき世界は終わった。
世界が終わるということが何を意味するのだろうか。
俺は――――――
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「
俺には小さい頃からの夢があった。夢中になるほど好きなものを追い求めてたどり着いたのがここ。
―Sun Flower―
「養成所では何をなさっていたのですか?」
たくさんの花が囲む部屋で俺の前に座るのは笑顔でこちらを見る二人の老夫婦だ。まずは奥さんの方から質問が投げられる。老いていてもわかる、昔俺が花を育てるときに一緒に手伝ってくれた人の声だ。
「はい、養成所では植物や季節に関する専門知識の勉強や花の飼育をして参りました」
俺はこれまでの経験を巡らせる。俺が花に興味を持ったのは小学生の頃だった。親に連れられてここに訪れ、室内の細微までもを彩る花々に心を動かされて以来ずっと夢中だった。それからは、自分で花を育てたり世界中の花を本で読んだりして知っていき、将来は花屋になるといってきかなかった。
「どうして、ここを選んだのですか」
今度は旦那さんが口を開く。こちらも俺がよく知っている声、俺が知らない花の名前や育て方を教えてくれた人の声だった。
「はい、幼いころにここを訪れて以来・・・」
面接はあまり緊張せずに終えることができた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<帰り道>
内定はその場で決定した。後から聞くとやはり俺のことを覚えていてくれたみたいだ。きっとあちらも最初からそのつもりだったののだろうが、やはり決定を告げられた瞬間は嬉しかった。
明日から働くことになったため、俺は晴れやかな気分で家に帰る。が、
「うんこ!」
「「アハハハハハ」」
え?
小学生がこちらを指さして声を上げる。
とっさにその場を確認すると前が見えていなかったためか犬のフンを踏んでしまっていたみたいだ。いつもの俺ならここでげんなりしてしまっていただろう。
ただし、今日の俺はこれくらいの不幸など気にしない!幸運の対価だと思えば寧ろ笑ってやり過ごせる!
そう思っていると今度は不自然な笑みを見た小学生らは気味悪がってどこかへ行ってしまった。
帰宅後、俺は両親に電話を掛け今日の出来事を報告した。
<次の日>
俺はいつも以上に身だしなみを整えて電車に乗る。
もちろん昨日の件があったため靴は念入りに洗っておいた。ピカピカだ。
車内は珍しく人がほとんどいない。
「次は蔵津~、若柴方面へお乗り換えの方は~・・・」
車内のアナウンスだ。
Sun Flowerは蔵津駅から徒歩5分程の所にある。
この辺りは建物や道路も多く、他と比べても栄えており多くの人が蔵津へ訪れる。
だからこそ、この花屋は都会の中で疲れた人々を癒し、愛され続けてきたのだ。
改札を抜け、快晴の空の元、俺の目に映るのは・・・
「うそ......だろ......?」
ビルには苔が生い茂ており、道路には木の根が飛び出している。
また、至る所にツタが絡みつき、一部の建物や看板は崩壊している。
そこに人は誰もいない。
俺は自身を疑った。夢であってくれと願った。
しかし、どれだけ周りを見てもはっきりと辺りが壊されていくのが見える。
頭の中が真っ白だ。なにもわからない。
俺は走って花屋へと向かう。頭よりも先に足が動いていた。
崩れた道を乗り越え、ツタをかわしながら必死にそこへ向かった。
きっと数分でたどり着いただろうが、とても長い時間走っていたように思える。
「・・・」
花屋を前にして意を決して店内へ入る。
「助けて!」
花々は昨日と変わらず店内を彩るが、そこに立っていたのは一人の少女だった。
-UNK- そして世界は終わりを告げる ナイフ @Broccoli_1024
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