5 真莉愛は純人を4年越しで射止め、旅行先で結ばれる

 真莉愛は保育士の資格を取り、来年の就職先も決まった。そこは純人の住む町にある保育園で、親にも承諾を得て一人暮らしをする計画だった。彼に報告すると喜んでくれ、12月の休みにお祝いをしてくれるという。しかも、二人で箱根に一泊旅行をしようと提案された。真莉愛はその日を待ち焦がれていた。

 真莉愛は箱根への旅行に純人と一緒に行く事を、親には正直に話していた。母親は理解を示し、喜んで送り出してくれた。純人の運転する車で、小田原から芦ノ湖を巡り、箱根湯本のホテルに着いた。箱根の夕暮れ時は冷え切っていたが、心は温かく火照っていた。真莉愛は純人とホテルに入る時めきと恥ずかしさで、胸が高鳴っていた。

「何か恥ずかしい!純人さんと二人でホテルにいるなんて、新婚旅行みたい。」

「いつも俺の部屋で二人だよ。折角だから、温泉に入ろうよ!」

 二人は別々に温泉に行き、真莉愛が部屋に戻ると純人が退屈そうにしていた。「真莉愛、こっちにおいで!」と呼ばれて近付き、二人はキスを交わし合った。二人にとってはお互いに馴染んだ唇だったが、新鮮な心地良さを感じた。

 食事を別室で食べて部屋に帰ると、二組の布団が並べて敷かれていた。真莉愛はこれから先の事を考え、顔を赤くしていた。純人はそんな彼女の気持ちを察し、優しく床に導き抱き寄せた。二人が結ばれるまでに、4年の歳月が過ぎていた。


 真莉愛が保育園に勤め出して半年後、二人は純人の部屋で同棲していた。仕事帰りには毎日のように彼の部屋で過ごしていたので、一緒に住む事は当然の成り行きだった。いずれは結婚する話も、二人の間で出来上がっていた。それから半年後には妊娠している事が分かり、急きょ結婚式を挙げた。

「真莉愛が私のお姉さんになるのか。実感がないね。」と花純に言われ、

「花純の御蔭だよ。でなければ、違った人生になっていたよ。ありがとう!」と心から感謝していた。

「ところで、花純は好きな人はいないの?なんなら、私が力を貸すよ。」

「好きな人はいるんだけど、はっきりしないんだよね。友だちなのかな、恋人ではない気がする。でも、今度のクリスマスは一緒に過ごすんだ。」

「そう、花純にもやっと春が来たね。良かった!それで、クリスマスには決心しているの?いつまでも臆病のままだと、後悔するよ。」

 真莉愛はお姉さんでもあり親友でもある立場で、花純にアドバイスをした。

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